WEB利用化学物質リスクアセスメント




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日本国の内外に様々なWEBサイトに、無償で利用できる化学物質のリスクアセスメントツールがアップされています。

これらを紹介するとともに、その特性や問題点について、一覧表の形で紹介しています。




1 はじめに

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最終改訂:

現在で、日本国の内外に様々なWEBサイトに、無償で利用できる化学物質のリスクアセスメントツールがアップされている。国内のサイトにアップされているツールで最もよく利用されているものは、おそらく厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」にアップされている「リスクアセスメント支援ツール」であろう。

厚生労働省では、さまざまなリスクアセスメントツールを開発している。コントロールバンディングは粉じんにも対応しており、また、CREATE-SIMPLEという経皮吸収に対応できるものも開発されている。

ただ、このツールはやや過重な対策が求められることもあり、またガスには使用できないという問題がある。このため、他に利用できるツールを求める事業者も多いようだ。


2 私のサイトのボックスモデルによるツール

私のサイトでも、ボックスモデルによるリスクアセスメントのツール(解説書ツール)を無償で公開しており、VECTOR(Vector)からもダウンロードできるようにしてある。ツールといってもマクロさえ使用していないEXCELファイルである。よろしければこちらも試して頂ければと思う。

なお、これは私のサイトでも人気のあるコンテンツのひとつで、公開以来、私自身も驚くほどのダウンロード数がある。


3 ネットで利用できるリスクアセスメントツールの特徴

公開されているリスクアセスメントツールには、ブラウザで作動しリスクアセスメントを行うときは提供者のサイトに接続する必要があるものと、あらかじめツールをダウンロード(DL)してネットへの接続なしで作動するものがある。これらの特徴を挙げると次のようになろうか。

タイプ メリット
ブラウザ接続方式
  • 特別なソフトが必要ない
  • 常に最新のソフトを使用することになる
  • Windowsのバージョンによって動作しなくなることはない
  • ソフトのインストールを禁止している企業でも使用可能
事前DLタイプ
(プログラム)
  • 特別なソフトが必要ない(例外有り)
  • 一度DLすればその後は問題なく使用可能
  • ホスト側で対応することにより、常に最新のソフトを使用するようにすることも可能
  • WEBサイトに接続する環境がないような工場や研修会場などでも使用可能
事前DLタイプ
(EXCEL形式)
  • 一度DLすればその後は問題なく使用可能
  • WEBサイトに接続する環境がないような工場や研修会場などでも使用可能
  • ソフトのインストールを禁止している企業でも使用可能

また、ツールを別な切り口で分けると、①ばく露濃度を推定し、これを公開されている職業暴露限界(許容濃度やTLV-TWAなど)と比較してリスクアセスメントを行うタイプと、②リスクのレベルを出力するタイプに分けることができる。前者は、リスクのレベルが感覚的に判るが、後者では対策をとるべき優先順位が分かるようになっている。

タイプ 特徴
公表されている職業暴露限界と推定ばく露濃度を比較してリスクを数値で表すタイプ
  • リスクの大きさが分かりやすい
  • リスクの大きさを連続した数値で表す
  • どちらかといえば、結果がより正確に出る
職業暴露限界をGHS分類結果等から推定して、リスクをマトリクス法により判断して、リスクレベルで表すタイプ
  • 特別な知識はそれほど必要がなく、簡便なものが多い
  • 化学物質の特性をあまり調べなくても使えるものが多い傾向
  • 対策をとるべき優先順位が分かりやすい
  • 職業暴露限界が公表されていない物質にも対応可能
  • 混合物に対応しやすい

いずれがよいかは、利用者が判断すればよいことであるが、状況に応じていろいろ使用してみればよいのではないかと思う。


4 具体的なリスクアセスメントツールの特徴

実際のリスクアセスメントツールには、以下のようなものがある。

名称等 提供者 使用時のWEB接続の要否 結果の出力 言語
簡易なRA等 厚労省 必要 リスクレベル
対策シート
日本語
ボックスモデル 柳川 不要 職業性ばく露限界と推定濃度の比 日本語
たなご 筑波大学 不要 リスクレベル等 日本語
CRA 福井大学 必要 リスクレベル等 日本語
TRA ECETOC 不要 RCR 英語
EMKG Expo Tool BAuA 不要 ばく露濃度の推定値 英語/
独語

たなご」は、2016年に公開されたツールで、筑波大学関係者のためのツールであるが、企業関係でもダウンロードは可能である。パソコンにインストールして使用するタイプだが、起動したときに、新バージョンがあると、新しいバージョンをダウンロードするように求められるので、利用者は常に最も新しいバージョンを使用できることになる。

なお、簡易なRAとCRAはブラウザ接続方式で、他は事前DLタイプである。事前DLタイプの中では、たなごがプログラム方式、他はすべてEXCELで行っている。

また、私のサイトの「リスクアセスメントツールの解説」で、これらのツールの解説をしている。詳しくは、「ECETOC TRAの使用方法」、「BAuA の EMKG EXPO TOOL を使ってみよう」、「厚生労働省の簡易なリスクアセスメント」及び「CREATE-SIMPLE ver 2.0」を参考にして欲しい。


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