労働衛生コンサルタント試験 2023年 労働衛生一般 問10

テレワークと長時間労働対策




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2023年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

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2023年度(令和05年度) 問10 難易度 テレワークの長時間労働対に関する知識問題。長時間労働対策は初出であるが、正答率は高かった。
長時間労働対策

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問10 厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」における長時間労働対策に関する次のイ~ニの記述について、適切なもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。

イ 所定外深夜及び休日は、事前に許可を得ない限り、社内システムにアクセスできないように設定する。

ロ 労使の合意により、時間外等の労働が可能な時間帯や時間数を、あらかじめ使用者が設定する。

ハ 一日の勤務終了後から翌日の勤務までの間に一定時間以上の休息時間を設けるインターバル制度を採用する。

ニ 長時間労働が生じた労働者に対しては、管理者が労働時間の記録を踏まえて注意喚起する。

(1)イ  ロ  ハ  ニ

(2)イ  ロ  ハ

(3)イ  ニ

(4)ロ  ハ

(5)ハ  ニ

正答(1)

【解説】

問10試験結果

試験解答状況
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本問は、問題文にもあるように「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(以下、本問の解説において「ガイドライン」という。)(概要)からの出題である。

この種の指針類に関する問題は、指針類の内容を知らなくとも、その肢に書かれていることが適切かどうかで判断すればよい。厚労省が作成した指針に関する問題で、正しい内容のものが指針に書かれていないという問題を出すはずがないのである。

なお、このガイドラインは「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」(平成30年2月)を改訂したものである。

イ 適切である。ガイドラインの7(4)オ(イ)により、所定外深夜及び休日は、事前に許可を得ない限り、社内システムにアクセスできないように設定することが定められている。

テレワークでは、仕事のプライベートの区別がつきにくくなるので、システムに接続できないようにすることで、その切り替えができるようにしたものである。

【テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン】

7 テレワークにおける労働時間管理の工夫

(4)テレワークに特有の事象の取扱い

オ 長時間労働対策

(イ)システムへのアクセス制限

  テレワークを行う際に、企業等の社内システムに外部のパソコン等からアクセスする形態をとる場合が多いが、所定外深夜・休日は事前に許可を得ない限りアクセスできないよう使用者が設定することが有効である。

※ 「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン

ロ 適切である。ガイドラインの7(4)オ(ウ)により、労使の合意により、時間外等の労働が可能な時間帯や時間数を、あらかじめ使用者が設定することとされている。

労使の合意により、働く時間などを決定するということは、内容として誤っていない。従って、ガイドラインの内容を知らなくても正しい肢だと判断してよい。

【テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン】

7 テレワークにおける労働時間管理の工夫

(4)テレワークに特有の事象の取扱い

オ 長時間労働対策

(ウ)時間外・休日・所定外深夜労働についての手続

  通常のオフィス勤務の場合と同様に、業務の効率化やワークライフバランスの実現の観点からテレワークを導入する場合にも、その趣旨を踏まえ、労使の合意により、時間外等の労働が可能な時間帯や時間数をあらかじめ使用者が設定することも有効である。この場合には、労使双方において、テレワークの趣旨を十分に共有するとともに、使用者が、テレワークにおける時間外等の労働に関して、一定の時間帯や時間数の設定を行う場合があること、時間外等の労働を行う場合の手続等を就業規則等に明記しておくことや、テレワークを行う労働者に対して、書面等により明示しておくことが有効である。

※ 「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン

ハ 適切である。ガイドラインの7(4)オ(オ)により、一日の勤務終了後から翌日の勤務までの間に一定時間以上の休息時間を設けるインターバル制度を採用することとされている。

【テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン】

7 テレワークにおける労働時間管理の工夫

(4)テレワークに特有の事象の取扱い

オ 長時間労働対策

(オ)その他

  このほか、勤務間インターバル制度はテレワークにおいても長時間労働を抑制するための手段の一つとして考えられ、この制度を利用することも考えられる。

※ 「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン

ニ やや微妙ではあるが、適切であるとしてよいであろう。ガイドラインの7(4)オ(エ)には、「使用者が注意喚起を行う」とされており、「具体的には」として、「管理者が労働時間の記録を踏まえて行う方法や、労務管理のシステムを活用して対象者に自動で警告を表示するような方法が考えられる」としている。

出題者も、まさか「管理者」ではなく「使用者」だから誤りだなどとは言わないだろう。

【テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン】

7 テレワークにおける労働時間管理の工夫

(4)テレワークに特有の事象の取扱い

オ 長時間労働対策

(エ)長時間労働等を行う労働者への注意喚起

  テレワークにより長時間労働が生じるおそれのある労働者や、休日・所定外深夜労働が生じた労働者に対して、使用者が注意喚起を行うことが有効である。

  具体的には、管理者が労働時間の記録を踏まえて行う方法や、労務管理のシステムを活用して対象者に自動で警告を表示するような方法が考えられる。

※ 「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン
2024年01月23日執筆