労働衛生コンサルタント試験 2014年 労働衛生一般 問04

電離放射線




問題文
トップ
合格

 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2014年度(平成26年度) 問04 難易度 電離放射線に関するやや高度な知識問題。合否をわけるレベルか。確実に正答できるようにしたい。
電離放射線

問04 電離放射線に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)アルファ線、ベータ線及びエックス線のうち、透過力がもっとも強いものはエックス線である。

(2)エックス線とガンマ線は、ともに紫外線よりエネルギーの高い電磁波である。

(3)エックス線とガンマ線は、エネルギーの高低により区分される。

(4)吸収線量はグレイ(Gy)で表され、実効線量はシーベルト(Sv)で表される。

(5)外部放射線による実効線量は、1 cm 線量当量によって算定される。

正答(3)

【解説】

(1)正しい。アルファ線は、ヘリウムの原子核(陽子2個・中性子2個)の流れであり、原子核から放出される。紙1枚でもさえぎることができる。

ベータ線は、電子の流れであり、原子核から放出される。アルミニウムなどの金属板でさえぎることができる。

ガンマ線とエックス線はともに電磁波であり、どちらも鉛でさえぎることができる。

問題には出ていないが、中性子線は文字通り中性子の流れだが、大量の水などでさえぎることができる。

なお、本件については環境省のサイトに分かりやすい解説がある。

(2)正しい。エックス線、ガンマ線及び紫外線は、いずれも電磁波である。そして、電磁波のエネルギEは、プランク定数をh(6.6×10-34[Js])、周波数をν[s-1]、光束をc(約3×108[m/s])、波長をλ「m」とすると、

E=hν=h・c/λ

となる。すなわち、波長が短い(周波数が高い)ほどエネルギは大きくなるのである。エックス線(波長:10nm~1pm)及びガンマ線(波長:1pm以下)の波長は、紫外線(波長:100nm~380nm)よりも短いため、エネルギも大きい。

(3)誤り。設問の文章が分かりにくいが、「エックス線とガンマ線を区別するメルクマールがエネルギーの高低だ」と言いたいらしい。エックス線をエネルギによって区分したり、ガンマ線をエネルギによって区分すると言っているわけではないようだ。

それを前提にすると、エックス線とガンマ線の違いは、発生機構の違いによるのである。ガンマ線は、放射性核種の原子核崩壊によって発生する。一方、エックス線は軌道電子の遷移によって発生するのである。エネルギが同じであれば、ガンマ線とエックス線は同じものであり、区別することはできない。

(4)正しい。吸収線量はグレイ(Gy)で表され、実効線量はシーベルト(Sv)で表される。

名称 意味 具体例 単位
物理量 直接計測できる量 放射能の強さ Bq
吸収線量 Gy
防護量 人体の被ばく線量であり、直接計測できない。放射線健康リスクに関する量 実効線量 Sv
等価線量 Sv
臓器吸収線量 Gy
実用量 防護量と同様な考え方だが、物理量から定義される 周辺線量当量 Sv
方向性線量当量 Sv
個人線量当量 Sv

(5)正しい(電離則第3条第2項参照)。なお、1cm線量当量とは、個人線量当量では、人体表面上の1cmの深さにおけるICRU人体等価物質中の線量当量である。

【電離放射線障害防止規則】

(管理区域の明示等)

第3条 (略)

 前項第一号に規定する外部放射線による実効線量の算定は、一センチメートル線量当量によつて行うものとする。

3~5 (略)

2020年05月17日執筆 2021年08月14日一部加筆