労働衛生コンサルタント試験 2022年 労働衛生一般 問08

振動障害とその防止対策




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2022年の労働衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」の問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

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2022年度(令和04年度) 問08 難易度 振動障害に関する基本的な知識問題である。正答できなければならない。
振動障害とその対策

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問8 振動障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)末しょう神経障害は、全身振動により起こる。

(2)レイノー現象は、末梢循環障害に含まれる。

(3)携帯用タイタンパー、サンダーは、振動工具である。

(4)保護具として、軟質の厚い防振手袋を使用する。

(5)日振動ばく露量A(8)が大きくならないよう、振動ばく露時間を管理する。

正答(1)

【解説】

問8試験結果

試験解答状況
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(1)誤り。本肢の末梢神経障害は全身振動ではなく局所振動によって起きる。通常、振動障害と言えば局所振動による障害を指す。全身振動による障害は、局所振動による障害とは別なものである。

全身振動による障害は、港湾でのフォークリフト業務などで問題となることが多い。具体的な全身振動による典型的な影響は、車や船酔いなど一過性の自律神経機能失調状態である。障害としては腰痛や内臓機能障害などが指摘されている。

(2)正しい。レイノー現象は末梢循環障害に含まれる。なお、末梢神経障害には、手指のしびれ感などがある。

末梢循環障害の症状としては、寒冷期に手指がよく冷える、冷えた時に手指に痺れを感じるといった症状から始まり、さらに振動業務を継続するとレイノー現象が現れる。

(3)正しい。携帯用タイタンパーは振動体内蔵工具、サンダーは回転工具であり、いずれも振動工具である(※)

※ これに関して、「振動工具の種類、具体的な工具及び用途」を参照して頂きたい。

(4)正しい。「チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」(平成21年7月10日基発0710第2号)の10の(1)に保護具として、「軟質の厚い防振手袋等を支給し、作業者に使用させること」とされている。

(5)正しい。「チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」の3の(2)のアに「日振動ばく露量A(8)が、日振動ばく露限界値(5.0m/s2)を超えることがないよう振動ばく露時間の抑制、低振動の振動工具の選定等を行うこと」とされている。

2022年12月08日執筆