フォークリフトの転倒災害を防止するために




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フォークリフトの模型

※ イメージ図(©photoAC)

現在、荷の集荷を行う場所の多くで、フォークリフトは必要不可欠なものになっています。倉庫や集荷場のみならず、工場や商業施設など、業種や規模を問わず数多く用いられています。

しかし、作業者と混在する中で用いられることが多く、速度が出せて旧回転も可能なことから、フォークリフトに労働者が激突されるなどの労働災害が多発しており、近年では減少傾向が見られません。

また、比較的車高が高く、荷をその前輪よりも前に積んで、急加減や急減速が可能で小回りが利くという特性から、どうしても転倒しやすくなることが避けられません。実際に、フォークリフトを起因物とする災害のかなりの割合で「転倒事故」が起きています。

本稿では、フォークリフトの転倒災害の状況、転倒のメカニズムの他、転倒災害を防止するための留意事項を解説しています。フォークリフトの安全管理を行う方、フォークリフト関連の安全教育を行う方なみならず、フォークリフトの運転者の方もぜひお読みください。




1 フォークリフトの転倒事故

執筆日時:


(1)フォークリフト転倒災害発生件数

フォークリフトの国内販売実績の推移

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フォークリフトは荷の集荷を行うために便利な装置であり、運送業、倉庫業のみならず、製造業はもちろん、卸小売業などの第三次産業まで広く使用されている。(一社)日本産業車両協会の「フォークリフト生産、国内販売、輸出実績(年次:1965年以降)」によると、2011 年(平成 23 年)の国内販売台数は 62,280 台とされている(※)

※ (一社)日本産業車両協会によると、保有台数の統計はない。

このようなことを背景として、フォークリフトを起因物とする休業4日以上の死傷労働災害も、毎年、2,000 件前後が発生しており、2009 年(平成 21 年)以降、減少傾向がみられない。

フォークリフトを起因物とする型別労働災害発生件数の推移

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フォークリフトを起因物とする労働災害を、型別にみると、はさまれ・巻き込まれ災害と激突され災害がきわめて多いことが分かる。はさまれまきこまれ災害の内容は、明確な統計があるわけではないが機体と建物の壁等の間に他の労働者が挟まれる事故が多い。また、激突され災害は、機体に他の労働者ぶつけられる災害がほとんどである。すなわち、フォークリフトを起因物とする労働災害は、他の労働者を巻き込んだり、ぶつかったりというものが大部分なのである(※)

※ なお、墜落災害は、高所の棚の上にいる労働者にフォークがぶつかりそうになってその労働者が墜落するケース、フォークリフトの機体ごと墜落して運転者が被災するケース、機体から運転者が降りるときに地上へ転落して負傷するケース等がある。

しかし、それらの災害の中で割合はそれほど目立たないが、転倒災害が毎年 100 件前後発生しており、減少傾向がみられないことが注目される。

※ フォークリフトを起因物とする転倒災害は、フォークリフトに激突されそうになるなどで労働者自身が転倒するケースと、フォークリフトが転倒して下敷きなるなどのケースがあるが、多くは後者であると思われる。

フォークリフトは、転倒しやすい構造であるにもかかわらず、転倒のメカニズムと防止方法について、意外に正しく知られていないのである。そこで、本稿において分かりやすく解説したい。


(2)フォークリフトの転倒のメカニズム

フォークリフト重心の位置と転倒の関係

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フォークリフトの後輪は、通常の乗用車と同様に両輪の中央にディファレンシャルギアがあり、そこから車軸を通してタイヤにつながっている。

通常の自動車との大きな違いは、後輪を後方から見るとディファレンシャルギアを中心に車軸がわずかに回転(左図の赤い矢印)できるようになっていることである。これは、後輪が地上の凹凸の上を通過しても車体前方のフォークが揺れないにするための工夫である。

ところが、これが逆にフォークリフトを転倒しやすくする原因にもなるのである。すなわち、機体の重心に加わる力(重力、遠心力、慣性力などの合成力)の方向が、右図の黄色の点線の三角形から外れると、フォークが転倒する可能性があるのだ(※)

