ウクライナの戦闘支援ではなく戦争終結を!

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ウクライナとロシアの国旗

※ イメージ図(©photoAC)

2022年2月24日の未明、ロシア軍がウクライナへ侵攻を開始し、現在に至るまで泥沼の様相をみせています。双方の正確な死者数が明らかにされてるとはいえませんが、ウクライナ政府は軍の死者数が2024年2月までに3万1000人となったと公表(※)し、ロシア軍は英国政府によって 35 万人が死傷したと推計されています。

※ 実際の死者数はこれよりも多いと考えられている。米政府は、2023年8月時点で、ウクライナ軍の被害は死者7万人、負傷者 12 万人と推計している。

もちろん、彼らは軍人とはいえ、軍務を離れれば一市民であり、その死傷による悲劇は市民と全く同じものです。また、ウクライナ民間人の被害も甚大で、国連によると2023年11月22日時点で、ウクライナの民間人の死者が1万人を超えたとされています。

しかし、冒頭にも述べたように戦線の状況は泥沼化しており、終結の兆しは見えません。ゼレンスキーもプーチンも、少なくとも公式には戦争を止めるつもりはまったくないようですが、このままではウクライナ、ロシア双方の国民の悲劇は甚大化するばかりです。

日米欧も、本音では戦争支援にみつつも、建前ではウクライナへの支援の姿勢を変えてはいません。しかしながら、ウクライナ、ロシア双方の国民のために、今、目指すべきはウクライナへの戦闘の支援ではなく、戦争状態の終結です。そのためには、正義のための戦いではなく名誉ある妥協が求められています。国民のことを考えない2人の交戦的な人物=ゼレンスキーとプーチンに対して和平のための圧力を加えるべきときです。




1 安全圏での「悪いのはプーチンだ」の主張は無責任だ

(1)確かに「悪いのはプーチンだ」

執筆日時:

最終改訂:

戦闘で崩れた建物の瓦礫

※ イメージ図(©photoAC)

2022年2月24日の未明、ロシア軍がウクライナへ侵攻を開始した。ロシアは、2022年2月23日のロシア国連代表声明において、その目的を「キエフ政権による大量虐殺の犠牲となり、さらされた人々の保護である」としている。また、その法的根拠として国連憲章第51条を挙げている。

しかし、このような主張は、到底、認められるものではない。確かに、ウクライナ政府による東部州のロシア系住民に対する圧迫があったことは完全には否定できないものの、国連憲章第 51 条を根拠として攻撃が許されるような状況ではなかった(※)。国連事務総長が、ウクライナに関する事務総長声明において「国連憲章に真っ向から抵触する」としたことは、まさにその表れである。また、欧州理事会が2022年2月24日の結論において、「ロシアは違法な軍事行動により、国際法と国連憲章の原則に著しく違反し、欧州と世界の安全と安定を損なっている」としたことも、妥当と言うべきである。

※ 緒戦において、ロシア侵攻軍の幹部軍人は、ロシア政府の主張を信じていたようだが、今となってはロシア軍を含めて誰も信じてはいないだろう。

そして、他国に侵略した軍隊などというものは多くの場合にそうだが、末端の兵士まで全部隊の士気が高いということは、ほとんどの場合、ないのが常である。

そして、士気の低さは、しばしば軍の攻撃力を弱体化し、さらには規律の乱れを呼ぶ。規律の乱れは、占領下の市民に対する人道上の問題を必然的に引き起こすのである(※)

※ 2023年にガザに侵攻したイスラエル軍も、市民の住居で盗みを働いたり、市民や子供を狙い撃ちにしたりし、それを SNS にアップしたりしている。これは軍律によって処罰されないという自信があるからで、規律の乱れというよりイスラエルという国家の意志であろう。

国連は、2023年11月時点で「ウクライナで死亡した民間人の数が1万人を超えた(※)と発表した。また、「ロシアが、「長距離ミサイル」や「自爆型の無人機」で都市部やウクライナ全土を攻撃の対象にしている結果、前線から離れた場所で民間人が犠牲になっているという見方を示しました」としている。

