労働安全コンサルタント試験 2013年 産業安全関係法令 問13

安衛法令上の計画届、報告書等




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 このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2013年度(平成25年度) 問13 難易度 届出又は報告に関する基本的な知識問題である。正答できなければならない。
計画届、報告書等

問13 計画届、報告書等に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。

ただし、いずれの事業者も、所轄労働基準監督署長による計画届の免除の認定を受けていないものとする。

(1)事業者は、建設業に属する事業の仕事であって都道府県労働局長の審査の対象となるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の30日前までに所轄都道府県労働局長に届け出なければならない。

(2)事業者は、金属その他鉱物の溶解炉(容量が1t以上のものに限る。)を設置しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の30日前までに所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。

(3)事業者は、事業場で火災又は爆発の事故が発生したときは、負傷者が生じていないときでも、遅滞なく、事故報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

(4)事業者は、動力プレスのうち、機械プレスで、クランク軸等の偏心機構を有するものを設置しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の30日前までに所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。

(5)事業者は、小型ボイラーを設置したときは、遅滞なく、小型ボイラー設置報告書に小型ボイラー明細書等を添えて所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

正答(1)

【解説】

(1)誤り。本肢にいう「都道府県労働局長の審査の対象となるもの」とは、安衛法第89条の2の「第88条第1項又は第3項の規定による届出があつた計画のうち、前条第1項の高度の技術的検討を要するものに準ずるものとして当該計画に係る建設物若しくは機械等又は仕事の規模その他の事項を勘案して厚生労働省令で定めるもの」のことである。

本肢は「建設業に属する事業の仕事」としているので、「第88条第1項又は第3項」のうち、第3項が対象となる。第88条第3項は「当該仕事の開始の日の14日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない」としている。30日前までではない。

【労働安全衛生法】

(計画の届出等)

第88条 事業者は、機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、厚生労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の三十日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。ただし、第二十八条の二第一項に規定する措置その他の厚生労働省令で定める措置を講じているものとして、厚生労働省令で定めるところにより労働基準監督署長が認定した事業者については、この限りでない。

 (略)

 事業者は、建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事(建設業に属する事業にあつては、前項の厚生労働省令で定める仕事を除く。)で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の十四日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。

4~7 (略)

(都道府県労働局長の審査等)

第89条の2 都道府県労働局長は、第八十八条第一項又は第三項の規定による届出があつた計画のうち、前条第一項の高度の技術的検討を要するものに準ずるものとして当該計画に係る建設物若しくは機械等又は仕事の規模その他の事項を勘案して厚生労働省令で定めるものについて審査をすることができる。ただし、当該計画のうち、当該審査と同等の技術的検討を行つたと認められるものとして厚生労働省令で定めるものについては、当該審査を行わないものとする。

 (略)

(2)正しい。安衛法第88条第1項により、金属その他鉱物の溶解炉(容量が1t以上のものに限る。)を設置しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の30日前までに所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。

【労働安全衛生法】

(計画の届出等)

第88条 事業者は、機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、厚生労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の三十日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。ただし、第二十八条の二第一項に規定する措置その他の厚生労働省令で定める措置を講じているものとして、厚生労働省令で定めるところにより労働基準監督署長が認定した事業者については、この限りでない。

2~7 (略)

【労働安全衛生規則】

(計画の届出をすべき機械等)

第85条 法第八十八条第一項の厚生労働省令で定める機械等は、法に基づく他の省令に定めるもののほか、別表第七の上欄に掲げる機械等とする。ただし、別表第七の上欄に掲げる機械等で次の各号のいずれかに該当するものを除く。

一及び二 (略)

別表第7 (第八十五条、第八十六条関係)

機械等の種類 事項 図面等
(略) (略) (略)

二 金属その他の鉱物の溶解炉(容量が一トン以上のものに限る。)

(略) (略)
(略) (略) (略)

(3)正しい。火災又は爆発の事故は、安衛則第96条の事故報告の対象である。事業場で火災又は爆発の事故が発生したときは、負傷者が生じていないときでも、遅滞なく、事故報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

【労働安全衛生法】

(報告等)

第100条 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。

2及び3 (略)

【労働安全衛生規則】

(事故報告)

第96条 事業者は、次の場合は、遅滞なく、様式第二十二号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 事業場又はその附属建設物内で、次の事故が発生したとき

 火災又は爆発の事故(次号の事故を除く。)

ロ~ニ (略)

二~十 (略)

 (略)

(4)正しい。安衛法第88条第1項により、動力プレスのうち、機械プレスで、クランク軸等の偏心機構を有するものを設置しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の30日前までに所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。

【労働安全衛生法】

(計画の届出等)

第88条 事業者は、機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、厚生労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の三十日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。ただし、第二十八条の二第一項に規定する措置その他の厚生労働省令で定める措置を講じているものとして、厚生労働省令で定めるところにより労働基準監督署長が認定した事業者については、この限りでない。

2~7 (略)

【労働安全衛生規則】

(計画の届出をすべき機械等)

第85条 法第八十八条第一項の厚生労働省令で定める機械等は、法に基づく他の省令に定めるもののほか、別表第七の上欄に掲げる機械等とする。ただし、別表第七の上欄に掲げる機械等で次の各号のいずれかに該当するものを除く。

一及び二 (略)

別表第7 (第八十五条、第八十六条関係)

機械等の種類 事項 図面等

一 動力プレス(機械プレスでクランク軸等の偏心機構を有するもの及び液圧プレスに限る。)

(略) (略)
(略) (略) (略)

(5)正しい。ボイラー則第91条により、小型ボイラーを設置したときは、遅滞なく、小型ボイラー設置報告書に小型ボイラー明細書等を添えて所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

【ボイラー及び圧力容器安全規則】

(設置報告)

第91条 事業者は、小型ボイラーを設置したときは、遅滞なく、小型ボイラー設置報告書(様式第二十六号)に機械等検定規則第一条第一項第一号の規定による構造図及び同項第二号の規定による小型ボイラー明細書(同規則第四条の合格の印が押されているものに限る。)並びに当該小型ボイラーの設置場所の周囲の状況を示す図面を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。ただし、認定を受けた事業者については、この限りでない。

2021年01月23日執筆