ChatGPTにコンサルタント試験を解かせたら




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ロボットと向き合う女性

※ イメージ図(©photoAC)

ChatGPT が大きな話題になっています。否定的であるにせよ、肯定的であるにせよ、それが人類にとって大きな意味を持つものと考えられています。

筆者(柳川)は、人工知能もまた人類が生み出した技術である以上、メリットとデメリットを理解した上で、問題点を押さえつつ活用していくことが正しい道だと考えています。

現時点での ChatGPT の特定の出力を根拠にして「役に立たない」と考えるべきではありませんし、根拠のない無用なおそれを抱くこともまた合理的な態度ではありません。

ためしに、労働衛生コンサルタント試験の問題を解かせてみましたが、かなりの性能が確認できました。ツールとしては有効ですが、真偽と根拠の確認は必要というのが実際のところです。




1 ChatGPT の大きな可能性

執筆日時:


(1)はじめに

ロボットとチェスをする男性

※ イメージ図(©photoAC)

ChatGPT が大きな話題になっている。海外では、政府が ChatGPT の開発に懸念を表明するケースも多いようだが、日本政府は概ね好意的に受け止めているようだ(※)

※ 海外では、朝日新聞デジタル「バイデン政権、ChatGPTなどAI規制検討 「安全面の保証を」」(2023年4月12日)、東洋経済「ChatGPT「イタリアで一時禁止」裏にある深い事情」(2023年4月19日)、日経ビジネス「ChatGPT、欧州で規制強化検討へ イタリアがきっかけ」(2023年4月5日)などに報じられているように、政府がその問題点に懸念を示している。

これに対し、わが国では、朝日新聞デジタル「農水省、ChatGPTを業務活用へ 行政手続きのマニュアル改訂に」(2023年4月17日)、朝日新聞デジタル「ChatGPT活用、西村経産相「考えたい」 国会答弁作成を念頭に」(2023年4月11日)など積極的に利用しようという発想が多いようだ。

ただ、与党の政治家が、わが国がAI開発で出遅れていることへの危機感がないことはまだしも、有力な政治家が自分の名前を入力したところ「そのような人物はいない」と出力したとして、ChatGPT に否定的な意見を述べる(※)に至っては、わが国の今後が不安になってくるのは私だけだろうか。小学生がおとなのローカルな質問に答えられなかったからといって、その子供が将来、世界的な学者にならないという根拠にはならないだろう。

※ 朝日新聞デジタル「チャットGPTに公明・山口代表「山口那津男と問いかけたら…」」(2023年4月19日)による。与党の政治家がこれでは、我が国の新技術に対する活用で、諸外国に今後も大きな後れをとるのではないかと不安になる。

人工知能も、パーソナルコンピュータやインターネットと同じく、人間が開発した新技術である。他の新技術と同様に、開発の当初は、肯定論、否定論が巻き起こるが、やがて人類活動に大きな影響を及ぼし、それをなくすことなどできなくなる可能性もあろう。

それなら、その問題点を認識しつつ、その活用を図ってゆくことを考えるべきであろう。そこで、労働衛生コンサルタント試験の問題をどの程度、解くことができるか、試しに解かせてみたところ、驚くほどの結果が出たのでここに報告する。


(2)とりあえず安全衛生分野での質問をしてみた

いきなり試験問題を解かせることには躊躇を感じたので、まず労働衛生に関して一般的な質問をしてみた。その結果がこれである。

  • 化学物質の自律的管理は日本において定着すると思いますか

化学物質の自律的管理は、日本において現在も進行中であり、国や企業、研究機関などが様々な取り組みを行っています。例えば、化学物質の登録制度の導入や、企業による自主的な対策などが挙げられます。

しかし、化学物質はその性質上、環境や人体に対する影響が大きいため、さらなる取り組みが求められています。特に、長期的な健康影響や複数の化学物質の混合効果など、未知のリスクに対する対策が重要となっています。

