労働衛生コンサルタント試験 2022年 労働衛生一般 問05

電離放射線とその人体影響




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2022年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

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2022年度(令和04年度) 問05 難易度 電離放射線とその人体影響に関する基本的な問題。過去問も多く、正答できなければならない。
電離放射線

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問5 電離放射線に関する次の記述のうち誤っているものはどれか。

(1)吸収線量は、電離放射線の照射により、単位質量の物質に付与されたエネルギーをいい、単位としてはGy(グレイ)が用いられる。

(2)エックス線とガンマ線は、ともに紫外線よりエネルギーの高い電磁波である。

(3)原子核のアルファ崩壊で放出されたアルファ線は、電荷が正のヘリウム原子核からなっている。

(4)小腸粘膜は、放射線感受性が非常に高い組織である。

(5)血液の血球のうち、放射線に最も敏感なものは赤血球である。

正答(5)

【解説】

問5試験結果

試験解答状況
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(1)正しい。本肢は吸収線量の定義である。2016年問4の(2)に同じ問題がある。

(2)正しい。電磁波のエネルギーは次式のように表される。

E==hω2π=hcλ

h:プランク定数

ν:振動数

ω:角速度

c:光速

λ:波長

すなわち、振動数が高いほどエネルギーは大きい。エックス線もガンマ線も電磁波であり、紫外線よりも波長が短い。すなわち振動数が高いので、紫外線よりエネルギーが高い。

なお、紫外線の振動数は、1015から3×1016程度であるが、エックス線は3×1016以上、ガンマ線は3×1019以上である。

(3)正しい。本肢は、2014年問4の(1)の解説を読んでおけば正答できる肢である。

(4)正しいとしておく。環境省「臓器・組織の放射線感受性」によると消化器系粘膜は比較的感受性の高い組織とされている。なお、青山喬「放射線基礎医学(第10版)」(金芳堂 2004年 P238)によると腸上皮の放射線感受性は「最も高い」グループに分類されている。

(5)誤り。血液の血球の放射線への感受性の指標をどう考えるかの問題はあるが、一般には、血小板が最も高く、リンパ球がそれに次いでいる。赤血球は血球中では放射線に強いとされる。

2022年12月06日執筆