労働衛生コンサルタント試験 2020年 労働衛生一般 問23

作業管理




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合格

 このページは、2020年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年度(令和2年度) 問23 難易度 明確に「作業管理」としての出題例は少ないが、ほぼ常識問題である。正答できなければならない。
作業管理

問23 作業管理に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)作業手順は、5W1H(いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように)を明確にし、作業の進め方を具体的かつ分かりやすくする。

(2)労働者の健康の保持や仕事と生活の調和を図るため、勤務間インターバルが確保できるよう努める。

(3)荷物が大きい場合や重量がかさむ場合は、小分けにして軽量化し、1回当たりの作業負荷を小さくする。

(4)夜勤における作業量は、体への負担を考慮し、昼間における作業量の1.2倍の範囲に収まるようにする。

(5)作業服は、適切な姿勢や動作を妨げることのないよう伸縮性のあるものを使用する。

正答(4)

【解説】

(1)適切である。当然のことである。不適切とする余地がない。なお、公的なガイドライン類に何か根拠がないか調べてみたが、あまりにも当たり前すぎるためかこのような記述は見当たらなかった。

(2)適切である。労働時間等設定改善法第2条第1項に「事業主は、健康及び福祉を確保するために必要な終業時刻から翌日の始業時刻までの時間の設定を講ずるように努めなければならない」とされている。

また、「労働時間等見直しガイドライン」には、「(1)事業主が講ずべき一般的な措置」に、勤務間インターバルの導入に努めることとされている。

【労働時間等の設定の改善に関する特別措置法】

(事業主等の責務)

第2条 事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。

2~4 (略)

【労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)】

 事業主等が講ずべき労働時間等の設定の改善のための措置

(1)事業主が講ずべき一般的な措置

 終業及び始業の時刻に関する措置

(ロ)勤務間インターバル

   勤務間インターバル(前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保することをいう。以下同じ。)は、労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、労働者の健康の保持や仕事と生活の調和を図るために有効であることから、その導入に努めること。なお、(以下略)

(3)適切である。「職場における腰痛予防対策指針」(平成25年6月18日基発0618第1号「職場における腰痛予防対策の推進について」)の別紙「作業態様別の対策」の「3 荷姿の改善、重量の明示等」には、「荷姿が大きい場合や重量がかさむ場合は、小分けにして、小さく、軽量化すること」とされている。

(4)適切ではない。本問は解説するまでもないと思うが、「職場における腰痛予防対策指針」の「2 作業管理」においても、「夜勤、交替制勤務及び不規則勤務にあっては、作業量が昼間時における同一作業の作業量を下回るよう配慮すること」とされている。昼間における作業量より増やすべきではない。

なお、日本産業衛生学会交代勤務委員会は「夜勤・交代勤務に関する意見書」(1978年5月)において、夜勤勤務者に対して「昼間と同じ作業量を期待することは、夜勤の労働負担を高め、疲労を増させ、さらにはその回復をさまたげるにいたる」としている。

(5)適切である。当然のことであろう。「職場における腰痛予防対策指針」の「2 作業管理」においても、「作業服は、重量物の取扱い動作や適切な姿勢の保持を妨げないよう、伸縮性、保温性、吸湿性のあるものとすること」とされている。

2020年12月05日執筆