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※ イメージ図(©photoAC)
安全衛生委員会等は、事業場の安全衛生管理について、労使自治の中で在り方について検討し、事業者が最終的な責任を持つという仕組みの基礎となるべき組織です。安全衛生委員会等は、安全衛生管理の在り方について労使自治の中で協議をするための組織なのです。
事業場における安全衛生管理を実効あらしめるためには、労使協議の場である安全衛生委員会等の活性化が何よりも必要となります。
安全委員会は、工業的業種については業種に応じた労働者数を雇用する事業場で設置しなければならず、衛生委員会は業種によらず50人以上の労働者を雇用するすべての事業場で設置しなければなりません。
本稿では、安全衛生委員会等の業種別の違反件数と違反率を解説してゆきます。
なお、柳川に著作権があることにご留意ください。
1 はじめに
執筆日時:
安全委員会、衛生委員会などに関する規定は安衛法では第17条、第18条及び第19条により定められている。
安衛法の適用事業場であれば、安全委員会については一定の工業的業種の事業者は常時雇用する労働者数に応じて設置・運営しなければならず、衛生委員会については常時 50 人以上の労働者を雇用するすべての事業者が設置・運営しなければならない。
【労働安全衛生法】
(安全委員会)
第17条 事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、安全委員会を設けなければならない。
一~三 (略)
2~5 (略)
(衛生委員会)
第18条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。
一~四 (略)
2~4 (略)
(安全衛生委員会)
第19条 事業者は、第十七条及び前条の規定により安全委員会及び衛生委員会を設けなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができる。
2~4 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(安全委員会を設けるべき事業場)
第8条 法第十七条第一項の政令で定める業種及び規模の事業場は、次の各号に掲げる業種の区分に応じ、常時当該各号に掲げる数以上の労働者を使用する事業場とする。
一 林業、鉱業、建設業、製造業のうち木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業及び輸送用機械器具製造業、運送業のうち道路貨物運送業及び港湾運送業、自動車整備業、機械修理業並びに清掃業 五十人
二 第二条第一号及び第二号に掲げる業種(前号に掲げる業種を除く。) 百人
(衛生委員会を設けるべき事業場)
第9条 法第十八条第一項の政令で定める規模の事業場は、常時五十人以上の労働者を使用する事業場とする。
しかし、現実には設置をしていなかったり、設置していても運営状況に違反があって、臨検監督などで指摘されることも多いのが実態である。
そこで、安全衛生委員会等に関する違反の状況の推移を業種ごとにみてみよう。
2 安全衛生委員会等に関する違反状況
(1)違反件数の推移
厚生労働省が毎年公表している「労働基準監督官年報」から、定期監督等(※)における業種別に安衛法第17~19条(安全衛生委員会等)の違反件数をグラフにすると次図のようになる。
※ ここにいう定期監督等には、「申告監督」と「再監督」は含まれていない。なお、申告監督とは、労働者の申告によって監督を行うものであり、「再監督」は、一度、監督をした事業場に対して是正状況の確認を行うための監督である。
安全衛生委員会等は、事業場における安全衛生管理における労使自治を実現するための組織であるが、現実には毎年 2,000~3,000 件程度の違反が摘発されている(※)。
※ 2020年及び2021年の違反件数の減少は、新型コロナ感染症の影響等により監督件数が減少したことも影響している。
業種別では、製造業が最も多く、これに保健衛生業、商業が続いている。保健衛生業の違反は、医療保健業、社会福祉施設で多くが発生している。建設業が少ないのは、建設業への監督は有期事業に対して行われることが多く、有期事業では安全衛生委員会等の設置が義務付けられていないためである。
(2)違反率の推移
次に、違反率を見てみよう。業種別の定期監督等の件数は次図の通りである。
定期監督等の件数は、建設業、製造業が多くを占めているが、近年では商業の割合が増加しつつある。
定期監督等の件数を母数とすると(※)、違反率は次のようになる。
※ 現実には、定期監督等は50人以下の事業場などの設置義務のないものに対して行うことも多いので、定期監督件数を母数にすると、違反率は実際よりも低くなる。しかし、50人以上の事業場に対する監督件数が公表されていないので、50人未満の事業場も含めた違反率となっている。
建設業の違反率が低いのは、先述したように安全衛生委員会等を設置しなければならない事業場がほとんどないためである。全業種の違反率も、建設業の割合がかなり高いことからかなり小さくなっており、実質的な違反率はもっと高いと考えられる。
建設業以外の業種では、教育研究業、貨物取扱業、清掃・と畜業で高くなっている。ただ、この3業種は監督件数が少ないため、全体の状況を的確に表しているとは言い切れない。
実質的には、製造業及び保健衛生業が問題だと言える。保険衛生業の違反は、医療保健業及び社会福祉施設の双方ともに高い実態がある。保健衛生業で違反率が高いのは、法令についての理解が低いこともあろうが、遵法意識の低さも一因であろう。
一方、商業と農林業では違反率が低い。しかし、これは 50 人以上の事業場が少ないことも一因であろう。
典型的なのは製造業であるが、2.5~3.5%前後の違反率で推移しているが全体としては減少傾向にある。
3 最後に
※ イメージ図(©photoAC)
繰り返しになるが、安全衛生委員会等は、事業場の安全衛生管理における労使自治の実現を期待されている。
OSHMSやリスクアセスメントへの需要の拡大、化学物質の自律的な管理の推進からも分かるように、これからの安全衛生管理は、「法令を遵守する」ことから脱却し「労使自治の中で自ら決する」ことが求められている。
安全衛生委員会等を活性化させ、その活動を実効あらしめることが、これからの安全衛生管理に何よりも期待されていると言えよう。
現在、多くの事業場において安全衛生委員会等をいかに活性化させるかが大きな課題となっている。そのためには、労使双方が当事者意識を持って安全衛生委員会等の活動を推進することが重要となる。
少なくとも、安全衛生委員会等は、法令によって定められているから行うということではなく、労使双方が労働安全衛生管理活動の重要性を理解し、これからの活動は自分たちで律するという意識を持って行うべきである。
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