溶接ヒューム関連、安衛法令改正




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2020年に安衛令が改正され、溶接ヒュームと塩基性マンガンが特定化学物質に追加された。これまで、特定化学物質は単体又は化合物の化学物質(及びその混合物)であり、ヒュームのような「ある『状態』のもの」が指定されたことはなかった。

また、条文や通達を見ても、分かりにくさがあることは否めない。こいくつかの疑問点について厚労省の担当者から回答を得たので、それを含めて緊急に解説をアップする。

なお、本稿の文責はあくまでも柳川にあり、厚労省の責任ではないことをお断りしておく。



2020年の溶接ヒューム等に関わる安衛令、特化則等の改正について(3/4)

3 定義について(別表第一)

(1)「製剤その他の物」とは

特化則における第二類物質として、同規則別表第一第三十四号の二に「溶接ヒュームを含有する製剤その他の物」との規定がある。

厚労省は、これまで法令上の「製剤その他の物」の「製剤」とは有用物であると説明してきている。なお、「その他の物」については、これまで有用物に限るかどうかについて、明確な説明はしてこなかったと思う。

なぜ、わざわざ有用性のない溶接ヒュームについて「製剤その他の物」などと表現するのかが疑問だったのだが、これについては厚労省の担当者から明確な回答はなかった。ただ、今回、「製剤その他の物」に廃棄物を含むという考え方は明確にしたようだ。

(2)重量の1パーセント以下とは

また、特化則別表第一第三十四号の二は、「溶接ヒュームを含有する製剤その他の物。ただし、溶接ヒュームの含有量が重量の1パーセント以下のものを除く」と定められている。

問題は「溶接ヒュームの含有量が重量の1パーセント以下」の分母は何かであるが、厚労省の担当者によると、気中に発生したダスト、ヒュームなどの総量が分母になるとのことであった。気中に生じた粒子状物質のうち、ヒュームの割合が重量割合で1%以下の場合を除く趣旨とのことであった。

ただ、これはきわめてばかばかしい説明のように思える。ダストはヒュームに比べると粒径が比較にならないほど大きいので、ダストが気中に舞っている職場では、ヒューム位の重量がダストの1%を超えることはほとんどないのではなかろうか。

粉じんの待っている不衛生な職場では、溶接ヒュームに関する規制が適用されないということになりかねない。たぶん、説明が誤っているのだろう。





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