※ NHK 2023年11月24日「ウクライナ侵攻“民間人の死者1万人を超える”(油井’s VIEW)」による。

なお、ロシアもウクライナもジュネーブ条約の当事国であり、第一追加議定書についても拘束されることは当然である。また、ジェノサイド条約第9条についても、崩壊前の旧ソ連(ウクライナを含む)が 1989 年にそれまでの留保を撤回して全面的に受け入れており、ロシア、ウクライナ双方ともこれに従う義務がある。

従って、ロシアの無差別攻撃による市民の殺害行為は、国際法上の観点からも人道上の観点からも許されることではない。


(2)戦争継続へのウクライナ国民の意識はどうなっているか

ア 厭戦気分の増加

戦闘で崩れた建物とテディベア

※ イメージ図(©photoAC)

だが、ではゼレンスキーによる徹底抗戦の姿勢に対して、軍事的な支援を続けることが、本当にウクライナ市民の意志にかなうのかと言われれば、私はやや疑問を有している。

確かに、侵攻当初の緒戦においては、ウクライナへの軍事支援は正しかった。それがなければウクライナはロシアに支配され、独立を失っていただろう。それは、民族自決権の否定につながり、将来的な国際秩序に大きな不安要素(リスク)をもたらしただろう。

だが、戦線が膠着し、戦闘が泥沼化して、ウクライナ、ロシア双方に大きな人的被害が出ている状況で、このまま消耗戦を続けることが正しいことだろうか。消耗されるのは、欧米が供給した兵器だけではない。人間の生命なのだ。

報道では、ウクライナ軍の戦死者は公式発表でも3万人を超えたという(※1)。実際にはもっと多いだろうというのが、国際的な見方である。このような中で、ウクライナ国民の厭戦えんせん気分も強くなっているのが実態である(※2)。報道では、「世論調査によると、「平和のために領土を諦めてもよい」との回答割合が19%」となったとされているが、現実にはこの種の数値は実態よりもかなり低く出るものである。

※1 Reuters 2024年2月26日「ロ軍が5月にも新たな攻撃計画、ウ軍死者3.1万人に=ゼレンスキー氏」など

※2 読売新聞 2023年12月26日「ウクライナ世論調査「領土諦めてもよい」19%、昨年5月からほぼ倍増…厭戦ムード少しずつ拡大か」など

こうした中、戦死者の補充のための徴兵にも難航している(※1)との報道もある。ウクライナが「国民総動員令」を発令し、18 ~ 60 歳の男性の出国を禁止(※2)しているにもかかわらずである。NHK の報道(※2)によると「ウクライナ国内では、戦闘には参加したくないと、徴兵を担当する当局の関係者に賄賂を贈るといった汚職も後を絶たず、徴兵逃れが社会問題となっています」とされているなど、当初の徹底抗戦の意識が薄れている面もあるようだ。

※1 時事通信 2023年12月21日「ウクライナ、軍が「50万人動員」提案 侵攻長期化で兵力不足の恐れ」など

※2 NHK 2024年1月7日「ウクライナ 軍事侵攻で多数動員も徴兵めぐり不公平感広がる」など


イ ウクライナ東部の国民の帰属意識

また、ウクライナ東部にはロシア系住民が多く、2000年頃までは、ウクライナ東部の住民が、ウクライナ政府とロシアのどちらに帰属意識を抱いているかは、ほぼ拮抗していたと言われる。繰り返すが、かつて、ウクライナ政府によるロシア系住民への圧迫があったことは完全には否定はできない。

ただし、現実には、若いロシア系住民の間で、ロシアに対する帰属意識が薄れてきたことは事実である。例えば、東京大学の広報(※)によると、ロシア系住民の帰属意識も、かつてはロシアに向いていたが、最近では若者を中心にウクライナへ向いているとされている

