第1種衛生管理者試験 2022年10月公表 問18

金属などによる健康障害




問題文
トップ
受験勉強に打ち込む

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2022年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、下表の左欄、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2022年10月公表問題 問18 難易度 金属による中毒に関する基本的な知識問題。頻出事項でもあり、正答できなければならない。
金属による健康障害

問18 金属による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)金属水銀中毒では、感情不安定、幻覚などの精神障害、手指の震えなどの症状がみられる。

(2)鉛中毒では、貧血、末しょう神経障害、腹部のせん痛などの症状がみられる。

(3)マンガン中毒では、指の骨の溶解、肝臓の血管肉腫などがみられる。

(4)カドミウム中毒では、上気道炎、肺炎、腎機能障害などがみられる。

(5)素中毒では、角化症、黒皮症などの皮膚障害、鼻中隔穿せん孔などの症状がみられる。

正答(3)

【解説】

(1)正しい。金属水銀中毒では、頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、震え(振せん)、歩行障害等の神経障害、焦燥感、記憶減退、不眠等の精神障害、口腔粘膜障害又は腎障害などが現れる。

(2)正しい。鉛中毒では、血液障害(血色素の合成過程を鉛が阻害するために貧血がおこる)、神経障害(初期には筋肉痛、関節痛、筋力低下が発生する。症状が進むと、いわ ゆる垂れ手と呼ばれる症状が現れる。)、消化器の障害(初期には、食欲減退、嘔吐、下痢・便秘などが起きる。また、腹部に疝痛が起きることがある)などの症状を伴う。

(3)誤り。マンガン中毒では、頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状の他、筋のこわばり、言語障害、歩行障害、震え(振せん)等の神経障害などのパーキンソン病に似た症状がみられる。

しかし、指の骨の溶解、肝臓の血管肉腫などはみられない。指の骨の溶解、肝臓の血管肉腫は塩化ビニルで発症することがある。

(4)正しい。カドミウムはいわゆる「イタイイタイ病」の原因となった物質であり、急性症例の主要症状には、上気道炎、肺炎や肺水腫による呼吸困難がある。また、長期曝露による慢性影響としては、腎臓への影響などが挙げられる。なお、骨軟化がみられることも覚えておく必要がある。

(5)正しい。砒素中毒には急性中毒と慢性中毒があるが、慢性中毒では、とくに皮膚に症状が現れ、角化症、黒皮症などの皮膚障害が発症する。また、ボーエン病、皮膚がん、膀胱がん、肺がんの他、鼻中隔穿孔や末梢神経障害などもみられる。

2022年10月05日執筆