労働衛生コンサルタント試験 2022年 労働衛生一般 問25

労働衛生保護具




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2022年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

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2022年度(令和04年度) 問25 難易度 個人用保護具に関する基本的な知識問題。確実に正答できなければならない。
労働衛生保護具

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問25 労働衛生保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)着用者の感覚では、有毒ガス等の危険性を感知できないおそれがあるので、吸収缶の破過を知るために、有毒ガス等の臭いに頼るのは、適切ではない。

(2)廃棄物の焼却施設における作業で、ダイオキシン類の粉じんのばく露のおそれのある作業においてオイルミストが存在する場合は、RS3の防じんマスクを使用する。

(3)防毒マスクの吸収缶の色は、一酸化炭素用は赤色で、硫化水素用は黄色である。

(4)性能区分DS2は使い捨て式の防じんマスク、性能区分RS2は取替え式の防じんマスクである。

(5)有機ガス用防毒マスタの吸収缶は、アセトン、メタノールについては、除毒能力試験の試験用ガスに比べて破過時間が著しく短くなる。

※ 出題当時から通達が変更されたため、一部の肢の正誤が異なることとなった。このため、一部の選択肢を通達に合わせて変更した。

正答(2)

【解説】

問25試験結果

試験解答状況
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労働衛生保護具については、当サイトの「労働衛生保護具の種類と性能」を参照して頂きたい。

(1)正しい。令和5年5月25日基発0525第3号「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について」(以下「保護マスク通達」という。)の第3の2の(1)のウに「着用者の感覚では、有毒ガス等の危険性を感知できないおそれがあるので、吸収缶の破過を知るために、有毒ガス等の臭いに頼るのは、適切ではないこと」とされている。

なお、本肢は出題当時は、「(1)アセトンや酢酸エチルなど、臭気を感知できる濃度がばく露限界濃度より著しく小さい物質は、防毒マスクの使用中に臭気を感知したときを、吸収缶の交換時期とすることができる。」と逆の趣旨になっていたが、当時としては正しい肢であった。

これは、出題当時は有効であった平成17年2月7日基発第0207007号「防毒マスクの選択、使用等について」(以下「防毒マスク通達」という。)の第1の3の(4)に「従来から行われているところの、防毒マスクの使用中に臭気等を感知した場合を使用限度時間の到来として吸収缶の交換時期とする方法は、有害物質の臭気等を感知できる濃度がばく露限界濃度より著しく小さい物質に限り行っても差し支えない」として、アセトンや酢酸エチルなどを例に挙げていたためである。

この「防毒マスク通達」は、「保護マスク通達」によって廃止され、「保護マスク通達」では本文に示した表現に改められたため、問題文を訂正したものである。

(2)誤り。そもそもオイルミストが存在する場合は、RS3の防じんマスクは使用してはならない。なお、「廃棄物焼却施設関連作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱」には「レベル3の保護具を使用する作業場において足場の設置・解体作業等臨時の作業を行う場合であって、エアラインマスクを使用することが困難な場合には、次のaからcまでに掲げる措置を講じた上で、防じん機能付き防毒マスクを使用して作業を行わせても差し支えない」とされている。

(3)正しい。防毒マスクの吸収缶の色は、一酸化炭素用は赤色で、硫化水素用は黄色である。

(4)正しい。性能区分DS2は使い捨て式の防じんマスク、性能区分RS2は取替え式の防じんマスクである。

(5)正しい。(1)に示した「保護マスク通達」の第3の1の(5)のカに「メタノール、ジクロロメタン、二硫化炭素、アセトン等に対する破過時間は、防毒マスクの規格第7条及び改正規格第7条に規定される除毒能力試験の試験用ガスによる破過時間と比べて著しく短くなるので注意すること」とされている。

なお、「防毒マスク通達」でも第1の2の(2)のイの(ウ)に「メタノール、ジクロルメタン、二硫化炭素、アセトン等については、試験用ガスに比べて破過時間が著しく短くなるので注意すること」とされており、出題当時も正しい肢であった。

2022年12月11日執筆 2023年12月16日改訂