労働安全コンサルタント試験 2018年 産業安全一般 問08

高齢者の身体機能などの特性




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合格

 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問08 難易度 高齢者の身体機能は頻出傾向にある。確実に正答しておきたい問題である。
高齢者の身体機能

問8 高齢者の身体機能などの特性に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)加齢とともに、遠点より近点の視力機能が低下する。

(2)加齢とともに明るさが急に変化したときの視覚の対応能力は低下するが、その低下は明順応に比べ暗順応の方が顕著である。

(3)高齢者は若年者に比較して、低音域より高音域の方が聞こえにくい。

(4)平衡感覚が低下し、転びやすくなる。

(5)筋力の低下は、手から始まり、腕、腰、足の順に進む傾向にある。

正答(5)

【解説】

(1)正しい。これは常識の範囲内だろう。遠点とは、ピントを合わせられる最も遠い距離のことで、近点とは、ピントを合わせることができる最も近い距離のことである。40~45歳では近点は30cm程度であるが、加齢とともにこの距離は大きくなり、60歳を超えると80cm程度になる。

(2)これは、やや難問だったかもしれない。「明順応」とは暗い状態からいきなり明るい状態になったときに目が慣れることで、「暗順応」とは明るい状態からいきなり暗い状態になったときに目が慣れることだということは、言葉のイメージから分かるだろう。若い方でも、暗順応の方が、明順応より時間がかかることは経験しているだろうが、加齢によってさらに暗順応に時間がかかるようになる。本肢は正しい。

老人性難聴

丹羽英人他「老人性難聴」(日本老年医学会雑誌:1990年)

図 年代別による純音オージオグラムの変化

(3)正しい。これは覚えておく必要がある。騒音性難聴では4,000Hz程度の聴力が低下するが、加齢による場合は高周波の方がより低下する(図参照)。

(4)正しい。これは、解説するまでもあるまい。高齢者が転倒しやすくなる原因にはいくつかあるが、筋力の低下、末梢神経の機能低下、視力の衰えの他に、平衡感覚の低下が挙げられる。

(5)誤り。筋力は筋肉の太さに依存するが、一般には35歳がピークで、その後加齢とともに低下してゆく。なかでもとくに衰えやすいのは足で、その中でも太ももの前の筋肉が最も衰えやすい。従って本肢は誤っている。

2018年10月27日執筆 2020年02月09日修正