したがって、化学物質の自律的管理が定着するためには、さらなる取り組みが必要です。具体的には、企業や研究機関などが、より積極的に環境や人体に対するリスクを評価し、それに基づいて安全性を確保する取り組みが必要です。また、国や自治体も、化学物質の安全性に関する情報の公開や、適切な監視体制の整備など、消費者や環境保護の観点からの対応が求められます。

総じて、化学物質の自律的管理が完全に定着するまでには、まだ時間がかかるかもしれませんが、取り組みが進めば、より安全で健康的な社会を実現できる可能性があります。

かなりの正論を述べている。しかし抽象論のきれいごとに過ぎないという考え方もあろう。これでは、訓示講和のネタにはなっても実務の役には立たないと評価されそうだ。そこで、具体的な質問をしてみた。

  • 化学工業以外の工場で化学物質のリスクアセスメントはどのように行うべきでしょうか。

化学工業以外の工場でも、生産工程や使用する材料によっては、化学物質によるリスクが存在する場合があります。そのため、リスクアセスメントを行うことが重要です。

まず、化学物質を使用する目的や量、使用する工程や設備、作業環境などを把握します。そして、化学物質の種類や性質、取り扱い方法、事故や漏洩などの発生リスク、さらには作業員や周辺地域に与える影響などを評価します。

この評価には、化学物質の特性を知るための文献調査や実験、現地調査、事故や漏洩の事例の分析、さらには専門家の意見などを取り入れます。評価結果に基づいて、リスクを最小限に抑えるための対策を策定し、実施します。

具体的な対策としては、化学物質の代替品の検討、安全な取り扱い方法の確立、事故や漏洩の際の緊急対応体制の整備、適切な作業環境の整備、作業員への適切な教育・訓練などが挙げられます。また、緊急時の避難経路や避難場所の確保など、周辺地域への影響についても考慮する必要があります。

最後に、リスクアセスメントは定期的に見直し、必要に応じて改善を行うことが重要です。また、作業員や関係者に対しては、リスクについての情報を適切に伝え、協力して安全性の確保に取り組むことが必要です。

ChatGPT

※ イメージ図(©photoAC)

やはり、現時点では抽象的な出力しか返ってこない。確かに、内容は正しいが、これに従ってリスクアセスメントを行うことは不可能である。

ただ、これは ChatGPT がリスクアセスメントについての学習をまだ行っていないからということも考えられるだろう。この時点で、この出力だからという理由で否定的にとらえることはできない。

また、質問が抽象的すぎて答えにくいのかもしれない。人間の側も使い方に慣れていないという問題もあろう。

そこで、最後に、ちょっと悪戯な質問をしてみた。

  • 工場の化学物質管理において、ChatGPTをどのように役立てるべきでしょうか

ChatGPTは、化学物質に関する広範な知識を有するため、工場の化学物質管理において以下のような方法で役立てることができます。

  • 1.化学物質の特性や影響に関する知識の提供 ChatGPTは、化学物質の特性や影響に関する知識を有しており、工場の化学物質管理において必要な情報を提供することができます。例えば、化学物質の取り扱い方法や安全性に関する情報、事故や漏洩の対応方法、リスクアセスメントの手法や規制に関する情報などを提供することができます。
  • 2.疑問や問題に対する回答や解決策の提供 ChatGPTは、化学物質に関する疑問や問題に対して、適切な回答や解決策を提供することができます。例えば、特定の化学物質についての安全性に関する疑問や、事故や漏洩の際の対応策についての問題などに対して、専門知識を持った回答を提供することができます。
  • 3.情報収集や分析の支援 ChatGPTは、化学物質に関する情報収集や分析の支援をすることができます。例えば、特定の化学物質に関する文献調査やデータベース検索などの情報収集や、化学物質のリスクアセスメントに関する分析の支援などが挙げられます。

以上のように、ChatGPT は、工場の化学物質管理において、専門知識や情報の提供、問題解決の支援、情報収集や分析の支援など、様々な形で役立てることができます。

確かに、ChatGPT の学習が進めば、様々な使い方はできるようになるだろう。もちろん、それを利用する人間の側が、その出力に疑いを持たなくなり、そのまま正しいと信じてしまうようなら様々な弊害が出ることはありえよう。

