労働衛生コンサルタント試験 2021年 労働衛生一般 問21

GHS




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 このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

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2021年度(令和3年度) 問21 難易度 GHSに関するやや高度な知識問題ではあるが、言葉の意味から正答できるだろう。正答率も高い。
GHS(全般)

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問21 「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)における有害性の項目に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)皮膚刺激性とは、化学品の4時間以内の皮膚接触で、皮膚に可逆的な損傷を発生させる性質をいう。

(2)眼刺激性とは、眼の表面に化学品をばく露した後に生じた眼の変化で、ばく露から21日以内に完全に治癒するものを生じさせる性質をいう。

(3)呼吸器感作性とは、化学品の吸入によって気道過敏症を引き起こす性質をいう。

(4)発がん性とは、細胞の集団又は生物体における突然変異の発生率を増加させる性質をいう。

(5)生殖毒性とは、雌雄の成体の生殖機能及び受精能力に対し悪影響を及ぼす性質及び子の発生に対し悪影響を及ぼす性質をいう。

正答(4)

【解説】

問21試験結果

試験解答状況
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本問は、「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)改訂6版」(以下「GHS(改訂6版)」という。)の「第1.2章 定義及び略語」等からの出題である。

なお、刺激性とは可逆的な傷害を与える性質、腐食性とは非可逆的な障害を与える性質、感作性とは過敏反応(アレルギー)を誘発する性質であることは覚えておくこと。

(1)正しい。GHS(改訂6版)の定義によれば、皮膚刺激性(Skin irritation)とは、「試験物質の4時間以内の適用で、皮膚に対する可逆的な損傷が発生することをいう」とされている。

(2)正しい。GHS(改訂6版)の定義によれば、眼刺激性(Eye irritation)とは、「眼の表面に試験物質をばく露した後に生じた眼の変化で、ばく露から21 日以内に完全に回復するものをいう」とされている。

(3)正しい。GHS(改訂6版)の定義によれば、呼吸器感作性物質(Respiratory sensitizer)とは、「物質の吸入により気道に過敏反応を誘発する物質をいう」とされている。

(4)誤り。GHS(改訂6版)の定義によれば、発がん性物質(Carcinogen)とは、「がんを誘発し、またはその発生頻度を増大させる物質または混合物をいう」とされている。

なお、細胞の集団または生物体に突然変異を発生する頻度を増大させる物質は、変異原性物質(Mutagen)である。

(5)正しい。生殖毒性については、GHS(改訂6版)の「第1.2章 定義及び略語」には、定義は示されていない。

しかし、「第3.7章 生殖毒性」の「3.7.1 定義および一般事項」によれば、「生殖毒性には、雌雄の成体の生殖機能および受精能力に対する悪影響に加えて、子の発生毒性も含まれる」とされている。

2021年11月26日執筆