労働安全コンサルタント試験 2015年 産業安全一般 問11

安全点検




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合格

 このページは、2015年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2015年度(平成27年度) 問11 難易度 安全点検に関するごく初歩的な知識問題である。正答できないようでは合格は覚束ないだろう。
安全点検

問11 安全点検に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)安全点検には、日常的に行う点検、必要に応じて行う点検、定期的に行う点検などがある。

(2)第一種圧力容器については、性能検査を受ける前には、詳細な点検を行い、十分に整備しておく。

(3)機械を設計する場合には、当該機械の保守点検作業が、ガードの取外し、保護装置の解除及び安全防護領域への進入をせずに行えるようにする。

(4)フランジ取付部やノズル取付部の溶接部は、設備の運転中に割れが生じるおそれがあるので、安全点検に際しては目視のほか、必要に応じて磁粉探傷試験などで確認する。

(5)年次点検が省略可能となるのは、月次点検及び作業開始前点検を確実に実施した場合である。

正答(5)

【解説】

(1)適切である。安全点検には、作業開始前の点検などの日常的に行う点検、強風、大雨、大雪等の悪天候後の点検など必要に応じて行う点検、定期自主検査等の定期的に行う点検などがある。

(2)適切である。第1種圧力容器の性能検査を受ける者は、ボイラー及び圧力容器安全規則第75条第1項の規定により「第一種圧力容器を冷却し、掃除し、その他性能検査に必要な準備をしなければならない」とされている。

すなわち、本肢は、法律上の義務とまでは言えない。しかし、本問は法律上の義務についての設問ではなく、適切かどうかを尋ねている。本肢は、適切でないとまでは言えないであろう。

なお、(一社)日本ボイラ協会は「本体等の清掃、附属品などの分解及び整備、電灯、脚立の準備などや書類関係として、検査証、定期自主検査記録等を用意していただくなどの準備」をして欲しいとしている。

(3)適切である。「機械の包括的な安全基準に関する指針」(平成19年7月31日基発第0731001号)は、第2の2において「機械の製造等を行う者は、次に掲げる機械の制限に関する仕様の指定を行うものとする」として「保守点検等に必要とする範囲等の空間上の制限」を挙げている。

すなわち「保守点検作業が、ガードの取外し、保護装置の解除及び安全防護領域への進入をせずに行えるようにする」ことまで求めてはいないと考えられる。しかし、適切でないとまではいえないであろう。

(4)適切である。溶接部は、応力が生じやすく割れが生じることがあり得る。従って、必要に応じ磁粉探傷試験等の非破壊検査を行う。

(5)適切ではない。年次点検と、月次点検及び作業開始前点検とは、目的が異なる。年次点検は月次点検や作業会開始前点検では見つけることができないような異状を見つけるためのものである。月次点検及び作業開始前点検を確実に実施したからといって、年次点検が省略できることはありえない。本肢は適切とは言えない。

2018年10月27日執筆 2020年05月10日修正