もっとも、それは、現在、わが国の厚労省が推奨している、ECETOC TRA や CREATE-SIMPLE だって同じような問題はあるのだが。


2 労働衛生コンサルタント試験を解かせてみたらこうなった

(1)健康管理(2014年 問1)

まずは、健康管理を解かせてみよう。小問題の少ない2014年 問1が、人工知能でも解けそうな問題なのでこれを試してみよう。

最初は、発がんのメカニズムとその閾値についてである。なお、実際の問題には文字数の制限があったが、それは問わないことにする。

  • 化学物質による段階的な発がんのメカニズムとその閾値について説明してください

化学物質による段階的な発がんのメカニズムは、多段階カルシノジェネシスモデルとして知られています。このモデルによれば、がんは複数の段階を経て発生するとされています。

  • 1.初期の段階 最初の段階では、化学物質が遺伝子や細胞構造に影響を与え、細胞が異常な成長や増殖を始めます。この段階では、癌前病変やプレがん病変などが生じます。
  • 2.進行の段階 次の段階では、細胞が蓄積され、さらに損傷を受けることによって、がん細胞が形成されます。この段階では、がん細胞が周囲の組織に侵入する可能性があります。
  • 3.悪化の段階 最終段階では、がん細胞が転移し、他の部位に広がって複数の腫瘍が生じます。

化学物質による発がんには、閾値が存在します。これは、ある一定の濃度以下では、化学物質によるがんのリスクが非常に低く、リスクが増加するにつれて、一定の閾値を超えたときにリスクが急激に高くなるという考え方です。この閾値は、化学物質によって異なり、また、個人差や環境要因によっても影響を受けることがあります。

化学物質によるがんリスクの評価には、リスクアセスメントが使用されます。リスクアセスメントは、人体への曝露レベルや化学物質の毒性情報などを考慮し、曝露量と健康リスクの関係を評価する方法です。この評価には、統計的モデルや生物学的情報を使用することができます。

人間である私の解説と ChatGPT のどちらに軍配を上げるかは、各自で判断して頂きたい。ただ、カルシノジェネシス(Carcinogenesis)とは国際科学雑誌の名称であり、「多段階カルシノジェネシスモデル」っていったい何? という気はしないでもない。

また「化学物質による発がんには、閾値が存在します」と言い切っているところにもやや驚いた(※)。確かにそのような主張をしておられる有識者はおられるが日本では少数派だし、政府もそのような見解は採用していない。根拠がいっさい書かれていないので、どうしてこのような解答となるのかはよく分からない。

※ さらに言えば、閾値の定義もちょっと変である。

次に、小問(2)はどうだろう。

  • 発がん性評価の観点から様々な機関で化学物質を3~5程度のグループに分類している例がありますが、代表的な例を一つ説明してください。

化学物質の発がん性評価を行う機関の中で、代表的な例の一つは国際がん研究機関(IARC)です。IARCは、発がん性のある物質を5つのグループに分類しています。

  • 1.Group 1(第1群) ヒトに対する発がん性が証明された化学物質が含まれます。例えば、タバコの煙、アスベスト、ベンゼン、二酸化硫黄などが含まれます。
  • 2.Group 2A(第2A群) ヒトに対する発がん性が疑われる化学物質が含まれます。ただし、十分なエビデンスは存在しないため、確定的な証拠はありません。例えば、紅茶のカフェイン、酢酸、塩酸などが含まれます。
  • 3.Group 2B(第2B群) ヒトに対する発がん性がある可能性がある化学物質が含まれます。ただし、十分なエビデンスは存在しないため、確定的な証拠はありません。例えば、アセトアルデヒド、ピクリジン、ナフタレンなどが含まれます。
  • 4.Group 3(第3群) ヒトに対する発がん性の証拠が不十分な化学物質が含まれます。例えば、ヘキサン、プロピオン酸などが含まれます。
  • 5.Group 4(第4群) ヒトに対する発がん性の証拠がない化学物質が含まれます。例えば、カルシウム、カリウム、銅などが含まれます。