※ 東京大学本部広報課「ロシアのウクライナ侵攻の背景を読み解く」(2022年3月30日)による

【ウクライナ東部のロシア系住民の帰属意識】

ウクライナの場合は東のほうが稼ぎ頭で、かつロシアとの結びつきが強い。言語も、東部はロシア語の通用度がかなり高く、本来ロシアに対して心情的には親和的でした。

ソ連では血縁に基づく民族の意識がアイデンティティの基礎になっていて、ウクライナの人口の2割前後を占めるロシア人は必ずしもウクライナ人意識を持っていませんでしたが、独立後のウクライナでは、特に若い世代で、どの国で生まれたかがアイデンティティの重要な要素になってきました。1990年代の調査でも、東部のロシア系住民であってもウクライナ人としての意識を持っていて、西部とあまり変わらないことがわかっています。2014年以降、ウクライナのロシア系住民のあいだで、むしろウクライナ人としての意識を強めている人が増えているという調査結果もあります。

※ 東京大学本部広報課「ロシアのウクライナ侵攻の背景を読み解く」(2022年3月30日)筆者において一部を抜き出している。

また、ロシアによるウクライナ侵攻が、逆に東部住民のウクライナへの帰属意識を強化したことも事実のようである(※)。なお、ロシアによる占領後に、ロシア占領地域で住民の「ロシア編入を問う住民投票」が行われ、圧倒的な多数が賛成票を投じた(※)が、これは占領下の調査であり、信頼するに足りるものではない。

※1 東京新聞 2022年10月19日「侵攻が自覚を促した?「私はウクライナ国民」過去最多85% プーチン氏は「国家の実体ない」と主張するが」など

※2 東京新聞 2022年9月28日「「編入賛成が約87〜99%」ロシア、ウクライナ4州を併合手続きへ 国際社会の理解は得られず」など

とは言え、あくまでも自らがどの国家に属するとするのかは、住民が決定するべきことであり、他国が決めてよいことではない。そのことを国際社会は忘れてはならないだろう。


ウ 他国がウクライナ戦争の在り方を主導してはならない

ある国家が、他国から不当に侵略を受けており、侵略を受けた国家が支援を求めているのであれば、国際社会はそれに対する支援をするべきである。しかし、その支援は、各国の実情に応じて様々な手法でなされるべきである。戦闘行為を支援するかどうかは、各国の実情に応じて行うべきなのである。

しかしながら、その国の国民が和平を望むのであれば、侵略に反対だからといって、戦闘をあおるようなことはするべきではない。「悪いのはプーチンだ」というのは正しいことなのかもしれないが、自らは安全な場所に居て、ウクライナの国民に戦闘を煽ることは無責任としか言いようがないのである。


2 国際社会は何を最優先させるべきなのか

(1)米国大統領選挙とウクライナへの国際支援の今後

日米欧の政府、とりわけ米国政府は、やや「支援疲れ」がみられるものの、現時点ではウクライナの戦闘への支援の継続を宣言している(※1)。しかし、トランプはウクライナへの支援について消極的とされており、トランプが大統領として再選されれば、かなり無責任に支援を止めることも予想される(※2)

※1 朝日新聞 2024年1月22日「ウクライナ支援は「両党の優先事項」 米財務副長官 削減求める声も」など

※2 BBC 2024年3月12日「トランプ氏再選なら「ウクライナに一銭も出さない」とハンガリー首相 米支援停止で戦争終結と」、Reuters 2024年3月11日「トランプ氏復権ならウクライナ戦争終結、ハンガリー首相が予測」、東京新聞 2024年2月24日「アメリカでウクライナ支援反対論が広がる理由は「トランプ氏」 専門家が指摘する日本への脅威」など

従って、トランプが大統領に就任すれば、ロシアによる勝利という最悪の結果で戦争が終結する可能性もあろう。これは、今後の国際社会に重大な不安定要素(リスク)をもたらす恐れがある。また、ウクライナが善戦するにしても、戦闘の早期のウクライナの勝利による終結は望めず、ウクライナ、ロシア双方の戦死者をいたずらに増加させることになりかねない。

このようなことは、どちらにしても避けなければならない事態である。しかし、現状において戦闘の継続のためのウクライナ支援を漫然と継続していれば、トランプが米国大統領に就任したときに、逆の意味で最悪の事態を招きかねないのである。


