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労働災害の発生状況の推移

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政府による圧力

労働災害に関する最新の統計データを、業種別・型別・起因物別の他、様ざまな観点からグラフにして掲示しています。

労働安全コンサルタント試験を受験する上でも、だいたいの傾向を覚えておくべきものです。試験までに記憶しておくようにしましょう。

グラフの無断流用はお断りします。



労働衛生(産業保健)最新統計


1 労働災害発生件数の推移

執筆日時:

最終改訂:

(1)労働災害の発生状況

労働災害の発生状況

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労働災害発生件数の推移を示す。死亡災害の発生件数が2015年以降1,000件を下回っていること、休業4日以上の災害が2018年まで3年連続で増加し、2019年には減少に転じたが2020年は再び増加に転じた。

※ 厚生労働省の死亡労働災害統計は1955年(昭和30年)以降は、製造業、建設業及びその他の発生件数が公表されているが、それ以前は総件数のみが公表されている。

超過死亡リスク

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参考までに、労働災害以外の死亡者数を右図に示す。話題に上がりそうなものをピックアップして挙げている。統計は、人口動態統計に数値のあるものは人口動態統計を利用しているが、様々な統計データを利用しており単純に比較できるようなものではない。あくまでも、参考に留めて欲しい。なお、自殺者数、交通事故死者数は警視庁の統計とは数値が異なっている。

※ 肺炎、インフルエンザ、自殺、他殺、交通事故及び家庭内における不慮の事故は「人口動態統計」より。火災は「総務省報道発表資料」より。労働災害は「厚生労働省発表資料」より。水難は「警察庁生活安全局生活安全企画課公表資料より。食中毒は、厚生労働省医薬・生活衛生局食品監視安全課の「食中毒発生状況の概要について」より。

※ なお、2020年中のコロナによる死者数は3,492名である(NHKWEBサイトによる)

【コラム】労働災害に被災するリスクをどう評価するか

(2)業種別労働災害発生状況

ア 業種別発生状況の全体像

次に、休業4日以上の労働災害発生件数の推移を、業種別にみてみよう(※)。次図によると、製造業と建設業では、2008年(平成20年)まで、ほぼ一貫して減少しているが、それ以降は減少傾向が鈍化している。

業種別労働災害発生状況

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※ 厚生労働省の詳細な業種区分別の労働災害統計は1988年(昭和63年)以降がWEB上に公表されている。ただし、休業4日以上死傷災害のデータは、1998年(平成10年)以前は労災保険の新規休業補償データが用いられ、1999年以降は労働者死傷病報告が用いられている。なお、このとき業種区分も一部部変更された。

従って、その前後で単純に比較はできないが、あえてできるだけ長期の変動を示すため、変更の前後で同じ区分がある業種のうち主要なものを図示した。なお、これは以下の休業4日以上のすべてのグラフについて同じである。

ここで、「運輸業」については、1998年(平成10年)以前は「運輸業」という区分があったのでそれを用いているが、1999年(平成11年)以降は「運輸交通業」と「貨物取扱業」を合計したものである。

この2業種以外では2000年(平成12年)以降はむしろ増加に転じているが、これは高齢化に伴い転倒などの災害が増えていることによる。これについては後述する。

さて、厚生労働省の休業4日以上の労働災害統計は、1999年(平成11年)以降は業種区分が詳細に分類されている。これをグラフ化したものが次図である。

全労働災害の業種ごとの推移

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業種別雇用者数の推移

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一方、右図は労働力調査による、業種ごとの雇用者数の推移を示したものである。こちらも期間によって業種分類が変更されるが、本図は第12・13回改定日本標準産業分類が用いられている2002年(平成14年)以降について示してある。

2020年の労働力調査による「役員を除く雇用者数」は、全体を1とすると製造業0.168、建設業0.067であるが、労働災害の発生割合は製造業0.196、建設業0.114である。すなわち労働災害は減少したものの、これら2つの業種が他の業種に比較して安全になったとまではいえない(※)