IARCのグループ分類は、特に化学物質の発がん性に関する国際的な規制や指針の策定に広く用いられています。ただし、化学物質の発がん性に関する研究は常に進行中であり、グループ分類は定期的に見直される可能性があります。

二酸化硫黄がグループ1、紅茶のカフェイン、酢酸及び塩酸がグループ2Aになっている。この理由は分からないが、酢酸ナントカと酢酸、塩酸ナントカと塩酸の区別がつかないのかもしれない。いずれ改善はされるだろうが、現時点の解答は明らかな誤りである。

また、IARCの発がん性区分については、「Agents Classified by the IARC Monographs, Volumes 1–134」にあるように、従来のグループ4(probably not carcinogenic to humans(ヒトに対して恐らく発がん性がない))は、2019年1月にIARCの諮問グループによる改訂で廃止が発表されている(※)。その意味でも誤りである。

※ 一般公衆に誤解があることに留意して、従来のグループ4に該当していたものはグループ3(not classifiable as to its carcinogenicity to humans(ヒトに対して発がん性を分類できない)に統合された。

ただ、物質名さえなければコンサルタント試験の解答としては合格圏内に入っているだろう。

では、小問(3)をみてみよう。

  • 化学物質の発がん性を予測する手法の一つとして微生物を用いた変異原性試験があります。この試験について説明してください。

微生物を用いた変異原性試験は、化学物質が遺伝子レベルでどのような影響を及ぼすかを評価するための手法の一つです。この試験は、化学物質が DNA に変異を引き起こす可能性があるかどうかを判断することができます。DNA の変異は、がんなどの疾患の発生リスクを高める要因となります。

この試験では、一般的にエシェリキア・コリ(大腸菌)などの微生物を使用します。微生物は、DNA を複製する際に自然に起こる変異を防ぐメカニズムを持っており、化学物質による変異がある程度特異的に起こるため、この手法が有効とされています。具体的には、微生物に化学物質を加えて増殖を促進し、その後 DNA の変異を評価するために、遺伝子突然変異の検出をするための突然変異原性を持つ遺伝子を持つ微生物を用います。

この試験は、化学物質が遺伝子レベルで影響を与える可能性を判断するのに有用ですが、単一の試験だけでは化学物質の全体的な発がん性を決定することはできません。そのため、この試験の結果は、動物実験や疫学的研究などの他のデータと合わせて総合的に判断する必要があります。

突然変異原性という言葉は一般的ではないが、意味は分かる。合格圏には入っているだろうか。

では、いよいよ最後の(4)である。これは、外国のAIにはやや難問だろうか。

  • がんを起こすおそれのある化学物質として、「労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質による健康障害を防止するための指針」(がん原性指針)に挙げられた化学物質などがあります。そのような化学物質を労働者に製造させ、又は取り扱わせる事業者が講ずべき措置を5項目挙げて、説明してください

労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める「化学物質による健康障害を防止するための指針」(がん原性指針)に挙げられた化学物質を労働者に製造させ、又は取り扱わせる事業者が講ずべき措置は、以下の5つが挙げられます。

  • 1.事業場の状況に応じて、がん原性物質の使用状況を明確にし、使用目的や使用量、使用方法等を含めて評価し、がん原性物質の取り扱いについての危険予知を行うこと。
  • 2.がん原性物質の危険性に関する情報を提供すること。事業場内において、労働者に対して、がん原性物質に関する情報提供、労働者の状況に応じた作業環境の評価、労働者の個人モニタリング等を行うこと。
  • 3.がん原性物質を含む使用中の装置、設備等について、定期的な点検、保守、修理を行い、漏出、破損等が生じた場合は、適切に処置すること。
  • 4.がん原性物質を取り扱う場合は、取り扱いに関する規程を策定し、労働者に周知徹底し、取り扱い作業に必要な保護具や安全設備の使用等を徹底すること。
  • 5.労働者ががん原性物質による健康被害を受けた場合には、事業者は適切な処置を行い、原因の究明、再発防止策を立案し、実施すること。