図の左側のイラストの場合は、機体が右側に旋回したときに発生する遠心力と重力の合成力の方向が、三角形から外れているので転倒の恐れがあることとなる。

※ 通常の自動車では、前後方のタイヤを結ぶ四角形から、重心に加わる力の方向が外れない限り転倒しない。フォークリフトの三角形よりもタイヤを結んだ四角形の方が広いので、このことでもフォークリフトは通常の自動車よりも転倒しやすいのである。

このため、最近のフォークリフトでは、運転者がハンドルを回して曲がろうとすると、その間だけディファレンシャルギアと車軸を固定するようになっているものがある。そのような装置がついている機種では、カーブを曲がっている間は4輪を結ぶ四角形から力の方向が外れなければ転倒しないので、より転倒しにくくなる。

なお、三角形からごく短時間外れただけであれば、車輪が一時的に浮くことはあっても、転倒には至らない。また、地面が濡れているなど摩擦抵抗が小さいと、車輪が滑ることもある。

従って、フォークリフトの転倒事故を防ぐには、できるだけ重心を下げること、大きな遠心力や慣性力が生じないようにすること、できるだけ荷の重心を機体に近づけること等がある。

これらについて、以下、順次、説明してゆく。


2 フォークリフトの転倒事故を防ぐために

(1)カーブでの横向きの転倒の防止

ア 荷を上げたまま走行してはならない理由

フォークリフト荷の位置と転倒の危険

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フォークリフト運転のための技能講習(や特別教育)では、荷を上げたままで走行してはならないと強く指導されることはいうまでもない。

にもかかわらず、実際の現場では荷を上げたまま走行しているケースがしばしばみられる。一部に、荷を上げたまま走行してはならないのは、荷を落としたときに破損しやすいからだと誤解している運転者がいるようである。

もちろん、荷を上げたままで走行してはならないのは、そのような理由ではなく、機体を転倒させないためである。なお、ここから、適宜、数式を利用して説明するが、話の流れには影響がないので難しいと感じたら数式は読み飛ばしてほしい。


イ フォークリフトがカーブで横転する理由

フォークリフトを左右に旋回させると、遠心力 Fr が生じる。

Fr=mv2rN

ここに、mkgは機体及び荷の質量、vm/sはフォークリフトの速度、rmは旋回半径、gm/s2は重力加速度である。

遠心力は、速度が大きいほど、また旋回半径が小さいほど大きくなる。なお、荷の高さによっては変化することはない。

一方、重力 Fw は次のようになる。

Fw=mgN

そして、その合力 F の大きさと方向が同じであっても、向かう先は重心が高いほど安定域の三角形から外れやすくなる。

F=Fr2+Fw2N

なお、これは、ブレーキをかけたときの前方に働く慣性力についても同様である。


ウ フォークリフトをカーブで横転させないために

従って、フォークリフトを横転させないためには、遠心力を小さくするか重心を下げればよい。

そして、遠心力を小さくするには、カーブでは速度を落とし、できるだけ回転半径を大きくすればよいのである。

フォークの位置と転倒の危険

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また、走行時には、フォークを下げておく必要がある。荷を上げたままでフォークリフトを走行すれば、重心が高くなるのでカーブで横転しやすくなるからだ(※)

※ また、フォークリフトが前方に倒れかけた場合、フォークが下げてあればフォークの先端が接地したところで止まるので転倒する恐れが低くなる。しかし、フォークが上がっているとフォークリフトは前面に倒れてしまうおそれが高くなるのである。


(2)制動(ブレーキ)時の前向きの転倒の防止

ア フォークリフトを前方に転倒させないために

最大荷重と許容荷重

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※ 厚生労働省「小型移動式クレーン運転技能講習=補助テキスト」(技能講習補助教材

フォークリフトには最大荷重が定められているが、フォークのどこにでも最大荷重の荷が詰めるわけではない。フォークの基準荷重中心より先端側で積める荷の質量(許容荷重は)最大荷重よりも小さいのである。

