= 私のコンサルタント試験受験記 =

労働安全コンサルタント試験受験の勧め(7/7)




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政府による圧力

労働安全コンサルタント試験は、労働災害防止のための労働安全管理の能力を証明するための最もレベルの高い国家試験です。ここ、数年、受験者数は急増している状態です。

とはいえ、受験者数はそれほど多くはなく、他のメジャーな資格試験ほどには情報があふれているわけでもありません。

労働安全の分野でのキャリアアップを検討しておられる方のために、労働安全コンサルタントとは何か、その難易度はどの程度か、具体的な内容はどのようなものかなどを、私自身の受験体験を交えて紹介します。

内容の無断流用はお断りします。



3 私からのアドバイス(受験勉強法等)について

(1)使用するテキスト類

労働安全衛生コンサルタント試験を受けようとするとき、まず困るのが適当な参考書がないということである。ただ、出版社の立場に立ってみると、受験者が少ないのであまり売れることは期待できず、一方で、労働安全衛生の分野は制度が頻繁に変わるので頻繁な改訂を余儀なくされる。これでは、商業ベースにのるようなテキストを発行することは困難だろう。つまり、今後も専用の受験テキストが発行されることは期待薄である。

過去問は、択一については当サイトに掲示しているものを使用して頂ければよい。記述式については、日本労働安全衛生コンサルタント会から発刊されている問題集に載っている。これは、安全と衛生の全ての問題が、毎年、2年分まとめて出版される。私は、衛生コンサルタント試験を受験する2016年(平成28年)の5月頃に、平成24・25 年版を購入した。当時は平成26・27 年版が出ていなかったので、出たら 平成26・27 年版を購入しようと思ったからである。しかし、結局平成26・27 年版は購入しなかった。過去問を中心に勉強しても意味がないのではないかと、そのときは思ったからである。ただ、現在はこの考えは誤りだったと思っている。

そして、安全コンサルタント試験を受けるときに平成27・28年版を購入したので、間が1年空いてしまった。

テキストとして使用したのは、何度か紹介したが、大関親著「新しい時代の安全管理のすべて(第6版)」(中央労働災害防止協会2014年)である(※)。その他には、厚労省の労働衛生分野のガイドラインや指針、主な通達類を厚生労働省のWEB サイトから入手した。こちらはあまり読むひまがなかったが、基本的なテキストの選択としては誤ってはいないと思う。

 現在は、改訂されて新しい版が出ている。

他には先述した、テキストやWEBサイトを参照されるとよいと思う。

(2)受験時の注意事項

ア 受付について

私は、安全も衛生も受験の申し込みは締め切りギリギリになって郵送で行った。とくに深い意味はないが、書類がぎりぎりまで準備できなかったことなどによる。ただ、いずれの場合でも受験番号は意外に若い番号だった。口述試験も衛生は初日の最初、安全も初日の早い時間帯だった。これらは必ずしも受け付け順ということでもないようだ。

筆記試験の試験当日は、とくに受付のようなものはなく、試験開始の 20 分前までに指定された試験場へ入ればよい。ただ、試験会場は、建物の中がやや分かりにくいので早めに着くようにした方がよいと思う。場所が分からなくて迷っている受験生がかなりいた。

一方、口述試験は会場についたときに受付をすませる必要がある。筆記試験とは異なるので、受付をしないままで入室すると、欠席扱いされるおそれがあるので、注意しなければならない。

イ 筆記試験の途中退出について

筆記試験は、私は全ての科目で最後まで試験場にいたが、択一の場合は最後までいる受験生の方が少数派だった。

ただ、択一はともかくとして、記述式くらいは最後まで頑張った方が良いと思う。たんなる知識を問うだけではなく、考えて解くべき問題も出ているからである。

(3)筆記試験の科目免除を受けるべきか

労働安全コンサルタント試験は、実務経験や保有している資格によっては、科目免除が得られるケースが多い。科目免除者が多い制度となっている理由はよく分からない。試験の制度が始まったときに、実務経験が試験の成績よりも重視されていたのかもしれない。

そして、実際に受験してみると分かるが、免除を受ける受験者はかなりの割合である。これは、試験範囲が広いので受験勉強が大変だからではないかと思う。

しかし、免除を受けられるのは、ほとんどの場合、得意科目であろう。そのため、免除を受けずに受験すると、免除の受けられない科目だけでは合格基準に達しないような場合でも、得意科目でカバーできて、全体の平均点で合格基準に達することがあるので、免除を受けない方が有利という考え方もあろう。

私個人の考えとしては、かつては、どうしても合格したいと思うのであれば、免除を受けるべきではないと思っていた。その最大の理由は、免除を受けない方が、科目全体の平均点を上げるには有利だからである。

しかし、今は考えが変わっている。少なくとも法令については免除を受けた方が良いのではないかと思う。やや範囲が広すぎることと、あまりにも細かな内容が問われるからだ。

免除についての考え方の詳細は「安全衛生コンサルタント試験の科目免除は有利か」をご覧になって頂きたい。また、個人によって得手不得手もあるので、最終的には実際に出題された試験問題を見て判断して頂きたい。

(4)最後に

ア 本試験のコストパフォーマンス

よく、労働安全衛生コンサルタント試験は、難関で受験参考書もないので受けにくいと言われることがある。確かにそういう面はあると思う。

しかしながら、有償で他人に対してコンサルティングを行う職務の試験なのである。しかもコンサルティングをする相手は、通常は個人ではなく企業という組織体なのだ。すなわち、相手側も素人ではないのである。

そこから料金を頂いてコンサルティングを行うわけなのだから、かなり高度の知識を持っていなければならないだろう。受験参考書で手軽に学習して合格できるような資格試験ではないのである。

また、誤ったコンサルティングをすれば、企業の担当者が監督署から是正勧告を受けたり、最悪の場合、実際に労働災害が発生したりすることも考えられるのである。一定の知識がなければ、コンサルティングなどするべきではないのだ。

イ 派手さはないが、必要性の高い資格

しかしながら、企業がどれほど安全になっても、労働安全衛生の課題がなくなることはない。常に、新しい課題は出てくるし、新しいタイプの災害も発生するようになる。

残念ながら、今の日本の現状は、この資格だけで生活できるような状況ではないが(この資格だけで生活しているコンサルタントもいないわけではない)、他の関連資格(社会保険労務士、中小企業診断士など)と併せて保有することで、かなりの有利さはあろうと思う。

ぜひ、多くの方に挑戦して頂きたいと思う。

(4)第78回全国産業安全衛生大会(京都)でのこと

第78回全国産業安全衛生大会のある分科会で、行政の方が、講演で専門家の育成が重要というお話をされた。講演の後の質問の時間に、私は会場から「専門家を育成しても活用されなければ意味がないので、もっと活用することを事業者に要請して欲しい」という要望を出した。

その翌日、別な分科会で向殿先生の講演があり、その中で、前日の私の質問の内容を紹介され、専門家を活用することが重要とのお話をされた。

専門家を育成する最も確実な方法は、専門家を正当な報酬で活用することであろう。企業の安全衛生の担当者の方におかれては、社内の労働安全衛生業務の推進について、企業外の労働安全衛生コンサルタントのご活用をぜひ、ご検討いただければと思う。





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