これらの措置を講じることにより、事業者は労働者の健康を保護し、労働環境におけるがん原性物質のリスクを最小限に抑えることができます。

さすがに、ここまでくると正答は難しいようだ。わが国の告示の内容を知らなくても責めることはできないだろう。ただ、「分からない」と言うことは人工知能としての沽券こけんにかかわるらしい。それらしい答えを作り出すところはさすがというべきか(※)

※ 分からないことは、分からないと述べてくれる方が、誤った答えを言われるよりはありがたいのだが・・・。人間だと、分からないことについて適当なことを言う人材は「困った人」という評価を受けるだろう。


(2)労働衛生一般(2014年 問13)

では、次に択一を試してみよう。さすがに関係法令は米国生れのAIには難しいだろう。2014年 労働衛生一般 問13が、感覚器に関するもので世界共通な内容だから、これを試してみよう。

選択肢のそれぞれについて正誤を問うことにしよう。まず選択肢(1)からである。

  • 物理的・化学的な刺激の強度と人間が知覚する感覚の強度との関係は、一般に直線的な比例関係になりますか

物理的・化学的な刺激の強度と人間が知覚する感覚の強度との関係は、一般に直線的な比例関係にはなりません。実際には、物理的・化学的な刺激の強度が増加するにつれて、知覚される感覚の強度は増加しますが、その関係は曲線的であることが示されています。この関係は、ウェーバー・フェヒナーの法則として知られています。

ウェーバー・フェヒナーの法則によれば、刺激の強度に比例して、知覚される感覚の強度が増加するわけではありません。代わりに、刺激の強度が2倍になると、知覚される感覚の強度は大体2倍から3倍程度になります。このように、刺激の強度と知覚される感覚の強度の関係は、曲線的であることが示されています。

本肢の正誤については正しい判断をしている。しかし、ウェーバー・フェヒナーの法則は、「人間の感覚の大きさは、受ける刺激の強さの対数に比例する」というものであるから、やや正確性は欠いている。

次に(2)を試してみよう。

  • 眼の網膜は、視神経の感覚器で、色を感じる杆状体と明暗を感じる錐状体という2種類の視細胞が並んでいるのでしょうか

眼の網膜には、色を感じる錐状体と明暗を感じる杆状体という2種類の視細胞が存在しています。網膜には約120 million個の杆状体と、約6 million個の錐状体があり、両者は混在して並んでいます。錐状体には3つのタイプがあり、それぞれが異なる波長の光を感じることができます。すなわち、青色を感じるS錐体、緑色を感じるM錐体、赤色を感じるL錐体です。このようにして、杆状体と錐状体が協調して働くことで、我々が正確な色と明るさを知覚することができるのです。

これで本問には正答できた。本肢が誤りであると正しく判断できたからである。

念のために(3)以下も尋ねてみよう。

  • 内耳にある前庭は、体の傾きの方向や大きさを感じ、半規管は体の回転の方向や速度を感じるのでしょうか。

はい、おっしゃる通りです。内耳には前庭と半規管という2つの構造があり、それぞれが異なる種類の運動を検知しています。

前庭は、頭部の傾きや加速度を感知するための構造です。前庭には、3つの半円形の傾斜面があり、傾きの変化を検知するための小さなカルシウム石(オトコニア)が含まれています。これらのカルシウム石は、前庭の感覚細胞である毛細胞を刺激し、頭部の位置と動きを検知します。

一方、半規管は、体の回転の方向や速度を感知するための構造です。半規管にも毛細胞があり、回転すると毛細胞が刺激され、脳にその情報が送られます。半規管は、頭部が回転するときに液体の流れが発生するように設計されており、この流れが毛細胞を刺激することによって、回転の方向と速度を検知することができます。