これは、フォークのツメの破損防止という目的もあるが、前方への転倒防止という意味も大きい。

フォークリフト荷の位置と転倒の危険

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また、走行するときは、必ずマストを手前へ倒す(チルト)必要があることもよく知られている。しかし、その理由としては荷が落下しにくいからだけだと思われていることが多い。

確かに、荷が落下しにくくなる効果もあるが、実は、このチルト操作(マストの後傾)には転倒防止の意味もあるのだ。


イ フォークリフトが制動時に前方へ倒れる理由

走行しているフォークリフトでブレーキ(制動)をかけたとき、減速度を αm/s2 とすると、フォークリフトに働く慣性力 Fα は、次式のようになる。

Fα=mαN

ここに、mkgは機体及び荷の質量である。

一方、重力 Fw は先述した通り、次のようになる。

Fw=mgN

そして、その合力 F の向かう先が、前輪よりも前に出ると(※)、フォークリフトは転倒するリスクがあることになる。

※ その向かう先が前輪より前に出る時間が、ごく短時間であれば、後輪が浮くだけである。


ウ フォークリフトを制動(ブレーキ)時に転倒させないために

フォークリフトの重心位置

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従って、前方に転倒させないためには、慣性力 Fα が小さいほど、すなわち α が小さいほど機体は倒れにくくなり、また、機体と荷の重心が後ろにずれるほど倒れにくくなる。

ここで、荷の重量とその重心位置、機体の重量とその重心位置、荷と機体全体の重量とその重心位置は図のようになる。荷の位置が後ろにあるほど全体の重心も後へずれ、荷が軽いほど全体の重心位置はうしろへずれる。

言葉を換えれば、必要がない限り急ブレーキを避けること、荷はできるだけフォークの後ろ側に積むこと、及びマストをチルト(後傾)することで、転倒のリスクを小さくすることができるのである。


(3)坂道を移動するときの車体の向き

ア 坂道では前側を上方に向けなければならない理由

坂道を移動するとき、フォークリフトは前側を上方に向けなければならない。すなわち坂道を登るときは前向きに進み、下るときはバックで進むのである。

これも、目的はフォークリフトの転倒防止なのだが、フォークから荷がすべり落ちないようにするためだと考えている運転者が意外に多い。


イ フォークリフトは前側に転倒しやすい

フォークリフトは、後ろ向きに倒れることはまずないが、前向きに倒れたり、倒れないまでも後輪が浮き上がってヒヤリとすることは多い。

カウンターバランスフォークリフトの構造は、前輪よりも前にフォークがあり、そのフォークに荷を積むようになっている。そのため、機体と荷の重心に加わる力(重力、慣性力)の方向の先端が前輪よりも前になると前方に転倒するのである。


ウ 坂道では前側を上方に向けると転倒しにくくなる理由

フォークリフト荷の位置と転倒の危険

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一方、後輪は車体の後部についているので、後ろ側に転倒するおそれはないといってよい。すなわち、フォークが倒れるのは、後ろ側よりも前側に倒れる方が圧倒的に多いのである。そのため、機体と荷を合わせた重心を、できるだけ後ろにずらす方が、前方への安定度が良くなるのである。

図からもわかるように、坂道で機体の前方を情報に向けると、前輪とデファレンシャルギアを結ぶ安定域の三角形が重心よりも前にずれる。すなわち、重心が三角形の後ろ側に移るのである。

このため、チルトについて説明したように、前側への転倒を起こしにくくなるのである。フォークリフトは、後方への転倒のリスクはほとんどなく、前方への転倒のリスクが大きいので、転倒のリスクを減らすことができるのである。


(4)その他の転倒防止策

リーチフォークリフトの運転

※ イメージ図(©photoAC)

また、転倒を避けるためには、基本的に機体を傾けないようにする必要がある。そのため走行する作業場所について、できるだけ凹凸や段差を無くすこと、水濡れ等を避けること、整理整頓を心がけることが必要である。

