労働衛生コンサルタント試験 2022年 労働衛生一般 問03

有害物質の性状、空気中での状態等




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2022年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

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2022年度(令和04年度) 問03 難易度 有害物質の性状等に関する問題は頻出事項である。確実に正答できなければならない。
有害物質の性状等

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問3 化学物質の性状、空気中での状態等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)クリストバライト及びトリジマイトは、遊離けい酸である。

(2)ミストは、空気中に浮遊している液体の微粒子で、形は球形をしている。

(3)一般に、環境空気中の有害物質の濃度の算術平均値が高くなるにしたがって、濃度の標準偏差も大きくなる。

(4)25℃において、ジクロロメタンの蒸気圧は、トルエンの蒸気圧よりも大きい。

(5)アセトンは、脂溶性は有しているが水溶性は有していない。

正答(5)

【解説】

問3試験結果

試験解答状況
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(1)正しい。遊離けい酸とは、けい素と酸素が結合した鉱物を指す言葉で結晶質シリカとも言われる。本肢のクリストバライト、トリジマイトの他、石英、コーサイト、ステイショバライトなどがある。

(2)正しい。ミスト(mist)は、空気中に浮遊している液体の微粒子である。表面張力の影響で、ほぼ球形になる。

作業空間中の微粒子(aerosol)には、この他、粉じん(dust)、フューム(fume)などがある。これらの粒子の大きさ、液体・固体の違い、形状、発生の経緯などは覚えておいた方がよい。

表:ミスト、粉じん、ヒューム
エアロゾルの種類 大きさ 液体/固体 形状 発生の過程
ミスト(mist) サブミクロンから 20μm 程度まで 液体 球形 液体の蒸気が空気中で凝縮したもの、液面の破砕によるもの、スプレー作業の噴霧により分散したものなど
粉じん(dust) 1μm以上のものが多いが、範囲は広い 固体 形、大きさともに不均一 粉砕、研磨、穿孔、爆発など、主として物理的な破砕の過程で生じる。
フューム(fume) 0.2~1μm 程度のものが多い 固体 球形又は結晶の整った形状の粒子が連なっている アーク溶接、溶断、スパーク等で発生した金属蒸気又はガスが空気中で冷却されて凝縮して生じる。

※ 大きさについてはテキストによってバラツキがある。

(3)正しいといってよい。経験的に、環境空気中の有害物質の濃度の算術平均値が高くなるにしたがって、濃度の標準偏差も大きくなる。学術的な根拠があるかと言われれば、やや怪しいが。

(4)正しい。政府のモデルSDSによると25℃における蒸気圧は、ジクロロメタン(435 mmHg(HSDB(2017))、トルエン(28.4 mmHg(HSDB(2010))である。

(5)誤り。政府のモデルSDSによるとアセトンの水溶解度は、1.00×106mg/Lであり、難水溶性ではない。

本肢は、2018年問2の(4)又は2014年問2の(1)の解説を読んでいれば、誤りと分かったはずである。

2022年12月06日執筆