問4 荷役運搬機械等による労働災害を防止するために事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)労働者の身体の一部が巻き込まれる等労働者に危険が生ずるおそれのあるコンベヤーについては、非常停止装置を備えなければならない。
(2)車両系荷役運搬機械等の運転者が運転位置から離れるときは、当該運転者に、フォーク、ショベル等の荷役装置を最低降下位置に置かせるとともに、原動機を止め、かつ、停止の状態を保持するためのブレーキを確実にかける等の車両系荷役運搬機械等の逸走を防止する措置を講じさせなければならない。
(3)路肩、傾斜地等で車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行う場合において、当該車両系荷役運搬機械等の転倒又は転落により労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、誘導者を配置し、その者に当該車両系荷役運搬機械等を誘導させなければならない。ただし、当該作業が最高速度が毎時10キロメートル以下の車両系荷役運搬機械等を用いて行われるものであるときは、この限りでない。
(4)構内運搬車に被けん引車を連結するときは、確実な連結装置を用いなければならない。
(5)一の荷でその重量が100キログラム以上のものを貨物自動車に積む作業又は貨物自動車から卸す作業を行うときは、当該作業を指揮する者を定め、その者に、当該作業を行う箇所に関係労働者以外の労働者を立ち入らせないようにさせなければならない。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2022年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2022年度(令和04年度) | 問04 | 難易度 | 荷役運搬機械等の災害についての細かな条文問題である。本問は正答できる必要がある。 |
---|---|---|---|
荷役運搬機械等の災害 | 1 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問4 荷役運搬機械等による労働災害を防止するために事業者が講ずべき措置に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)労働者の身体の一部が巻き込まれる等労働者に危険が生ずるおそれのあるコンベヤーについては、非常停止装置を備えなければならない。
(2)車両系荷役運搬機械等の運転者が運転位置から離れるときは、当該運転者に、フォーク、ショベル等の荷役装置を最低降下位置に置かせるとともに、原動機を止め、かつ、停止の状態を保持するためのブレーキを確実にかける等の車両系荷役運搬機械等の逸走を防止する措置を講じさせなければならない。
(3)路肩、傾斜地等で車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行う場合において、当該車両系荷役運搬機械等の転倒又は転落により労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、誘導者を配置し、その者に当該車両系荷役運搬機械等を誘導させなければならない。ただし、当該作業が最高速度が毎時10キロメートル以下の車両系荷役運搬機械等を用いて行われるものであるときは、この限りでない。
(4)構内運搬車に被けん引車を連結するときは、確実な連結装置を用いなければならない。
(5)一の荷でその重量が100キログラム以上のものを貨物自動車に積む作業又は貨物自動車から卸す作業を行うときは、当該作業を指揮する者を定め、その者に、当該作業を行う箇所に関係労働者以外の労働者を立ち入らせないようにさせなければならない。
正答(3)
【解説】
(1)正しい。安衛則第151条の78により、労働者の身体の一部が巻き込まれる等労働者に危険が生ずるおそれのあるコンベヤーについては、非常停止装置を備えなければならない。
【労働安全衛生規則】
(非常停止装置)
第151条の78 事業者は、コンベヤーについては、労働者の身体の一部が巻き込まれる等労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、非常の場合に直ちにコンベヤーの運転を停止することができる装置(第151条の82において「非常停止装置」という。)を備えなければならない。
(2)正しい。安衛則第151条の11第1項により、車両系荷役運搬機械等の運転者が運転位置から離れるときは、当該運転者に、フォーク、ショベル等の荷役装置を最低降下位置に置かせるとともに、原動機を止め、かつ、停止の状態を保持するためのブレーキを確実にかける等の車両系荷役運搬機械等の逸走を防止する措置を講じさせなければならない。
【労働安全衛生規則】
(運転位置から離れる場合の措置)
第151条の11 事業者は、車両系荷役運搬機械等の運転者が運転位置から離れるときは、当該運転者に次の措置を講じさせなければならない。ただし、走行のための運転位置と作業装置の運転のための運転位置が異なる貨物自動車を運転する場合であつて、労働者が作業装置の運転のための運転位置において作業装置を運転し、又は運転しようとしている場合は、この限りでない。
一 フォーク、ショベル等の荷役装置(テールゲートリフターを除く。)を最低降下位置に置くこと。
二 原動機を止め、かつ、停止の状態を保持するためのブレーキを確実にかける等の車両系荷役運搬機械等の逸走を防止する措置を講ずること。
2~4 (略)
※ 安衛則第 151 条の 11 の出題当時の条文は以下のようになっていた。現在は、上記のように改正されている。このときの省令改正の詳細は「テールゲートリフターの安全作業入門」を参照されたい。
(運転位置から離れる場合の措置)
第151条の11 事業者は、車両系荷役運搬機械等の運転者が運転位置から離れるときは、当該運転者に次の措置を講じさせなければならない。
一 フオーク、シヨベル等の荷役装置を最低降下位置に置くこと。
二 原動機を止め、かつ、停止の状態を保持するためのブレーキを確実にかける等の車両系荷役運搬機械等の逸走を防止する措置を講ずること。
2 (略)
(3)誤り。安衛則第151条の6第2項により、路肩、傾斜地等で車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行う場合において、当該車両系荷役運搬機械等の転倒又は転落により労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、誘導者を配置し、その者に当該車両系荷役運搬機械等を誘導させなければならない。
本項には、当該作業が最高速度が毎時10キロメートル以下の車両系荷役運搬機械等を用いて行われるものについての除外規定はない。最高速度と転倒・転落との間に関係はない。このような除外規定があるわけがない。
【労働安全衛生規則】
(転落等の防止)
第151条の6 (第1項 略)
2 事業者は、路肩、傾斜地等で車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行う場合において、当該車両系荷役運搬機械等の転倒又は転落により労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、誘導者を配置し、その者に当該車両系荷役運搬機械等を誘導させなければならない。
3 (略)
(4)正しい。安衛則第151条の60により、構内運搬車に被けん引車を連結するときは、確実な連結装置を用いなければならない。
【労働安全衛生規則】
(連結装置)
第151条の60 事業者は、構内運搬車に被けん引車を連結するときは、確実な連結装置を用いなければならない。
(5)正しい。安衛則第151条の70(第三号により、一の荷でその重量が100キログラム以上のものを貨物自動車に積む作業又は貨物自動車から卸す作業を行うときは、当該作業を指揮する者を定め、その者に、当該作業を行う箇所に関係労働者以外の労働者(※)を立ち入らせないようにさせなければならない。
※ 安全関連の立入禁止や掲示等に関する規制の多くは、その対象を個人事業者まで拡大するように改正される(2025 年4月1日施行)ものが多い(「一人親方等の保護に関する安衛法令改正」参照)。本条はその改正の対象となっていないが、その理由は不明である。
【労働安全衛生規則】
(積卸し)
第151条の70 事業者は、一の荷でその重量が百キログラム以上のものを貨物自動車に積む作業(ロープ掛けの作業及びシート掛けの作業を含む。)又は貨物自動車から卸す作業(ロープ解きの作業及びシート外しの作業を含む。)を行うときは、当該作業を指揮する者を定め、その者に次の事項を行わせなければならない。
一及び二 (略)
三 当該作業を行う箇所には、関係労働者以外の労働者を立ち入らせないこと。
四及び五 (略)