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※ イメージ図(©photoAC)
定期自主検査は安衛法に定められた義務で、一定の危険有害な機械等を使用している場合には必ず実施しなければならないものです。
これは、自動車の車検と同様に法定の義務であり、機械設備の異常による労働災害を防止するために必要なものですが、工場内の機械だからという意識のためか一定の違反があることも事実です。
本稿では、定期自主検査にかかる業種別の違反件数と違反率を解説してゆきます。
なお、柳川に著作権があることにご留意ください。
1 はじめに
執筆日時:
定期自主検査は、安衛法に基づく制度であり、一定の危険有害な機械等を用いる場合には定期的に検査を行わなければならないという制度である。これは、安衛法の第45条に定められている。
この制度は、いわば自動車の車検のようなものであり、機械等による労働災害を防止する上で必要なものである。
【労働安全衛生法】
(定期自主検査)
第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。
2 事業者は、前項の機械等で政令で定めるものについて同項の規定による自主検査のうち厚生労働省令で定める自主検査(以下「特定自主検査」という。)を行うときは、当該事業者(事業者が法人である場合には、その代表者又は役員)で厚生労働省令で定める資格を有するものが自ら実施し、又はその使用する労働者で当該厚生労働省令で定める資格を有するもの若しくは第五十四条の三第一項に規定する登録を受け、他人の求めに応じて当該機械等について特定自主検査を行う者(以下「検査業者」という。)に実施させなければならない。
3~5 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(定期に自主検査を行うべき機械等)
第15条 法第45条第1項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。
一 第12条第1項各号に掲げる機械等、第13条第3項第五号、第六号、第八号、第九号、第十四号から第十九号まで及び第三十号から第三十四号までに掲げる機械等、第十四条第二号から第四号までに掲げる機械等並びに前条第十号及び第十一号に掲げる機械等
二 動力により駆動されるプレス機械
三 動力により駆動されるシャー
四 動力により駆動される遠心機械
五 アセチレン溶接装置又はガス集合溶接装置の安全器
六 活線作業用装置(その電圧が、直流にあつては750ボルトを、交流にあつては600ボルトを超える充電電路について用いられるものに限る。)
七 乾燥設備及びその附属設備
八 動力車及び動力により駆動される巻上げ装置で、軌条により人又は荷を運搬する用に供されるもの(鉄道営業法(明治33年法律第65号)、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)又は軌道法(大正10年法律第76号)の適用を受けるものを除く。)
九 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置で、厚生労働省令で定めるもの
十 特定化学設備(別表第三第二号に掲げる第二類物質のうち厚生労働省令で定めるもの又は同表第三号に掲げる第三類物質を製造し、又は取り扱う設備で、移動式以外のものをいう。)及びその附属設備
十一 ガンマ線照射装置で、透過写真の撮影に用いられるもの
2 法第45条第2項の政令で定める機械等は、第13条第3項第八号、第九号、第三十三号及び第三十四号に掲げる機械等並びに前項第二号に掲げる機械等とする。
しかし、現実にはこれについても一定の違反があることが現状である。
そこで、安全衛生委員会等に関する違反の状況の推移を業種ごとにみてみよう。
2 定期自主検査に関する違反状況
(1)違反件数の推移
厚生労働省が毎年公表している「労働基準監督官年報」から、定期監督等(※)における業種別に安衛法第 45 条(定期自主検査)の違反件数をグラフにすると次図のようになる。
※ ここにいう定期監督等には、「申告監督」と「再監督」は含まれていない。なお、申告監督とは、労働者の申告によって監督を行うものであり、「再監督」は、一度、監督をした事業場に対して是正状況の確認を行うための監督である。
定期自主検査は、機械等による労働災害を防止するための規定であり、構造規格や運転等に関する資格制度と並んで機械による災害を防止するための重要な制度である。
しかしながら、毎年、7,000 件程度の違反が見られる実態にある。また、業種別では製造業が最も多く、これに建設業が続いている。これは定期自主検査の対象となる機械等を保有している業種が違反率も高くなっているということであろう。
(2)違反率の推移
次に、違反率を見てみよう。業種別の定期監督等の件数は次図の通りである。
定期監督等の件数は、建設業、製造業が多くを占めているが、近年では商業の割合が増加しつつある。
定期監督等の件数を母数とすると(※)、違反率は次のようになる。
※ 現実には、定期監督等は定期自主検査の対象となる機械等のない事業場などに対して行うことも多いので、定期監督件数を母数にすると、違反率は実際よりも低くなる。
違反率では、製造業が圧倒的に高い。これに農林業、運輸交通業、清掃・と畜業、貨物取扱業が続いている。これらの業種に違反が多いのはフォークリフトが使用されることが多いからである。
建設業の違反率が低いのは、建設業で使用される定期自主検査の必要な機械等は、ショベルローダー、フォークローダー、ストラドルキャリアー、不整地運搬車、高所作業車など、価格が高いものが多いため所有している企業もある程度の規模の企業であり、また販売した企業が管理をしているケースもあるためであろう。
農林業に違反が多いのは、林業はともかくとして、農業については安衛法についての十分な知識がないケースも多いだろう。そもそも自社が安衛法の適用事業場であることを理解していないケース(※)もあろう。
※ もっとも、監督官も小規模な農家に監督に行ったりはしないのが現実である。
なお、安衛法は、同居する親族のみを雇用する事業者には適用がない。しかし、雇用される労働者が親族であっても、一人でも家を出て別居すると、同居する親族を含めてすべての労働者が安衛法の適用労働者となる。このことが意外に知られていない。
3 最後に
※ イメージ図(©photoAC)
繰り返しになるが、定期自主検査は機械等による労働災害をなくすための重要な制度である。
しかしながら、毎年、7,000 件程度の違反があり、製造業では十数パーセントの違反率があるのである。農林業、運輸交通業、清掃・と畜業でも十パーセント近い違反率がある。これは、決して無視して良い数値ではない。
このような基本的な対策を徹底することで、労働災害の発生を予防することは可能である。法令によって定められているから行うということではなく、労働災害防止の重要性を意識してこのような違反とならないように留意が必要であろう。
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