労働衛生コンサルタント試験 2023年 労働衛生一般 問09

騒音性難聴




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 このページは、2023年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

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2023年度(令和05年度) 問09 難易度 熱中症対策に関する初歩的な知識問題。いずれも常識的な内容である。確実に正答できなければならない。
熱中症対策

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問9 熱中症に関する次のイ~ニの記述について、適切なもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。

イ 件業現場の WBGT 値の低下は、天候による要因のみで起きる。

ロ 熱中症の労働衛生教育の対象者は作業を管理する者と労働者の両方であり、教育内容には、熱中症の症状・予防方法、緊急時の救急処置、熱中症の事例が含まれる。

ハ 熱中症の救急処置において、自力で水分・塩分摂取できる場合でも症状が回復しないときは、医療機関へ搬送する。

ニ WBGT 基準値は、暑熱非順化者に用いる値の方が、暑熱順化者に用いる値より大きな値となる。

(1)イ  ロ

(2)イ  ハ  ニ

(3)イ  ニ

(4)ロ  ハ  ニ

(5)ロ  ハ

正答(5)

【解説】

問9試験結果

試験解答状況
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本問は、イが明らかに誤っているので、(1)~(3)が正答でないことは容易に分かる。そうなると(4)と(5)の違いはニだけであるから、ニが正しいか誤っているかが分かれば正答できる。

ニの暑熱順化者と暑熱非順化者では、暑熱非順化者の方がより熱中症への耐性が低いことは明らかであろう。であれば、暑熱非順化者の方がより低いLGBT値で対策を始めるべきである(基準値を低くするべきである)。勘違いさえしなければ正答できる問題である。

イ 適切ではない。WBGT とは気温、湿度、放射熱及び気流を総合的に評価した熱中症の危険を表す指標である。気温、湿度、放射熱及び気流のいずれについても、影響を与えるものは天候に限られないことは当然である。

例えば、作業場に高温の物体があれば、それが作業空間の温度を上げることは明らかであろう。その温度が極めて高いと熱線も放射する。また、水が沸騰する解放された設備があれば、蒸発した水が作業場の湿度に影響を与えることも当然である。

ロ 適切である。「職場における熱中症予防基本対策要綱」(以下、本問の解説において「要綱」という。)(令和3年4月20日基発0420第3号「職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について」)の「第2 熱中症予防対策」の「4 労働衛生教育」に次のように定められている。

【職場における熱中症予防基本対策要綱】

第2 熱中症予防対策

4 労働衛生教育

  労働者を高温多湿作業場所において作業に従事させる場合には、適切な作業管理、労働者自身による健康管理等が重要であることから、作業を管理する者及び労働者に対して、あらかじめ次の事項について労働衛生教育を行うこと。

(1) 熱中症の症状

(2) 熱中症の予防方法

(3) 緊急時の救急処置

(4) 熱中症の事例

  なお、(2)の事項には、1から4までの熱中症予防対策が含まれること。

※ 令和3年4月20日基発0420第3号「職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について

ハ 適切である。要綱に添付された「解説」の「5 救急処置について」の図:熱中症の救急処置(現場での応急処置)において、自力で水分・塩分摂取できる場合でも症状が回復しないときは、医療機関へ搬送することとされている。

ニ 適切ではない。要綱の表1-1 身体作業強度等に応じた WBGT 基準値では、WBGT 基準値は、暑熱非順化者に用いる値の方が、暑熱順化者に用いる値より小さな値とされている。

2024年01月17日執筆