第1種衛生管理者試験 2019年10月公表 問06

有機溶剤中毒予防規則による規制




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合格

 このページは、試験協会が2019年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年10月公表問題 問06 難易度 有機溶剤中毒予防規則に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
有機溶剤中毒予防規則

問6 屋内作業場において、第二種有機溶剤等を使用して常時洗浄作業を行う場合の措置として、法令上、正しいものは次のうちどれか。

ただし、有機溶剤中毒予防規則に定める適用除外及び設備の特例はないものとする。

(1)第一種衛生管理者免許を有する者のうちから有機溶剤作業主任者を選任する。

(2)作業中の労働者が有機溶剤等の区分を容易に知ることができるよう容器に青色の表示をする。

(3)作業場における空気中の有機溶剤の濃度を、1年以内ごとに1回、定期に測定する。

(4)作業に常時従事する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、有機溶剤等健康診断を行う。

(5)作業場所に設けたプッシュプル型換気装置について、1年を超える期間使用しない場合を除き、1年以内ごとに1回、定期に、自主検査を行う。

正答(5)

【解説】

(1)誤り。有機則第19条第2項から明らかなように、有機溶剤作業主任者は、有機溶剤作業主任者技能講習を修了した者のうちから選任する。第一種衛生管理者免許を有する者のうちから選任するのではない。作業主任者と衛生管理者では、資格の性格が異なっている。

なお、同条第1項に定める適用除外は、本肢の場合問題文によって除かれている。

【労働安全衛生法】

(作業主任者)

第14条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

【労働安全衛生法施行令】

(作業主任者を選任すべき作業)

第6条 法第十四条の政令で定める作業は、次のとおりとする。

一~二十一 (略)

二十二 屋内作業場又はタンク、船倉若しくは坑の内部その他の厚生労働省令で定める場所において別表第六の二に掲げる有機溶剤(当該有機溶剤と当該有機溶剤以外の物との混合物で、当該有機溶剤を当該混合物の重量の五パーセントを超えて含有するものを含む。第二十一条第十号及び第二十二条第一項第六号において同じ。)を製造し、又は取り扱う業務で、厚生労働省令で定めるものに係る作業

二十三 (略)

【有機溶剤中毒予防規則】

(有機溶剤作業主任者の選任)

第19条 令第六条第二十二号の厚生労働省令で定める業務は、有機溶剤業務(第一条第一項第六号ルに掲げる業務を除く。)のうち次に掲げる業務以外の業務とする。

 第二条第一項の場合における同項の業務

 第三条第一項の場合における同項の業務

 事業者は、令第六条第二十二号の作業については、有機溶剤作業主任者技能講習を修了した者のうちから、有機溶剤作業主任者を選任しなければならない。

(2)誤り。有機則第25条により、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、有機溶剤等の区分を作業中の労働者が容易に知ることができるよう見やすい場所に表示しなければならず、その色分けは第二種有機溶剤の場合黄色でなければならない。容器に青色の表示をするのではない。

【有機溶剤中毒予防規則】

(有機溶剤等の区分の表示)

第25条 事業者は、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務に係る有機溶剤等の区分を、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、色分け及び色分け以外の方法により、見やすい場所に表示しなければならない。

 前項の色分けによる表示は、次の各号に掲げる有機溶剤等の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める色によらなければならない。

 第一種有機溶剤等 赤

 第二種有機溶剤等 黄

 第三種有機溶剤等 青

(3)誤り。有機則第28条第2項により、作業場における空気中の有機溶剤の濃度を、6月以内ごとに1回、定期に測定する。1年以内ごとに1回ではない。

なお、作業環境測定は、6月以内ごとに1回、定期に測定するものがほとんどである。試験対策としてはそうではないものを覚えておけばよい。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一~九 (略)

 別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で厚生労働省令で定めるものを行う屋内作業場

【有機溶剤中毒予防規則】

(測定)

第28条 令第二十一条第十号の厚生労働省令で定める業務は、令別表第六の二第一号から第四十七号までに掲げる有機溶剤に係る有機溶剤業務のうち、第三条第一項の場合における同項の業務以外の業務とする。

 事業者は、前項の業務を行う屋内作業場について、六月以内ごとに一回、定期に、当該有機溶剤の濃度を測定しなければならない。

 (略)

(4)誤り。有機則第29条第2項により、作業に常時従事する労働者に対し、6月以内ごとに1回、定期に、有機溶剤等健康診断を行う。1年以内ごとに1回ではない。

なお、特殊健康診断は、6月以内ごとに1回、定期に行うものがほとんどである。試験対策としてはそうではないものを覚えておけばよい。

【労働安全衛生法】

(健康診断)

第66条 (第1項 略)

 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。(略)

3~5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(健康診断を行うべき有害な業務)

第22条 法第六十六条第二項前段の政令で定める有害な業務は、次のとおりとする。

一~五 (略)

 屋内作業場又はタンク、船倉若しくは坑の内部その他の厚生労働省令で定める場所において別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で、厚生労働省令で定めるもの

2及び3 (略)

【有機溶剤中毒予防規則】

(健康診断)

第29条 令第二十二条第一項第六号の厚生労働省令で定める業務は、屋内作業場等(第三種有機溶剤等にあつては、タンク等の内部に限る。)における有機溶剤業務のうち、第三条第一項の場合における同項の業務以外の業務とする。

 事業者は、前項の業務に常時従事する労働者に対し、雇入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後六月以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。

一~四 (略)

 (略)

(5)正しい。第二種有機溶剤に係る作業場所に設けたプッシュプル型換気装置については、有機則第20条の2第2項が準用する同第20条第2項により、1年を超える期間使用しない場合を除き、1年以内ごとに1回、定期に、自主検査を行わなければならない。

【労働安全衛生法】

(定期自主検査)

第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~4 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(定期に自主検査を行うべき機械等)

第15条 法第四十五条第一項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。

一~八 (略)

 屋内作業場又はタンク、船倉若しくは坑の内部その他の厚生労働省令で定める場所において別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で、厚生労働省令で定めるもの

十~十一 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置で、厚生労働省令で定めるもの

 (略)

【有機溶剤中毒予防規則】

(第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る設備)

第5条 事業者は、屋内作業場等において、第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(第一条第一項第六号ヲに掲げる業務を除く。以下この条及び第十三条の二第一項において同じ。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。

(局所排気装置の定期自主検査)

第20条 (第1項 略)

 事業者は、前項の局所排気装置については、一年以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一~七 (略)

 (略)

(プッシュプル型換気装置の定期自主検査)

第20条の2 令第十五条第一項第九号の厚生労働省令で定めるプッシュプル型換気装置(有機溶剤業務に係るものに限る。)は、第五条又は第六条の規定により設けるプッシュプル型換気装置とする。

 前条第二項及び第三項の規定は、前項のプッシュプル型換気装置に関して準用する。この場合において、同条第二項第三号中「排風機」とあるのは「送風機及び排風機」と、同項第六号中「吸気」とあるのは「送気、吸気」と読み替えるものとする。

2020年07月17日執筆