このように、前庭と半規管は、異なる種類の運動を感知するために特化されており、これらの情報を組み合わせることで、私たちは自分の身体の位置と動きを正確に把握することができます。

  • 嗅覚は、わずかな臭いを感じる鋭敏な感覚で、同一の臭気に対しては疲労しやすく、しばらくすると感じにくくなるのでしょうか。

はい、嗅覚は微量な物質を感知する鋭敏な感覚です。しかし、同じ臭いに対して反復的に暴露されると、嗅覚受容体が疲労し、その臭いを感じにくくなることがあります。この現象は嗅覚疲労と呼ばれ、臭いを感じにくくする原因となります。嗅覚疲労は、一時的なものであり、しばらくすると嗅覚受容体が回復し、再びその臭いを感じることができるようになります。

  • 深部感覚は、骨格筋や関節内にある受容器を介して自分の手足の位置や関節の角度などを感じ、姿勢や動きなどを認識する感覚ですか。

はい、深部感覚は、骨格筋や関節内にある受容器を介して、自分の手足の位置、関節の角度、筋肉の張りなどを感じる感覚です。これにより、身体の位置や姿勢、そして動きを認識することができます。深部感覚は、体の動きを正確に制御し、バランスを取るために不可欠な感覚の1つです。また、深部感覚は、運動障害や神経障害の患者の治療にも役立っています。

ここまでの解答から判断する限りでは、ChatGPT はこの種の問題は容易に解いてしまうようだ。ただ、今回は1問しか試していないので、他の問題についてどの程度役にたつかはなんともいえない面はある。


3 最後に

意気込みを見せる女性

※ イメージ図(©photoAC)

今回、ChatGPT を使って思ったことだが、本年度の当サイトのコンサルタント試験問題の解説の作成に使えるかと言えば、役には立つが、これだけでは作成できないといったところだろう。

確かに、ChatGPT は、広くて深い知識は持っているが、根拠を示してくれるわけではないので、結局、内容の真偽を確認するために他の資料を参照せざるを得ないということである。

このサイトの作成に当たっては、必ず複数の資料を確認しており、根拠がひとつしか見つからないような場合などには、その根拠を明示するようにしている。

その意味では、ChatGPT は問題を解くときのヒントになるケースもあるだろうが、それほど役に立つわけではないというのが、現時点での正直な感想である。

最後に、なかば冗談でもうひとつ、ChatGPT に尋ねてみた。

  • 実務家のための労働安全衛生のサイトは役に立つ有用なサイトでしょうか

はい、労働安全衛生に関する実務家向けのサイトは、非常に役に立つ有用な情報源となります。これらのサイトでは、現代の労働安全衛生に関する情報や、労働災害の予防に役立つ情報、労働環境の評価方法や改善策、法律や規制に関する情報などが提供されています。

労働安全衛生に関するサイトには、政府機関や民間団体、学術団体が運営するものがあります。政府機関が運営するサイトでは、労働安全衛生に関する法律や規制について詳しく説明されていたり、労働災害の発生状況や事例について報告されている場合があります。また、民間団体が運営するサイトでは、企業が労働安全衛生に取り組むための実践的な情報が提供されていることがあります。

実務家は、自分が所属する企業や業界の労働安全衛生に関するサイトを参照することで、より効果的な対策を講じることができます。また、労働安全衛生に関する情報を提供する講習会やセミナーなども行われているため、これらに参加することも有用です。

ChatGPT は、いきなり解答を示してくれるわけではなく、一文字づつ順に表示してゆくのである。最初のパラグラフを見たとき、人工知能もおべっかを使うのかと思った。

しかし、次のパラグラフを見て笑ってしまった。どうやら「実務家のための労働安全衛生のサイト」を固有名詞ではなく、一般的な言葉と受け止めたようだ。

まあ、それにしても安全衛生に関するサイトの有用性は認めてくれたらしい。

  • ありがとう

どういたしまして。何か他にお聞きになりたいことがありましたら、いつでもお尋ねください。

そうさせて頂こう。


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