労働衛生コンサルタント試験 2012年 労働衛生一般 問27

労働衛生統計等




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合格

 このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2012年度(平成24年度) 問27 難易度 安全衛生教育等推進要綱についての基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
労働衛生統計等

問27 労働衛生統計等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)平成22年度における精神障害等に係る労災補償の支給決定件数は、300件を超え、年度ごとの件数としてはそれまでで最も多い件数となった。

(2)平成19年に行われた厚生労働省の「労働者健康状況調査」では、調査対象の労働者のほぼ6割が、強い不安、悩み、ストレスがあるという結果であった。

(3)厚生労働省の「定期健康診断結果調査」によれば、平成22年における定期健康診断有所見率は、50%を超えている。

(4)厚生労働省の「業務上疾病調査」によれば、業務上疾病者数(休業4日以上)は、平成10年以降、毎年小幅ながら減少を続けている。

(5)警察庁の「自殺の概要資料」によれば、平成22年における被雇用者の自殺は、8500人余りとなっている。

正答(4)

【解説】

労働衛生統計については、本サイトの「最新の労働衛生の統計情報」の他、本問に関する具体的な数値は「表で見る労働災害の発生と労働衛生の状況」も参照されたい。

精神障害等に係る労災補償の支給決定件数

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(1)正しい。平成22年度(2010年度)における精神障害等に係る労災補償の支給決定件数は300件を超え、年度ごとの件数としてはそれまでで最も多い件数となった。

なお、その後は増減を繰り返しつつ、全体としては増加傾向にある。

(2)正しい。労働者健康状況調査によると、平成19年の調査では「仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合」は58.0%であった(※)

※ 労働者健康状況調査は「仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合」は調査しているが、たんに「強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者」についての調査は行っていない。従って設問自体にやや疑問はある。

ストレスとなっている事柄がある労働者の割合の推移

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同調査は平成24年版で廃止になっている。近年では労働安全衛生調査で、同様な調査を行っており、その結果は右図のようになっている(※)。なお、具体的な数値は「表で見る労働災害の発生と労働衛生の状況」を参照されたい。

※ 2014年(平成26年)及び2019年(令和元年)には、他の特別な調査を行うため、労働安全衛生調査を行っていない。

こちらは、「現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合」を調べたものである。「総計」でみると、ほぼ50~60%の間で推移している。

定期健康診断における有所見率の推移

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(3)正しい。一般の定期健康診断における有所見率は、右図に示すように平成20年(2008年)に50%を超え、その後毎年増加している。

業務上疾病者数の推移

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(4)誤り。業務上疾病発生状況等調査は、厚労省のサイトには平成16年(2004年)以降しか公表されていないが、休業4日以上の業務上災害の発生件数は右図のようになっており、必ずしも減少傾向にはない(※)

※ なお、令和2年(2020年)以降の新型コロナへの感染は除いている。新型コロナへの感染を含めたグラフは「労働衛生(産業保健)最新統計」を参照して頂きたい。

自殺者の推移

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(5)正しい。警察庁の「自殺の概要資料」によれば、平成22年(2010年)における「被雇用者・勤め人」(※)の自殺者は、8,568人となっていた。なお、被雇用者の自殺者数は、その後、大幅に減少している。

※ 警察庁のこの時期の「自殺の概要資料」の職業別分類には、「被雇用者・勤め人」という区分はあるが、本肢の「被雇用者」という分類区分はない。

また、全国の全自殺者の数は、平成10年(1998年)に急増して3万人を超え、その後3万人以上で推移していた。しかし、平成24年(2012年)に2万8000人を切り、15年ぶりに3万人を下回った。

2022年01月12日執筆