さらに速度が大きいと、制動時の加速度も大きくなりがちになるので、普段から速度を出し過ぎないようにすることも重要となる。

また、突然、他の作業者が進行方向に飛び出すと、急ブレーキ、急ハンドルになりやすい。歩行者の安全通路を区分けするとともに、できるだけ通路の死角をなくしたり見通しの悪い場所鬼は誘導者を配置する、またバック走行ではバックブザーを鳴らすようにする。これらも、一見、無関係なようだが転倒防止に役立つのである。

さらに、磨耗限界を超えたタイヤを使用していると、旋回時にスリップして転倒することがある。機体の適切な整備を行うことも重要である。

その他、必ず有資格者に運転をさせること、適宜、教育や危険予知訓練を行うことなども必要である。さらにドライブレコーダを設置することで、事故時の再発防止対策に役立てることもできる。


3 実際に発生したフォークリフト災害

(1)事故の概要

転倒したフォークリフトの模型

※ イメージ図(©photoAC)

最近発生したフォークリフト災害を紹介しよう。なお、事件が特定されることを避けるため、一部、ディフォルメしていることをお断りしておく。

Y 社の事業場において、工場長の A、職長の B、職員の C 及び X(被災者)は、カウンターバランスフォークリフトを用いて、1.5メートル程の高さの棚に置いてある荷を運ぼうとした。その日は、資格(フォークリフト運転の技能講習修了)のある D が休んでいたため、無資格者の X が運転をすることになった。

X がフォークで荷を持ち上げようとしたところ、荷の質量が最大荷重を超えており、フォークリフトの後部が浮き上がってしまい、荷を持ち上げることができなかった。

他に最大荷重の大きなフォークリフトがなく、天井クレーンの定格荷重も足りなかった。B の発案で、試しにフォークリフトのカウンターウエイトの上に鋼鉄製のおもりを置いてみた(固定はしなかった)。X がその状態で荷を持ち上げることができるかどうか試してみると、荷を持ち上げることができたので、そのまま荷役作業を行うことにした。

運転者の X は、それまでも D の不在時に無資格でフォークリフトの運転を行っていたが、このときも走行するときに(いつものように)フォークを下げず、B が「ゆっくり」と声をかけたにもかかわらず、かなりの速度を出して走行した。

その後、目的の場所へ向かう途中のコーナーで、周囲で見ていた者には減速しつつ曲がったように見えたが、曲がり切れずにフォオークリフトが傾いた。そのため、シートベルトをしていなかった X は、バランスを崩して地上に落下したのである。フォークリフトは立ち直ったものの、錘にしていた荷がすべり落ち、地上の X に激突して死亡災害となったものである。

なお、X の当日の服装は、作業衣、保護帽、安全靴を着用していた。


(2)事故の原因

ア 許容荷重を超えた荷を積載したこと

本件の場合、許容荷重を超えた荷をフォークリフトに積んでいる(安衛則第151条の20)。これは、個別発注を受けて生産した製品の質量が、その事業場にあったフォークリフトの能力を超えており、天井クレーンの定格荷重も超えているという「予想外」の事態に対処するためである。

本来、大型のフォークリフトをレンタルする等によって対応するべきだったにもかかわらず、工場にあったフォークリフトのカウンターウエイトの上に錘を載せて無理に運ぼうとしたものである。事業場としての安全意識の低さと、運搬作業まで含めた事前の検討が不足していたことが背景として挙げられる。

フォークで荷を持ち上げることはできたにせよ、重心位置がわずかに前輪よりも後ろにあれば、荷を上げることはできるのである。しかし、重心位置が前輪よりもわずかに後ろにあるだけだと、ブレーキを掛けたときにかんたんに前倒してしまう。この災害の場合、カウンターウエイトの上に、あまり多くの錘は載せたくなかっただろうから、ぎりぎりだった可能性がある。そうだとすると、わずかな慣性力等が加わっただけで倒れるような状況だったこともあり得よう。


