労働安全コンサルタント試験 2012年 産業安全一般 問08

感覚刺激と反応時間

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 このページは、2012年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2012年度(平成24年度) 問08 難易度 ほとんど出題されない分野の問題であり、知識で解くことは困難だろう。捨て問と割り切ってよい。
感覚刺激と反応時間

問8 人間に刺激を与えたとき、刺激の種類により反応時間は異なる(特に訓練された場合を除く。)が、反応時間の最も長い感覚刺激は次のうちどれか。

(1)痛覚

(2)視覚

(3)聴覚

(4)触覚

(5)冷覚

正答(1)

【解説】

本問の5種類の感覚刺激の反応時間(※1)では、一般に痛覚が最も長いとされている。ただ、皮膚感覚である触(圧)覚、冷覚、痛覚(※2)の3種類の反応時間を比較することには意味があるかもしれないが、これと視覚、聴覚を比較することにあまり意味があるとは思えない。

※1 反応時間とは、一般には「ある与えられた刺激によって、決定される一つの意識的反応の最小の時間の遅れ」のことである。

※2 皮膚感覚のうち、触(圧)覚、冷覚、痛覚の3つは独立した感覚で、他に皮膚感覚の中で独立した感覚として温覚がある。

感覚刺激の反応時間を比較するのであれば、同一の条件(被験者の性別・年齢、刺激の強度、測定の方法など)で測定しなければ、厳格な意味での比較はできない。だが、本肢に示された5種類の感覚刺激について、刺激の強度や測定の方法を厳格に同じ条件で調べることなど、そもそも不可能である。

なお、それぞれの種類の刺激の反応時間についての文献としては、次のようなものがある。本問の5種類の感覚刺激の反応時間を一つの研究で測定して比較したものは見当たらなかった。異なる研究の結果なので単純な比較はできないが、3つの研究の結果を比較すると、やはり痛覚の反応時間が最も長いようである。

    横溝他(※)によると、痛覚の反応時間は 0.4~1.0 秒、冷覚は 0.15 秒、温覚は 0.18 秒とされている。これによると、痛覚刺激に対する単純反応時間は、冷覚刺激や温覚刺激に対するそれよりも長い。

    ※ 横溝克己、小松原明「エンジニアのための人間工学(改訂第5版)」(日本出版サービス:2013年)

    田中他(※)によると、様々な刺激に対する触覚の反応時間は平均で0.2 ~ 0.3 秒であるとしている。

    ※ 田中美幸、石橋圭太、岩永光一「ソレノイドによる触覚刺激に対する反応時間について」(日本人間工学会大会講演集 2012年)

    永井他(※)によると、聴覚刺激反応時間は平均で0.31 秒、視覚刺激反応時間は0.28 秒としている。また、学会誌ではないが、自然科学研究機構の基礎生物学研究所山森研究室が行った調査でも、光に対する反応時間は0.4 秒程度、音に対する反応時間は0.35秒程度とされている。

    ※ 永井大介、長谷川賢一「聴覚・視覚刺激反応時間に関する研究」(昭医会誌 Vol.46 No.1 1986年)

2021年12月13日執筆