労働衛生コンサルタント試験 2017年 労働衛生関係法令 問05

事務所衛生基準規則




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合格

 このページは、2017年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2017年度(平成29年度) 問05 難易度 事務所則に関するごく基本的な知識問題。確実に正答できなければならない。
事務所衛生基準規則

問5 事務所の衛生基準について事業者が講ずべき措置に関する次のイ~ニの記述について、事務所衛生基準規則上、正しいもののみの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

イ 労働者を常時就業させる室の気積を、設備の占める容積及び床面から4メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者1人について、10立方メートル以上としなければならない。

ロ 燃焼器具(発熱量が著しく少ないものを除く。)を使用するときは、1か月以内ごとに1回、当該器具の異常の有無を点検しなければならない。

ハ 感光材料の取扱い等特殊な作業を行う室を除き、労働者を一般的な事務作業に常時就業させる室の作業面の照度を200ルクス以上としなければならない。

ニ 労働者を常時就業させる室における二酸化炭素の含有率(1気圧、温度25度とした場合の空気中に占める当該ガスの容積の割合をいう。)を100万分の5,000以下としなければならない。

(1)イ   ロ

(2)イ   ハ

(3)イ   ニ

(4)ロ   ハ

(5)ハ   ニ

※ 本問は、出題後の改正に合わせて、問題文を一部修正している。

正答(3)

【解説】

以下により、本問の正答は(3)となる。

イ 正しい。事務所則第2条には「事業者は、労働者を常時就業させる室の気積を、設備の占める容積及び床面から4メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者1人について、10 立方メートル以上としなければならない」とされている。

なお、事務所則第2条の内容は覚えておく必要がある。

【事務所衛生基準規則】

(気積)

第2条 事業者は、労働者を常時就業させる室(以下「室」という。)の気積を、設備の占める容積及び床面から4メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者1人について、10立方メートル以上としなければならない。

ロ 誤り。事務所則第6条第2項は「事業者は、燃焼器具を使用するときは、毎日、当該器具の異常の有無を点検しなければならない」としている。

なお、同条第1項の規定により「燃焼器具」からは発熱量が著しく少ないものが除かれている。

燃焼器具の点検など難しいものではないし、燃焼の状態は毎日変化するおそれがあり、問題があれば一酸化炭素というきわめて有害な化学物質を発生させる恐れがある。このため、毎日点検をすることとしているものである。

【事務所衛生基準規則】

(燃焼器具)

第6条 事業者は、燃焼器具(発熱量が著しく少ないものを除く。以下同じ。)を使用する室又は箇所には、排気筒、換気扇その他の換気のための設備を設けなければならない。

 事業者は、燃焼器具を使用するときは、毎日、当該器具の異常の有無を点検しなければならない。

 (略)

ハ 誤り。事務所則第10条は、感光材料の取扱い等特殊な作業を行なう室を除き、精密な作業の作業面の照度は300ルクス以上としなければならないこととされている。

※ 本肢は出題当時は「感光材料の取扱い等特殊な作業を行う室を除き、労働者を精密な作業に常時就業させる室の作業面の照度を200ルクス以上としなければならない」となっていた。その後の事務所則の改正に合わせて問題文を修正したものである。

なお、事務所則の照度は、JIS照明基準(事務室:750ルクス)や日本建築学会環境基準=照明環境規準(AIJES-L0002-2016)(事務所の机上面:500ルクス)に比較するとかなり低く定められており、実務では事務所則よりもかなり明るくする必要がある。

【事務所衛生基準規則】

(照度等)

第10条 事業者は、室の作業面の照度を、次の表の上欄に掲げる作業の区分に応じて、同表の下欄に掲げる基準に適合させなければならない。ただし、感光材料の取扱い等特殊な作業を行なう室については、この限りでない。

作業の区分 基準
一般的な事務作業 三百ルクス以上
付随的な事務作業 百五十ルクス以上

2及び3 (略)

※ 事務所則第 10 条は、本問出題当時は以下のようになっていた。2022年12月1日施行の改正により現在は上記のようになっているが、本肢の正誤には影響がない。

(照度等)

第10条 事業者は、室の作業面の照度を、次の表の上欄に掲げる作業の区分に応じて、同表の下欄に掲げる基準に適合させなければならない。ただし、感光材料の取扱い等特殊な作業を行なう室については、この限りでない。

作業の区分 基準
精密な作業 三百ルクス以上
普通の作業 百五十ルクス以上
粗な作業 七十ルクス以上

2及び3 (略)

ニ 正しい。事務所則第3条第2項は「事業者は、室における一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率(1気圧、温度25度とした場合の空気中に占める当該ガスの容積の割合をいう。以下同じ。)を、それぞれ 100 万分の 50 以下及び 100 万分の 5,000 以下としなければならない」としている。

なお、同第5条第1項(第2号)が、空気調和設備又は機械換気設備を設けている場合は、室に供給される空気中に占める一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率が、それぞれ 100 万分の 10 以下(外気が汚染されているために、一酸化炭素の含有率が 100 万分の 10 以下の空気を供給することが困難な場合は、100 万分の 20 以下)及び 100 万分の 1,000 以下であること」としていることも併せて覚えておいた方がよい。

【事務所衛生基準規則】

(換気)

第3条 (第1項 略)

 事業者は、室における一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率(1気圧、温度25度とした場合の空気中に占める当該ガスの容積の割合をいう。以下同じ。)を、それぞれ100万分の50以下及び100万分の5,000以下としなければならない。

(空気調和設備等による調整)

第5条 事業者は、空気調和設備(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給することができる設備をいう。以下同じ。)又は機械換気設備(空気を浄化し、その流量を調節して供給することができる設備をいう。以下同じ。)を設けている場合は、室に供給される空気が、次の各号に適合するように、当該設備を調整しなければならない。

 (略)

 当該空気中に占める一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率が、それぞれ100万分の10以下(外気が汚染されているために、一酸化炭素の含有率が100万分の10以下の空気を供給することが困難な場合は、100万分の20以下)及び100万分の1,000以下であること。

 (略)

2及び3 (略)

2017年11月03日執筆 2024年11月22日最終改訂