= 私のコンサルタント試験受験記 =

労働衛生コンサルタント試験受験の勧め(1/7)




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政府による圧力

労働衛生コンサルタント試験は、労働衛生管理の能力を証明するための最もレベルの高い国家試験です。ここ、数年、受験者数は急増している状態です。

とはいえ、受験者数はそれほど多くはなく、他のメジャーな資格試験ほどには情報があふれているわけでもありません。

労働衛生の分野でのキャリアアップを検討しておられる方のために、労働衛生コンサルタントとは何か、その難易度はどの程度か、具体的な内容はどのようなものかなどを、私自身の受験体験を交えて紹介します。

内容の無断流用はお断りします。



1 はじめに

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最終改訂日時:

(1)試験の難易度

労働衛生コンサルタント試験合格者の推移

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労働安全衛生に関する専門家の資格試験としては、労働安全衛生法に定められている労働安全衛生コンサルタント試験がある(※)。これまで数多くの労働衛生分野の専門家について、その能力を評価しており、多くのコンサルタントが各分野の労働衛生のために活躍している。

 第1回試験は1973年に上智大学で実施され衛生249人、安全352人、計601人が合格した。制度の当初は国(労働省)が実施していたが、行財政改革に伴う1999年の安衛法改正により2000年の第28回からは(公財)安全衛生技術試験協会が実施している。

受験者・合格者の推移

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この試験の、2023年度(令和5年度)の合格率は、衛生コンサルタントが 26.2 %(※)、安全コンサルタントは 13.9 %である。司法試験や公認会計士試験などの超難関といわれる国家試験に比べれば合格率は高いものの、範囲が広く専門性も高いため、労働安全衛生の業務に従事した経験がないと、かなり難しい試験である。

 衛生コンサルタント試験では筆記試験全免除の受験者数がかなりいる。そのため、2021年度までは筆記受験者数に筆記全免除の口述受験者数を加算して受験者数を算定している。しかし、2022年度以降は筆記試験全免除の受験者巣が公表されなくなったので、受験者数は以下の2つを加算して算出した。従って、2022年度以降は合格率が実際より小さくなっている。

① 筆記試験を実際に受験した者の人数

② 口述試験受験者数から筆記試験合格者数を減じた人数

受験予備校の WEB サイトなどでは、社会保険労務士試験よりも難易度は低いとされている。しかし、社労士と労働衛生コンサルタントの2つの試験を受けた私の感覚では、必ずしも社労士試験よりも易しいとはいえないという印象を持っている。

なお、安全・衛生の双方について試験問題と詳細な解説をこのサイトの「労働安全衛生コンサルタント試験支援」のページに掲載しているので、ぜひ参考にして頂ければと思う。

(2)受験資格と科目免除

ア 受験資格

この試験は、誰でも受けられるというわけではなく受験するには一定の要件が必要となる。詳細は(公財)安全衛生技術試験協会(略称:試験協会)のWEBサイトをご覧になって頂きたい。

医師、歯科医師、薬剤師、技術士、1級建築士等はそのままで受験可能であり、保健師は保健師として10年の実務経験が必要となる。一般の受験生の場合は、理科系統の学校を卒業していれば、大卒者は5年、短大卒・高卒者は7年の衛生の実務経験で受験可能となる。なお、この他にも受験資格は多いので、試験協会のWEBサイトをご覧になって頂きたい。

この衛生の実務経験は、衛生管理者の受験資格よりもかなり限定的で、次のように定められている。ただ、運用はかなり緩く扱われているようなので、疑問がある場合は試験協会へ問い合わせてみるとよいと思う。

【衛生の実務とは】

衛生の実務とは、事業場の労働衛生管理部門の管理職、衛生管理者等のほか生産現場等において労働衛生管理を担当し、所掌する者が下記の業務を行うことを示す。

  1.  1 労働衛生管理計画の企画、立案及び運営に関すること
  2.  2 労働者の健康診断及びその事後措置に関すること
  3.  3 作業環境や作業条件の調査、測定やその改善に関すること
  4.  4 衛生教育計画の作成、運営に関すること
  5.  5 有害物中毒等の調査、分析に関すること

イ 科目免除

また、この試験には様々な科目免除を受けられるシステムがある。これについても、詳細は、試験協会のWEBサイトをご覧になって頂きたい。

科目免除については後述するが、例えば医師は一定の講習を受けることによりすべての筆記試験が免除となる。これについては、後に詳しく説明する。

(3)私自身の経験について

私は、事業場の労働安全衛生のレベルの向上のためにも、この分野の専門家がもっと増えて欲しいと思っている。そこで、この試験に挑戦したいと考えておられる方のために、合格するために何をすればよいかについて解説をしたいと思う。ただし、私は、かつてこの試験に試験委員としてかかわったことがあるので、あくまでも差し支えない範囲での解説になることはご了解いただきたい。ただ、たんなる受験生とは違って、独自の視点での解説ができるのではないかと思っている。

なお、私自身について言えば、厚労省に勤務している間は職務としてこの試験にかかわっていたので、受験することができなかったが、2016 年の3月に定年で退職したので受験が可能になった。そこで、さっそく受験してみたのである。その結果、幸い一度の挑戦で合格することができた。その受験の経験も踏まえて解説したいと思う。

受験を考えておられる方は、ぜひご一読いただければと思う。





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