(2)ゼレンスキーとプーチンは和平を望んでいるのか

ウクライナの街並み

※ イメージ図(©photoAC)

ゼレンスキーには、やや好戦的な面があることも事実で(※)、この戦争をきっかけに戦争前の東部のロシア人支配地域とクリミア半島を取り戻そうという意識が強いようだ。

※ ゼレンスキーは、ロシア軍の侵攻を受けたとき、国外脱出を拒否して徹底抗戦の構えを見せた。このため侵略戦争への反対の旗手のように思われている。しかし、そのことは逆から見れば、好戦的な面があるともいえよう。

しかし、彼は、決して侵略戦争に反対という普遍的な正義感に駆られているわけではない。ゼレンスキーは(シオニストだということもあるが)イスラエルによるガザ侵攻を強く支持しており(※)、イスラエルによるガザ市民の殺害を擁護しているのである。決して、侵略戦争というものに対して反対という立場ではないことは知っておいた方がよい。

※ 朝日新聞 2023年10月25日「苦境のゼレンスキー大統領「イスラエルと連帯」 関心低下を恐れたか」、JBpress 2023年11月13日「変わり始めた「正義」の潮目、ゼレンスキーの大失策も後押し」、テレ朝NEWS 2023年11月1日「ガザ攻撃で深まるウクライナ支援国の分断と離反 ゼレンスキー大統領は苦渋の発言修正」など

イスラエルによるガザへの攻撃を支持したことで、ウクライナはグローバルサウスばかりか、西側社会の市民の少なくない割合の支持も失ったのである。

一方のプーチンは、ウクライナへの侵攻を行った時点では、早期のウクライナ全体の占領を予想していたのであろうが、現実には強硬なウクライナの抵抗と国際社会の支援を受けて窮地に立たされる状況となっていた。ところが、そこへ救世主が現れたのである。トランプの善戦である。仮にトランプが勝利すれば、戦争を有利な方向で終結が可能だと期待を持った可能性はあろう。

残念ながらゼレンスキーもプーチンも現時点での和平は望んでいないだろう。そのため、ゼレンスキーとプーチンという2人の好戦的な人物の正義を振りかざした姿勢のために、消耗戦が続いてゆくことになる。繰り返すが、消耗しているのは欧米から送られた兵器だけではない。人間の生命・身体が消耗しているのだ。

このような状態は早期に是正されるべきと筆者は信じる。求められるのは、正義のための戦闘継続ではなく、両国民の生命と生活を確保するための和平なのだ。


3 何をなすべきか

(1)解決への道筋

ウクライナの平和

※ イメージ図(©photoAC)

今、国際社会が行うべきことは、ウクライナの勝利のための戦争継続への支援ではない。このまま戦争を続けていれば、最終的にウクライナが勝利したとしても、多くのウクライナ、ロシア双方の国民が死亡することになるだろう。死者数は増加の一途をたどることになる。

もちろん、ときには正義のための犠牲をいとわぬ戦いが求められることはある。ロシア侵攻直後のウクライナはまさにそのような状況だった。しかし、戦線がここまで膠着こうちゃくしており、消耗戦に入った今、これ以上戦闘を続けていればあまりにも犠牲が大きくなるのではないだろうか。

