初めて労働衛生コンサルタント試験の口述試験を受けるときに、「試験場の雰囲気が分からなくて不安」、という声があります。
口述試験を受験するとき、余計な不安はなくして知識を十分に発揮できるようにしておくことが望ましいことはいうまでもありません。
不安をなくして実力を発揮できるように、口述試験の流れや事前に準備しておくとよい事項をまとめてみました。筆記試験が終わったら参考にしてみてください。
内容の無断流用はお断りします。
労働衛生コンサルタント試験
口述試験マニュアル(3/4)
2 実際の試験の状況など
(1)受験の形式
ア 試験官と試験会場
口述試験の試験官は3名である。中央は産業保健の学識者、左右の2名は実務家と行政官である。いずれも我が国内の産業保健に関するそれぞれの立場のトップクラスの人物である。産業保健についての造詣はきわめて深い。なお、大阪会場の試験官は、東京会場の試験官よりも優しいという噂がネットで流れることがあるが、フェイクである。
試験会場は、入り口付近に手荷物用の机があり、その他には試験官の長机と受験者用の長机が、2メートルほど隔てて置かれている。受験者用の机には受験票を置くが、机があることで心理的にやや緊張感が和らげられる。また、受験者用の机には椅子が1脚置かれている。
東京会場の試験場はそれほど広くないが、大阪会場はかなり広いので、やや落ち着かないかもしれない。なお、いずれもそれほど寒くはないので、防寒を気にする必要はない。
イ 試験の進行
試験当日、会場へ出向いて受付を済ませると待合室で待つように指示される。試験の約15分前に呼び出され、荷物等をすべて持って試験会場へ向かう。なお、保健衛生区分は欠席者が多いので、時間が早まることがあるが、その場合は受験者に同意を求められる。
試験会場の入り口に椅子が置いてあり、直前の受験者が試験を受けている間、そこで待つことになる。なお、椅子の近くに暖房用の小さなストーブが置かれている。このとき、受験票をカバンから出して手にしておく。
直前の受験生が試験会場から退出した後、しばらく待つと、試験官から入室するように指示される。会場に入ると、試験官から「入り口近くの机に荷物をおいて、椅子に座って下さい」と促される。
椅子に座って、受験票を机の上に置く。まず、試験区分、受験番号、氏名を問われる。答えるときは受験票を見てかまわない。
次に、産業保健の実務経験の年数を問われることが多い。受験申請書に記した年数を答えればよい。このとき、あまり時間を取らないようにする。試験時間は15分程度なので、あまり時間をかけると、試験官が焦れてその後の進行で考える時間が削られるなど影響が出るおそれがある。
その後、15分程度、質問が続く。実際に受けてみると、15分よりもかなり長いように感じる。
終わるときは、突然終わる。試験官から「結構です、荷物を持って出て下さい」と言われ、それで終わりである。待合室に寄ることなくそのまま帰宅する。
(2)受験の状況など
ア 試験の雰囲気
試験官が高圧的な態度をとることはない。受験生は「さん」付けで呼ばれ、医師の場合は「先生」と呼ばれる。また、いかにも知識を試してやるという雰囲気はなく、産業保健について雑談でもしているような感覚のケースが多い。
※ イメージ図(©illustAC)
ただし、試験官が質問して、期待通りの回答がないと、さらに突っ込んでくる。これは、受験生のために正しい答えに誘導しようとしてヒントを与えていると考えた方がよい。パニックにならないように注意しよう。
例えば、「熱中症のリスクを判定するときWGBTを用いますが、気温ではなくWBGTを用いる理由は何ですか」と問われて答えられなかったとしよう。そのとき、試験官が「熱中症のリスク要因で、作業環境中に存在するものを4つ挙げてください」と問われたとすれば、これは試験官がヒントを出しているのである。
(3)受験時の注意事項
ア 服装など
就職試験ではないのだからよほど極端な場合でなければ、服装や髪形が理由で落とされることはないだろう。過去の受験生で、試験の前に理美容室に行ったという話を聞いたことがあるが、わざわざ髪形を整える必要まではないと思う。
しかし、ラフなスタイルではなく、ビジネススタイル=普段の仕事着にしておいた方が無難ではある。
イ リラックスして受験する
言われてできるものではないが、当日は、適度にリラックスして受験するようにしたい。
ウ 受験の心得
分からない質問があったときは分かりませんと言えば、質問を変えてくれるだろう。ただし、試験である以上、これを複数回、繰り返せば不合格になると思った方が良いだろう。
なお、質問の意味が分からなければ、尋ねても(見当はずれなことを言わない限り)不利益にはならないのではないか。
また、試験官の質問に対して、反論するようなことは避けるた方が良い。ほとんどの場合、受検者の方が間違っている。間違った意見を強く主張する人物だと評価されるだけのことだろう。