労働衛生コンサルタント試験 2023年 労働衛生関係法令 問10

特別管理物質となるもの




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2023年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

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2023年度(令和5年度) 問10 難易度 特別管理物質となるものを覚えているかどうかだけの問題。
特別管理物質となるもの

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問10 次の特定化学物質のうち、特定化学物質障害予防規則における特別管理物質でないものはどれか。

(1)五酸化バナジウム

(2)スチレン

(3)トリクロロエチレン

(4)ナフタレン

(5)ホルムアルデヒド

正答(1)

【解説】

問10試験結果

試験解答状況
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特化則第38条の4に特別管理物質の定義がある。五酸化バナジウムは含まれない。以下に示した安衛令別表第3は、特別管理物質であるもののみ名称を示してある。

これをすべて覚えることは現実には困難だし、受験学習としては不効率でもある。特化則関連の問題は、例年、難問が多い。捨て問と割り切ることも必要かもしれない。

仮に覚えるにしても、主要な物質のみ覚えておけば十分であろう。

ところで、特別管理物質とは発がん性物質であるが、国のモデル GHS 分類では、五酸化バナジウムの発がん性は区分 1B であり、発がん性が認められる物質である。必ずしも発がん性物質だから、特別管理物質であるというわけではない。

なお、他の物質のモデルGHS分類の発がん性区分は、それぞれ、スチレンが区分 1B、トリクロロエチレンが区分 1B、ナフタレンは区分2、ホルムアルデヒドは区分 1A となっている。

【労働安全衛生法施行令】

別表第三 特定化学物質(第六条、第十五条、第十七条、第十八条、第十八条の二、第二十一条、第二十二条関係)

 第一類物質

 ジクロルベンジジン及びその塩

 アルフア―ナフチルアミン及びその塩

 (略)

 オルト―トリジン及びその塩

 ジアニシジン及びその塩

 ベリリウム及びその化合物

 ベンゾトリクロリド

 1から6までに掲げる物をその重量の一パーセントを超えて含有し、又は7に掲げる物をその重量の〇・五パーセントを超えて含有する製剤その他の物(合金にあつては、ベリリウムをその重量の三パーセントを超えて含有するものに限る。)

 第二類物質

1~3 (略)

3の2 インジウム化合物

3の3 エチルベンゼン

 エチレンイミン

 エチレンオキシド

 塩化ビニル

 (略)

 オーラミン

8の2 オルト―トルイジン

9及び10 (略)

11 クロム酸及びその塩

11の2 クロロホルム

12 クロロメチルメチルエーテル

13 (略)

13の2 コバルト及びその無機化合物

14 コールタール

15 酸化プロピレン

15の2 三酸化二アンチモン

16~18 (略)

18の2 四塩化炭素

18の3 一・四―ジオキサン

18の4 一・二―ジクロロエタン(別名二塩化エチレン)

19 三・三′―ジクロロ―四・四′―ジアミノジフェニルメタン

19の2 一・二―ジクロロプロパン

19の3 ジクロロメタン(別名二塩化メチレン)

19の4 ジメチル―二・二―ジクロロビニルホスフェイト(別名DDVP)

19の5 一・一―ジメチルヒドラジン

20 (略)

21 重クロム酸及びその塩

22 (略)

22の2 スチレン

22の3 一・一・二・二―テトラクロロエタン(別名四塩化アセチレン)

22の4 テトラクロロエチレン(別名パークロルエチレン)

22の5 トリクロロエチレン

23 (略)

23の2 ナフタレン

23の3 ニツケル化合物(24に掲げる物を除き、粉状の物に限る。)

24 ニツケルカルボニル

25 (略)

26 パラ―ジメチルアミノアゾベンゼン

27 (略)

27の2 素及びその化合物(アルシン及び砒ひ化ガリウムを除く。)

28 (略)

29 ベータ―プロピオラクトン

30 ベンゼン

31 (略)

31の2 ホルムアルデヒド

32 マゼンタ

33 (略)

33の2 メチルイソブチルケトン

34及び34の2 (略)

34の3 リフラクトリーセラミックファイバー

35~37 (略)

 第三類物質

1~9 (略)

【特定化学物質障害予防規則】

(作業の記録)

第38条の4 事業者は、第一類物質(塩素化ビフェニル等を除く。)又は令別表第三第二号3の2から6まで、8、8の2、11から12まで、13の2から15の2まで、18の2から19の5まで、21、22の2から22の5まで、23の2から24まで、26、27の2、29、30、31の2、32、33の2若しくは34の3に掲げる物若しくは別表第一第三号の二から第六号まで、第八号、第八号の二、第十一号から第十二号まで、第十三号の二から第十五号の二まで、第十八号の二から第十九号の五まで、第二十一号、第二十二号の二から第二十二号の五まで、第二十三号の二から第二十四号まで、第二十六号、第二十七号の二、第二十九号、第三十号、第三十一号の二、第三十二号、第三十三号の二若しくは第三十四号の三に掲げる物(以下「特別管理物質」と総称する。)を製造し、又は取り扱う作業場(クロム酸等を取り扱う作業場にあつては、クロム酸等を鉱石から製造する事業場においてクロム酸等を取り扱う作業場に限る。)において常時作業に従事する労働者について、1月を超えない期間ごとに次の事項を記録し、これを30年間保存するものとする。

一~三 (略)

2023年12月01日執筆