ときには、正義のための戦いよりも、生命を守るための妥協が求められることもあるのだ。今必要なのは、妥協であって、正義ではない。

筆者は、ゼレンスキーとプーチンの双方に国際世界が強力な圧力をかけてただちに停戦の道を探るべきときであると信じる。そして、次のような方法を検討するべきだと思う。

【ウクライナ戦争の解決への道筋】

  • ウクライナ東部のロシア占領地区からウクライナ軍とロシア軍を撤退させること。ただし、クリミア半島は歴史的に見て本来の帰属はロシアであり、住民もロシア系が多いためその帰属はロシアとするべきであろう。
  • ロシア軍撤退の見返りとしてロシアへの制裁を解除するとともに、国際社会への復帰を認め、プーチンへの国際司法裁判所への逮捕状を取り下げる。
  • 両軍が撤退した地域に、国連軍が進駐する。
  • 当面、国連軍の進駐地域に民間の専門家を入れ、難民・被災者への生活支援、がれきの撤去、地雷原・不発弾の除去を行うこと。
  • 住民が、ウクライナ又はロシアへの転居を望むのであれば禁止しないこと。
  • 住民の生活が安定した後に、国際監視団の立ち合いの下で、地域の帰属を問う投票を行うこと。
  • ウクライナ又はロシアいずれかへの帰属を求める声が圧倒的に多ければ、そちらへの帰属させる。
  • ウクライナ又はロシアへの帰属が拮抗するなら、潜在的な主権はウクライナに置いたまま、沿ドニエストル共和国のような形で実質的に独立させる。

もちろん、このような提案は、ゼレンスキーもプーチンも拒否するだろう。また、プーチンへの逮捕状の取り下げは、国際的な正義の実現にも反する(※)。その意味で反対する者は多いだろう。しかし、誰もが満足しないからこそ妥協になるのである。そして、戦争から和平に至る道は、一方を完全に打ち負かすか、妥協のいずれかしかないのである。そして、一方を完全に打ち負かすには、多くの人々の死が必要となる。

※ かつて、米国は、リビアのカダフィに対して同様なことをしている。今回もできないわけではあるまい。

また、沿ドニエストル共和国をロシア(及び旧ソ連)による拡張主義によるものだという印象があるかもしれない。しかし、モルドバ共和国が民族自決の原則によって独立することが正しいことであることと、全く同じ理由で沿ドニエストル共和国がモルドバから独立することも正しいはずである。反ロシアには民族自決権が認められるが、親ロシアには民族自決権を認めないというのは、ダブルスタンダードである。居住する住民の意志が最も尊重されるべきである(※)

※ もちろん、ウクライナ東部を沿ドニエストル共和国のような形で独立させるにしても、その国民が望まないのであれば、ロシア軍の進駐は避けるための国際的な手立ては採るべきである。

しかし、繰り返すが、もっとも大切なことは、ウクライナ、ロシア双方の死者の増加を止めることである。ゼレンスキーとプーチンには、国際的な圧力をかけることによって納得させるべきである。


(2)最後に

世界平和

※ イメージ図(©photoAC)

本稿を読まれた方は、実現不可能な理想論だと思われるかもしれない。だが、ここに書いたことは、ウクライナ、ロシア双方の国民の死者を減らし、とりわけウクライナ市民の日常生活を取り戻すための「妥協論」であり理想論ではない。

正義の観点には、全く反している。だが、国民が死亡し、生活が破壊される正義よりも、国民が平和に生きられる妥協の方がはるかにマシである。もちろん、民族の自由と自決は何よりも大切である。ときには、命を賭けることが必要な場合もある。だが、その時期はすでに過ぎたのだ。

これ以上、人が死ぬことを求めるべきではない。英語でいえば、「I've had enough」だ。すでに多くの人々が死亡しすぎた。

日米欧の政府が、ウクライナを支援したとき、彼らは自国が戦争に巻き込まれることは望んでいなかった。米国も、ウクライナに対して武器を供与するとき、ロシアへの攻撃をしないことを条件に付けた。そして、どの国も義勇兵や自国の軍隊を出しはしなかった。

要するに、ウクライナ国民だけの犠牲によってプーチンの失脚をねらったのであろう。ウクライナ国民が死ぬことには、彼らは耐えられたのだ。だからこそ、ゼレンスキーはウクライナが世界の盾となってロシアの膨張主義と戦っていると主張したのだ。

だが、真の平和を考えるなら、緒戦においてはウクライナの戦闘への支援を行うにしても、ある程度、ロシアを押し返した時点で、ロシアを和平の協議に引きずり出すことにもっと熱心になるべきだった。それこそがウクライナとロシアの市民への真の支援となるはずだったのではないだろうか。

和平を求めるのに遅すぎるということはない。これからは、ウクライナの戦闘への支援ではなく、和平の道を探るべきだ。


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