労働衛生コンサルタント試験 2022年 労働衛生関係法令 問02

機械等に関する規制




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 このページは、2022年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

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2022年度(令和4年度) 問02 難易度 機械関係のかなり細かな内容の試験問題だが難易度は低い。本問は正答できる必要がある。
機械等に関する規制

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問2 労働安全衛生法令の機械等に関する規制に関する次のイ~ニの記述について、労働安全衛生法令上、正しいもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。

ただし、当該機械等は、本邦の地域内で使用されるものとする。

イ 排気量が40立方センチメートル以上の内燃機関を内蔵するチェーンソーは、厚生労働大臣が定める規格を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。

ロ 透過写真撮影用ガンマ線照射装置を製造した者は、登録個別検定機関が個々に行う当該透過写真撮影用ガンマ線照射装置についての検定を受けなければならない。

ハ 電動ファン付き呼吸用保護具を製造した者は、登録型式検定機関が行う当該電動ファン付き呼吸用保護具の型式についての検定を受けなければならない。

ニ 事業者は、硫酸を含有する排液の排液処理装置については、6か月以内ごとに1回、定期に、自主検査を行い、その検査の記録を7年間保存しなければならない。

(1)イ ロ

(2)イ ハ

(3)イ ハ ニ

(4)ロ ハ ニ

(5)ロ ニ

正答(2)

【解説】

問2試験結果

試験解答状況
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機械等の検査・検定の対象に関しては、多くの受験生が事前の学習で記憶をしていたものと思われる。かなり細かな内容だが、正答率は高い。

逆からいえば、この種の記憶問題は、確実な合格のためには落としてはならないということだろうか。

イ 正しい。安衛法第42条及び安衛令第13条第3項第二十九号により、排気量が40立方センチメートル以上の内燃機関を内蔵するチェーンソーは、厚生労働大臣が定める規格を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。。

【労働安全衛生法】

(譲渡等の制限等)

第42条 特定機械等以外の機械等で、別表第二に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。

【労働安全衛生法施行令】

(厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき機械等)

第13条 (第1項及び第2項 略)

 法第四十二条の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

一~二十八 (略)

二十九 チェーンソー(内燃機関を内蔵するものであつて、排気量が四十立方センチメートル以上のものに限る。)

三十~三十四 (略)

4及び5 (略)

ロ 誤り。安衛令第14条に「透過写真撮影用ガンマ線照射装置」は定められていない。なお、これは定期自主検査の対象である。

【労働安全衛生法】

(個別検定)

第44条 第四十二条の機械等(次条第一項に規定する機械等を除く。)のうち、別表第三に掲げる機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録個別検定機関」という。)が個々に行う当該機械等についての検定を受けなければならない。

2~6 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(個別検定を受けるべき機械等)

第14条 法第四十四条第一項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

 ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂を練るロール機の急停止装置のうち電気的制動方式のもの

 第二種圧力容器(船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるもの及び電気事業法、高圧ガス保安法又はガス事業法の適用を受けるものを除く。)

 小型ボイラー(船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるもの及び電気事業法の適用を受けるものを除く。)

 小型圧力容器(船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるもの及び電気事業法、高圧ガス保安法又はガス事業法の適用を受けるものを除く。)

ハ 正しい。安衛令第14条の2第十三号に電動ファン付き呼吸用保護具が定められている。

【労働安全衛生法】

(型式検定)

第44条の2 第四十二条の機械等のうち、別表第四に掲げる機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録型式検定機関」という。)が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない。ただし、当該機械等のうち輸入された機械等で、その型式について次項の検定が行われた機械等に該当するものは、この限りでない。

2~7 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(型式検定を受けるべき機械等)

第14条の2 法第四十四条の二第一項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

一~十二 (略)

十三 電動ファン付き呼吸用保護具

ニ 誤り。硫酸の廃液処理装置は、特化則第11条第1項の規定により設置されるべきもので、特化則第29条第五号に該当する。しかし、同規則第30条により定期自主検査は1年以内ごとに1回行えば足り、記録の保存も同規則第32条により3年間のみ義務付けられている。

【労働安全衛生法】

(定期自主検査)

第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~4 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(定期に自主検査を行うべき機械等)

第15条 法第四十五条第一項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。

一~八 (略)

 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置で、厚生労働省令で定めるもの

十~十一 (略)

 (略)

【特定化学物質障害予防規則】

(排液処理)

第11条 事業者は、次の表の上欄に掲げる物を含有する排液(第一類物質を製造する設備からの排液を除く。)については、同表の下欄に掲げるいずれかの処理方式による排液処理装置又はこれらと同等以上の性能を有する排液処理装置を設けなければならない。

処理方式
(略) (略)
硫酸 中和方式
(略) (略)

2及び3 (略)

(定期自主検査を行うべき機械等)

第29条 令第十五条第一項第九号の厚生労働省令で定める局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置(特定化学物質(特別有機溶剤等を除く。)その他この省令に規定する物に係るものに限る。)は、次のとおりとする。

一~四 (略)

 第十一条第一項の規定により、又は第五十条第一項第十号(第五十条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定に基づき設けられる排液処理装置

(定期自主検査)

第30条 事業者は、前条各号に掲げる装置については、一年以内ごとに一回、定期に、次の各号に掲げる装置の種類に応じ、当該各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一及び二 (略)

 除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置

イ~ヘ (略)

 (略)

(定期自主検査の記録)

第32条 事業者は、前二条の自主検査を行なつたときは、次の事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。

一~六 (略)

2022年11月26日執筆