労働衛生コンサルタント試験 2023年 労働衛生一般 問24

職場における腰痛予防対策指針




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2023年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

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2023年度(令和05年度) 問24 難易度 本問は、過去に類問が多いこともあるが、正答率は高かった。
腰痛予防

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問24 厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか

(1)長時間の車両運転作業では、一連続運転時間の長さを適切に管理することが重要となる。

(2)介護作業では、不自然な姿勢を取らざるを得ない場合、壁に手をつく、床やベッドの上に膝を着く等により体を支える。

(3)2人以上で重量物を取り扱う作業は、身長差の少ない者にて行う。

(4)椅座位姿勢は、長い時間続けると背部筋の疲労によつて後傾姿勢となることから、適宜、前傾姿勢をとるようにする。

(5)立ち作業では、おおむね1時間につき1~2回程度の小休止・休息をとるようにする。

正答(4)

【解説】

問24試験結果

試験解答状況
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(1)適切である。「職場における腰痛予防対策指針」(以下「指針」という。)(平成25年6月18日基発0618第1号「職場における腰痛予防対策の推進について」)の「作業態様別の対策」に、車両運転等の作業について次のようにされている。

【職場における腰痛予防対策指針 作業態様別の対策】

Ⅴ 車両運転等の作業

3 リスクの回避・低減措置の検討及び実施

(2)車両運転等の時間管理

  運転座席への拘束姿勢を強いられ、振動にばく露する長時間の車両運転等の作業は腰痛を発生させる懸念があるため、総走行距離や一連続運転時間等の時間管理を適切に行い、適宜、小休止・休息を取らせるようにすること。小休止・休息の際は車両から降りてストレッチング等を行い、筋疲労からの回復を十分図ること。また、車両運転が深夜等に及ぶ際には、仮眠の確保等についても配慮する必要がある。仮眠の確保等は腰痛予防だけでなく、安全運転という観点からも極めて重要である。

※ 平成25年6月18日基発0618第1号「職場における腰痛予防対策指針」(下線強調:引用者)

(2)適切である。指針の「作業態様別の対策」に、介護作業について「不自然な姿勢を取らざるを得ない場合は、前屈やひねりの程度を小さくし、壁に手をつく、床やベッドの上に膝を着く等により身体を支えることで腰部にかかる負担を分散させ、また不自然な姿勢をとる頻度及び時間も減らすこと」とされている。

【職場における腰痛予防対策指針 作業態様別の対策】

Ⅳ 福祉・医療分野等における介護・看護作業

3 リスクの回避・低減措置の検討及び実施

(3)作業姿勢・動作の見直し

 不自然な姿勢を取らざるを得ない場合は、前屈やひねりの程度を小さくし、壁に手をつく、床やベッドの上に膝を着く等により身体を支えることで腰部にかかる負担を分散させ、また不自然な姿勢をとる頻度及び時間も減らすこと。

※ 平成25年6月18日基発0618第1号「職場における腰痛予防対策指針

(3)適切である。指針の「職場における腰痛予防対策指針の解説」に「一つの重量物を運搬等するに当たって複数人で行えば、1人あたりの負荷は軽減される。しかし、作業する者同士の身長差や作業姿勢、対象の重心位置等により、腰部負担が大きくなることもある。複数人で一つの物を持つ場合は、同様の体格の者同士を組ませ、不自然な姿勢をとらせないようにし、対象物の重心位置を考慮して各自が保持する箇所を決める」とされている。

【職場における腰痛予防対策指針の解説】

「2 作業管理」について

(3)作業の実施体制

 一つの重量物を運搬等するに当たって複数人で行えば、1人あたりの負荷は軽減される。しかし、作業する者同士の身長差や作業姿勢、対象の重心位置等により、腰部負担が大きくなることもある。複数人で一つの物を持つ場合は、同様の体格の者同士を組ませ、不自然な姿勢をとらせないようにし、対象物の重心位置を考慮して各自が保持する箇所を決める。作業時間、作業量の設定に当たっては、女性及び高齢者の配置等に留意する。

※ 平成25年6月18日基発0618第1号「職場における腰痛予防対策指針

(4)適切ではない。指針の「職場における腰痛予防対策指針の解説」の「別紙 作業態様別の対策について」に「長時間、椅座位姿勢を続けると背部筋の疲労によって前傾姿勢になり、また、腹筋の弛緩、背柱の生理的彎曲の変化や大腿部圧迫の影響も現れる。この影響を避けるため、足の位置を変えたり、背もたれの角度を変えて後傾姿勢を取ったり、適宜立ち上がって膝を伸ばすほか、クッション等の腰当てを椅子と腰部の間に挿入する等、姿勢を整える必要がある」とされている。

【職場における腰痛予防対策指針の解説(別紙 作業態様別の対策について)】

Ⅲ 座り作業

1 腰掛け作業

(3)作業姿勢等

   長時間、椅座位姿勢を続けると背部筋の疲労によって前傾姿勢になり、また、腹筋の弛緩、背柱の生理的彎曲の変化や大腿部圧迫の影響も現れる。この影響を避けるため、足の位置を変えたり、背もたれの角度を変えて後傾姿勢を取ったり、適宜立ち上がって膝を伸ばすほか、クッション等の腰当てを椅子と腰部の間に挿入する等、姿勢を変える必要がある。

※ 平成25年6月18日基発0618第1号「職場における腰痛予防対策指針」(下線強調:引用者)

(5)適切である。指針の「作業態様別の対策」に「立ち作業を行う場合には、おおむね1時間につき、1、2回程度小休止・休息を取らせ、下肢の屈伸運動やマッサージ等を行わせることが望ましい」とされている。

【職場における腰痛予防対策指針の解説 作業態様別の対策】

Ⅱ 立ち作業

5 小休止・休息

  立ち作業を行う場合には、おおむね1時間につき、1、2回程度小休止・休息を取らせ、下肢の屈伸運動やマッサージ等を行わせることが望ましい。

※ 平成25年6月18日基発0618第1号「職場における腰痛予防対策指針
2024年01月26日執筆