CREATE-SIMPLE




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これまでに公表されている簡易な化学物質のリスクアセスメントツールの多くは吸入ばく露がメインとなっており、経皮ばく露のリスクを定量的に評価する手法はほとんどありませんでした。

しかし、2019年3月に厚生労働省から公表されたCREATE-SIMPLE(現在の版はver.2.1)は、直接、化学物質(液体)をハンドリングする作業について、経皮ばく露のリスク評価が可能となりました。

簡単に紹介しますので、ぜひご活用ください。



3 具体的な使用方法

(1)ダウンロードする

CREATE-SIMPLE はEXCELのファイルなので、これをダウンロードする必要がある。2019年5月24日に、一部修正がされているので、それ以前にダウンロードした方は、もう一度ダウンロードした方が良い。ダウンロードはCREATE-SIMPLE をクリックし、リンク先の下の方のツールへのリンクのハイパーリンクをクリックすればよい。

とくに、何かを登録する必要はないし、氏素性も尋ねられることもない。もちろん、EXCELがインストールされているパソコンでないと動かない。EXCELのバージョンは指定されていないが、拡張子がxlsmとなっているので、EXCEL2007以降でなければ動作しないと思う。

ダウンロードできたら、ファイルを開けばよい。なお、「コンテンツの有効化」のボタンをクリックする必要がある。


(2)データを入力する

データの入力項目でとくに分かりにくいところはないと思う。最大の問題は、SDSからデータが見つからない場合にどうするかであろう。純物質であれば政府のモデルSDSを見れば、ほとんどの数値が出ている。ただし、オクタノール/水分配係数は、界面活性剤などでは、記されていないことがある。CREATE-SIMPLE では、これを入力しないとリスク判定はできない。その場合、50程度の極端に大きな数値を入力しておけば、リスクを低く見積もることはない。海面活性剤の場合、むしろその方が合理的な結果となるだろう。

メーカのSDSで、水溶解度が「溶ける」「よく溶ける」「非常によく溶ける」などと記されている場合がある。「溶ける」と書かれていれば30g/100ml、「よく溶ける」と書かれていれば100g/100ml、「非常によく溶ける」と書かれていれば1000g/100ml程度にしておけば、リスクを低く見積もるようなことはないと思う。

なお、細かい話だが、オクタノール/水分配係数は、n-オクタノール/水分配係数と書かれている場合がある。同じ意味なので気にする必要はない。


(3)混合物の場合/複数の物質を扱う場合への対応

CREATE-SIMPLE を用いる上で、最大の問題は、混合物の場合の対応だろう。リスクアセスメントを定性的に行うのであれば、最も有害性の高い物質で代表させることで対応できる場合がほとんどである。

しかし、CREATE-SIMPLE は定量的に評価しているのである。従って、混合物や複数物質の取扱いに対応するようにシステムを設計しておくことは容易だっただろう。推定経皮吸収量を許容量で除した値を合計すればすむ話である。なぜそうしなかったのかは謎としか言いようがない。

ことによると、今後、改訂されるのかもしれない。しかし、現時点では対応できていないのも事実である。

混合物の場合、OELが設定されていることはきわめて例外的な場合である。だからといってGHSの分類結果から管理目標濃度を推定すると、かなり厳しい値となるだろう。

従って、現時点での現実的な対応としては、すべての成分、すべての物質について評価を行い、結果一覧から推定経皮吸収量、推定ばく露濃度、ばく露限界値(吸入)、ばく露限界値(経皮)をすべて別なEXCELファイルにコピーして、「推定経皮吸収量/ばく露限界値(経皮)」と「推定ばく露濃度/ばく露限界値(吸入)」を合計し、これが1より大きいか小さいかでリスクを判定するというのが現実的だろう。





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