イ 徐行せずに走行し、制動と旋回を行ったこと

直接の原因は、フォークを下げないまま走行し、コーナーで減速と旋回操作を行ったことが直接の原因である。

遠心力と慣性力が重心に加わり、横向きに傾いたものと考えられる。


ウ その他

また、他にも本件事故の結果に影響した事項として、次の3点が挙げられよう。

【その他本件事故の結果に影響した事項】

  • 無資格者に運転させたこと(安衛法第61条
  • カウンターウエイトという、本来、物を載せるべき場所ではないところに、鋼鉄製の錘を載せたこと
  • シートベルトを着用しなかったこと

なお、カウンターウエイトに鋼鉄製の錘を載せたことが用途外使用(安衛則第151条の14)に該当するかどうかは解釈の余地がある(※)が、このことが事故の直接的な原因となったことは議論の余地はないであろう。

※ 条文が「主たる用途以外の用途に使用してはならない」とされており、目的はフォークリフトのフォークに物を積むことであるから、筆者としては違反には当たらないと考えるが、違反に当たると解する余地がないわけではないだろう。

なお、フォークリフトのカウンターウエイトに荷を積んで運ぼうとしたのであれば、用途外使用に当たることは当然である。

また、シートベルトを着用しなかったことは、安衛法違反荷が当たらない(車両系荷役運搬機械等についてシートベルト着用を義務付けた規定はない)が、本件ではシートベルトを着用していれば最悪の事態は防止できた可能性が高い。


(3)どうすれば防げたか

本件事故は、ある意味で起こるべくして起きた事故である。持ち上げることができない質量の荷を無理にフォークリフトに積んだのであるから、その場に有資格者がいなかったにせよ、危険だということは認識できたであろう。

そのような危険な行為を行うことがないように、普段から安全意識の高揚を図ることが、本件のような事故については何よりも重要であろう。そのためには、安全教育の実施、危険予知トレーニング等の推進が必要となる。

そして、フォークリフトのみならず、すべての機械器具について、その能力を超えた使用を行わないことを徹底する必要がある。

また、フォークリフトの運転のみならず資格の必要な業務を、資格を有しない者が行うことを厳禁する必要がある。本件も、フォークリフトの危険性について知識のある有資格者がいれば、許容荷重を超えた荷の積載をしないという判断ができた可能性はあろう。

なお、直接的な原因への対策としては、シートベルトの着用の徹底、フォークリフトで荷を上げたまま走行することの禁止の徹底等も求められよう。


4 最後に

フォークリフトの前の女性

※ イメージ図(©photoAC)

冒頭にも述べたように、フォークリフトは荷役作業に有用な装置であり、様々な業種で広く用いられている。しかしながら、安衛法で資格制度(安衛法第61条)や構造規格(安衛法第42条)が規定されていることからも分かるように、正しく用いなければ災害の原因となるおそれのある機械でもある。

最近の機械では様々な安全装置が付加されるようになってきているが、その性格から転倒しやすいという特性を完全になくすことは困難である。

しかしながら、正しく扱えば、安全で便利な装置であることは間違いはない。そして、正しい扱い方は技能講習(又は特別教育)で習っているはずである。

転倒しないためにどうすればよいかは、本稿でも述べたように、急ブレーキ・急ハンドルを避ける、荷の許容荷重の厳守、走行時は必ず後方にチルトして荷を上げたままでは走らない、坂道は前画を上にするなどのいくつかのルールを守ることである。

それほど難しいことではないのだが、慣れてくると、急いでいるときについ基本を忘れやすくなる。そして、一度、基本を外してしまうとそれが常態化する。その状態で、もうひとつ危険な条件が揃うと重大な災害になるのである。

もうひとつの危険な状態が揃うことは、ある日突然起きるのである(※)。そのときに災害にさせないために、基本的なルール順守を日常から心がけたい。

※ 例えば、面倒だというのでフォークを下げずに荷を積んで運ぶことが常態化しているとき、突然、通路の前方で他の労働者が何かにつまづいて倒れるようなことである。

急ブレーキをかけたとき、荷を下げていれば安全止まれたのに、荷を上げていたため機体が前方に倒れて倒れていた労働者にフォークが激突し、自らも機体の外へ投げ出されるようなケースである。


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