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※ イメージ図(©photoAC)
安衛法に定められた作業環境測定は、労働衛生の3管理の最も重要な項目である作業環境管理の基本となるものです(※)。
※ 作業環境測定は、実施するだけではあまり意味がない。作業環境の状況を評価してその結果に問題があれば、原因を除去して作業環境を改善しなければならない。
化学物質の自律的管理の導入によって、第3管理区分とされたところは作業環境の改善を図り、それでも改善されなければ専門家から改善の可能性等の意見を聞き、改善の可能性がなければ保護具の着用などの対策を取る必要がある。
しかしながら、作業環境測定についても違反率はかなり高いのが現状です。本稿では、作業環境測定にかかる業種別の違反件数と違反率を解説します。
なお、柳川に著作権があることにご留意ください。
1 はじめに
執筆日時:
安衛法の作業環境測定(第65条)は、労働衛生の3管理の中で最も重要な項目である作業環境管理を行うための基本となるものである。
【労働安全衛生法】
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~5 (略)
(作業環境測定の結果の評価等)
第65条の2 事業者は、前条第一項又は第五項の規定による作業環境測定の結果の評価に基づいて、労働者の健康を保持するため必要があると認められるときは、厚生労働省令で定めるところにより、施設又は設備の設置又は整備、健康診断の実施その他の適切な措置を講じなければならない。
2及び3 (略)
(作業の管理)
第65条の3 事業者は、労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならない。
(作業時間の制限)
第65条の4 事業者は、潜水業務その他の健康障害を生ずるおそれのある業務で、厚生労働省令で定めるものに従事させる労働者については、厚生労働省令で定める作業時間についての基準に違反して、当該業務に従事させてはならない。
第119条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。
一 (前略)第65条第1項、第65条の4(中略)の規定に違反したとき。
二~四 (略)
しかし、現実には作業環境測定が行われていないケースがかなりあることも事実である。
そこで、作業環境測定の実施に関する違反の状況の推移を業種ごとにみてみよう。
2 作業環境測定に関する違反状況
(1)違反件数の推移
厚生労働省が毎年公表している「労働基準監督官年報」から、定期監督等(※)における業種別の作業環境測定(第 65 条)の違反件数をグラフにすると次図のようになる。
※ ここにいう定期監督等には、「申告監督」と「再監督」は含まれていない。なお、申告監督とは、労働者の申告によって監督を行うものであり、「再監督」は、一度、監督をした事業場に対して是正状況の確認を行うための監督である。
「労働基準監督官年報」によると、この違反件数は作業環境測定の実施(安衛法第 65 条)に関するものであり、作業環境測定の結果の評価等(第 65 条の2)、作業の管理(第 65 条の3)及び作業時間の制限(第 65 条の4)への違反は含まれていないとされている(※)。
※ 筆者の知り合いの監督官によると、システムに監督の結果を違反のあった条文を入力するときに、枝番のついた条文について選択項目がないと、枝番を省いた条文を選択することが普通だという。従って、作業時間の制限などについての違反件数が含まれている可能性はある。
なお、罰則が欠けられていない条文であっても、義務規定に反すれば違反となることは当然である。
違反件数は、かつては 4,000 件程度になったこともあったが近年では 2,000 件程度となっている。しかし、ここ数年間は減少傾向が見られない。
業種別では、製造業がほとんどである。他の業種で違反が見られないのはそもそも対象となる作業場がほとんどないことが理由であろう。
なお、違反の対象となる省令は、2024年の場合、有機則が 1,272 件(2023年は 1,118 件、以下括弧内は 2023 年)、特化則が 738 件(722 件)、粉じん則が 397 件(389 件)、酸欠則が 99 件(98 件)、安衛則が 77 件(66 件)となっており、他は 10 件以内である。
対象となる作業場の数の多さを反映しているのであろう。
(2)違反率の推移
次に、違反率を見てみよう。業種別の定期監督等の件数は次図の通りである。
定期監督等の件数は、建設業、製造業が多くを占めているが、近年では商業の割合が増加しつつある。
定期監督等の件数を母数とすると(※)、違反率は次のようになる。
※ 現実には、定期監督等は作業環境測定の対象となる作業場のない事業場などに対して行うことも多いので、定期監督件数を母数にすると、違反率は実際よりも低くなる。
違反率では、製造業では近年ではほぼ6%程度となっている。製造業の中には作業環境測定の対象のない事業場もあるだろうから、実質的な違反率はこれよりも高くなる。
その他の業種では、対象となる作業場そのものがほとんどないため、母数を定期監督等の対象事業場とする違反率はかなり低くなるのであろう。
3 最後に
※ イメージ図(©photoAC)
繰り返しになるが、作業環境測定は労働衛生3管理の最も重要な項目である作業環境管理の基礎データとなるものであり、職業性疾病の防止の重要な制度である。
作業環境測定は、かなりのコストがかかるため、中小零細企業では意図的に実施が忌避されるケースも少なくない。
しかしながら、作業環境測定は衛生管理の基本とも言うべきものである。確実な実施が望まれる。
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