※ 労働力調査と労働災害統計では業種についての考え方が同じではないので、厳密なものではない。

また、保健衛生業の労働災害は、全体に占める割合は大きくはないが、この間の増加が著しい。増加の要因の一つは、雇用者数の増加にある。

労働災害統計の保健衛生業は、労働力調査では「医療、福祉」とほぼ同じである。労働力調査による「医療、福祉」の2002年から2019年の雇用者数の増加は1.89倍となっているが、同時期の労働災害の増加は2.76倍である。すなわち、雇用者数の伸びだけでは、労働災害増加の原因は説明できない。

※ 2020年は、保健衛生業が新型コロナによる労働災害が急増しているので、2019年までの伸び率で比較した。

イ 安全課集計による業種別発生状況

厚生労働省の労働災害統計は、2006年(平成18年)以降は、上記に示した厚生労働省の公式な統計の他に、厚生労働省の安全衛生部安全課が独自に分類したものの2系統が公表されている。双方とも労働者死傷病報告に基づいているが、業種区分の分類方法が異なっている。

※ 安全課による業種区分は、本来は労働災害防止団体ごとの災害発生件数を表すためのものであり、労働災害防止団体の範囲に入らないものは「その他」としてまとめられていた。しかし、近年では「その他」を「第三次産業」と「農業、畜産・水産業」に分けている。行政として「第三次産業」を労働災害防止に重点をおくためである。

厚生労働省のそれまでの災害統計の業種区分には、「陸上貨物運送業」や「第三次産業」という区分は存在していない。「陸上貨物運送業」は厚労省によると「道路貨物運送事業と陸上貨物取扱業の合計値」であるとされている。

また、「第三次産業」は、厚生労働省の従来の災害統計業種区分の、「商業」「金融・広告」「保健衛生業」「接客・娯楽」「清掃・と畜」「警備業」の他に「その他」を合計している。この「その他」は、厚生労働省の公式統計の「その他」とは異なっている。

ただし、この「第三次産業」は安全課の統計独自の概念で、通常の第三次産業とは異なっている。まず、運送業(交通運輸事業、陸上貨物運送事業及び港湾運送業)が含まれていない。その一方で「清掃・と畜」が含まれている。清掃は第三次産業だが、と畜は第一次産業であるし、食肉加工としては第二次産業である。

コンサルタント試験では、安全課独自分類の統計について問われることもあるのでこちらも以下に示しておく。2012年に業種区分が変更され、大分類に「第三次産業」などが新たに加わっている。このため、積み上げ式の棒グラフではその前後がやや分かりにくくなるが、全体像が分かるようにあえて積み上げ式の棒グラフとした。

4業種の労働災害発生状況

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安全課集計の「第三次産業」は、さらに細かく分類されているので、第三次産業の業種分類ごとの推移も示しておく。

2020年の保健衛生業の増加は、後で示すように型別の「その他」が急増したためで、新型コロナ感染によるものと思われる。

4業種の労働災害発生状況

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(3)事故の型別労働災害発生状況

事故の型別労働災害の推移を次図に示す。これを見れば分かるように、2008年頃までの労働災害の減少に寄与してきたのは、「はさまれ巻き込まれ」「墜落・転落」「飛来・落下」「切れ・こすれ」の4つの型のみと言ってよいのである。分かりやすく言えば、基準やルールを作って厳しく守らせることで、ある程度減らせる災害が減っていたのである。

事故の型別労働災害発生状況

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ここ10年程度は、高齢化によって「転倒」や「動作の反動・無理な動作」が増加しつつある。

なお、労働安全コンサルタント試験では、業種別の型別災害が問われるが、それについては後述する。なお、2020年の「その他」の増加は、保健衛生業の増加によるもので、新型コロナによるものである。

