労働衛生コンサルタント試験 2021年 労働衛生一般 問20

立位の作業姿勢と健康影響




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 このページは、2021年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2021年度(令和3年度) 問20 難易度 作業姿勢に関する問題は、例年、出題意図が不明な問題が多い。ただ、常識レベルで難易度は低い。
立位姿勢と健康影響

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問20 立位での作業姿勢に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)前屈姿勢をさけるため、腰の曲げ角度を小さくする。

(2)膝を伸ばした姿勢とする。

(3)ねじりやひねりの姿勢をなくす。

(4)作業面及び作業台の高さは肩から膝くらいまでの高さに調整する。

(5)良い作業姿勢のための適正な視野は、左右にそれぞれ30°、計60°である。

正答(4)

【解説】

問20試験結果

試験解答状況
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本問は、「職場における腰痛予防対策指針」(以下、「指針」という。)(平成25年6月18日基発0618第1号)の「Ⅱ 立ち作業」などに関する問題である。

(1)適切である。指針の「Ⅱ 立ち作業」に「機械・各種製品の組立工程やサービス業等に見られるような立ち作業においては、拘束性の強い静的姿勢を伴う立位姿勢、前屈姿勢や過伸展姿勢など、腰部に過度の負担のかかる姿勢となる場合がある」としている。前屈姿勢をさけるため、腰の曲げ角度を小さくするべきである。

(2)適切である。これは解説するまでもないであろう。立位作業で膝を曲げた姿勢が不自然であることは言うまでもあるまい。

(3)適切である。指針の「2 作業管理」に「前屈、中腰、ひねり、後屈ねん転等の不自然な姿勢を取らないようにすること。適宜、前屈や中腰姿勢は膝を着いた姿勢に置き換え、ひねりや後屈ねんてんは体ごと向きを変え、正面を向いて作業することで不自然な姿勢を避けるように心がける」とされている。

(4)適切ではない。指針の「2 作業管理」に「作業台や椅子は適切な高さに調節すること。具体的には、立位、椅座位に関わらず、作業台の高さは肘の曲げ角度がおよそ 90 度になる高さとすること」とされている。作業台を肩の高さにしたのでは、肘の曲げ角度がおよそ 90 度になることはあり得ない。

なお、作業台そのものの高さが問題なのではなく、作業を行うときの肘の曲げ角度が問題なのである。ある程度高さのあるものについて作業を行うのであれば、作業台が膝の高さより低いということもあり得る。

(5)適切であるとしておくが不明。2020年度問20の(4)と同じ肢である。詳しくはその解説に書いたが文章そのものの意味が不明である。(4)が不適切であるので、本肢は適切であるとしておく。

2021年11月26日執筆