労働安全コンサルタント試験 2018年 産業安全一般 問07

荷役作業の安全




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合格

 このページは、2018年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年度(平成30年度) 問07 難易度 難易度は2にしたが常識で正答できる問題である。これを間違うようでは合格は覚束ないだろう。
荷役作業の安全

問7 荷役作業に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)トラックの荷台の上で荷の積卸しを行うときに、飛来・落下物用保護帽を着用する。

(2)トラックの荷の積付け時に、固縛を行うなどにより荷を固定する。

(3)フォークリフトのフォークに荷があるときに、急な上昇・下降や旋回を行わない。

(4)トラックの運転席を離れる場合に、逸走防止措置を行う。

(5)トラックの後退時に、後退誘導者は、運転者から視認できる位置で誘導する。

正答(1)

【解説】

本問は、(2)~(5)の肢が、あまりにも当然のことを言っているので、かえって何か気付いていない要素があるのではないかと疑心暗鬼になるが、とくにそのようなことではなく、たんなるサービス問題のようだ。このような問題を間違えてはいけない。

個人的には、このような問題がコンサルタント試験の問題として適切なのかという疑問を感じなくはない。

(1)保護帽(ヘルメット)には、飛来・落下物用、墜落時保護用、電気用などがあり、これらの機能を兼ねるものもある。

トラックの荷台で荷の積み降ろしを行う作業において、型別で最も多い災害は墜落・転落である。飛来・落下による災害はほとんど起きていないといってよい。従って、保護帽は墜落時保護用を使用するべきである。

従って、本肢は適切ではない。なお、墜落時保護用は、帽体と着装体の間にウレタン製の衝撃吸収ライナーがある(まれにウレタン製でない衝撃吸収ライナーのものもある)ことで簡単に見分けがつく。そして、墜落時保護用の保護帽のほとんどは飛来・落下物用を兼ねている(現実には、兼ねていないものはない)。

(2)適切である。あまりにも当然すぎる内容なので、かえって迷うが、当然に正しい。荷を積み付けるときに固縛しておかないと荷崩れするであろう。

トラックの走行中に荷には、路面の凹凸による上下動、加速・減速による前後動、カーブ走行時の遠心力による左右動の3方向の加速度が重複して加わる。そして、走行中の上下動は、積荷とトラックの床面の間や、積荷どうしの滑りに対する抵抗力を低下させる。このため、走行中の積荷は静止時にくらべて非常に荷崩れしやすくなる。

(3)適切である。これも当然の内容である。急な上昇・下降や旋回を行えば、荷に加速度が加わって、荷崩れを起こすおそれがあるからである。

なお、荷がなくても急な上昇・下降や旋回を行うべきでないことは言うまでもない。

(4)適切である。これも当然のことである。トラックはできる限り平たんな場所に止め、サイドブレーキを確実に入れる、歯止め措置を行う等の逸走防止のための措置を確実に行う必要がある。

(5)適切である。これまた当然のことであろう。視認できる位置にいないと、誘導者に激突するおそれがある。

2018年10月27日執筆 2020年02月09日修正