※ 事故の型及び起因物については、陸災防のサイトが参考になる。なぜか、厚生労働省のサイトには事故の型分類表と起因物分類表がアップされていない。

(4)年齢階層別労働災害発生状況

年齢階層別の労働災害の推移を次図に示す。これを見れば分かるように、2001年まで全ての年齢階層で労働災害は減少していたが、その後の2008年頃までは減少傾向が見られず、その後は60歳以上の災害が増加している。これを見れば、最近の労働災害の大きな課題が高齢化であると分かるであろう。

年齢階層別労働災害発生状況

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なお、10歳代の労働者の災害は、中・高卒の労働者が現場へ入った後の短期間の間に被災するケースの他、新聞配達などアルバイトの災害がかなり含まれている。

次に、休業4日以上死傷災害に占める50歳以上のものの割合と、60歳以上のものの割合を業種別に示す。

全災害中の60歳以上の割合の推移

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全災害中の60歳以上の割合の推移

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1999年(平成11年)に50歳以上のものの割合は 41.9 %であったが、その後上昇を続け、2019年(令和元年)には50.0%を超えた。また、60歳以上のものの割合をみると、1999年から2004年まで14%台で推移していたが、2005年に15%を超え、その後は大きく増加して2018年には26%を超えている。

なお、2020年に保健衛生業などで60歳以上のものの割合が減少しているが、これは比較的若い労働者が新型コロナによる感染症で労働災害になるケースが急増したためであろう。

(5)事業場規模別労働災害発生状況

次に事業場規模別の労働災害の推移を次図に示す。なお、1998年より前は、統計の事業場規模区分が現在とは異なっているため、グラフ化はしなかった。

事業場規模別労働災害発生状況

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ここ10年程の状況を見ると、意外なことに9人以下の事業場の災害が減少しており、50~299人規模の事業場で災害が増加していることが分かる。

(6)起因物別労働災害発生状況

次に、あまり試験で問われることはないと思うが起因物別の労働災害の推移を示す。「仮説物・建築物・構築物等」が、かなりの割合を占めていることが分かるであろう。

起因物別労働災害発生状況

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一方で、建設機械や動力クレーンは、話題になることは多いが、実際にはかなり少ないのである。なお、「動力機械」と「材料」が大きく減少しているのは、製造業における安全対策の広まりによるものであろう。

参考までに、フォークリフト、建設機械等による労働災害発生状況を示しておく。2004年より前は小分類によるデータがないので2005年以降のみである。少ないと言っても、かなりの件数が発生していることも事実である。

フォークリフト、建設機械等による労働災害発生状況

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(7)外国人労働者の労働災害

次に外国人労働者の災害統計を示す。中災防のサイトのデータをグラフ化したものである。

外国人労働者の労働災害

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※ 中央労働災害防止協会のWEBサイトのデータをグラフ化したものである。中災防のサイトによると。「厚生労働省発表資料である各年の労働災害発生状況の分析等の資料(職場のあんぜんサイト:労働災害統計)により作成」とされている。

しかし、「職場のあんぜんサイト」には外国人労働者の災害統計は公表されていない。おそらく、中災防が厚生労働省より独自に得た情報と思われる。詳細が記載されていないが、死傷病報告を基にしているものであろうから、外交官と日韓法的地位協定による協定永住者は含まれていないと考えられる。

中災防のサイトには「『外国人雇用状況』の届出状況」による外国人労働者数も記されている。これは「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」第28条による届け出数をまとめたものであり、外交官や協定永住者の雇用者は除かれている。従って、この数値が労働災害発生件数の分母になると考えてよい。

そこで、これを基に外国人労働者の年千人率の概算を示したものが下図である。国内全体の数値は厚生労働省の公表したデータ(2020年未公表)を用いている。これによると外国人労働者の年千人率が国内全体と比較してそれほど大きくはないが、2019年以降大きく増加している。

外国人労働者年千人率の推移

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※ 算定の方法が外国人労働者と国内全体で異なっているので、これをもってただちに外国人労働の年千人率が国内労働者よりも低いと判断するべきではない。また、外国人労働者の場合、労災隠し件数が大きいという指摘もある。


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