労働衛生コンサルタント試験 2014年 労働衛生関係法令 問02

粉じん障害の防止のための措置等




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 このページは、2014年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2014年度(平成26年度) 問02 難易度 粉じん障害の防止に関する基本的な知識問題である。確実に正答できるようにしておきたい。
粉じん障害の防止

問2 粉じん障害の防止のための措置等に関する次の記述のうち、粉じん障害防止規則上、誤っているものはどれか。

(1)屋内作業場において、特定粉じん作業を行う場合は、粉じんの発散を防止するための設備として、密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置のうちから、特定粉じん発生源の種類に応じて定められた設備を設置しなければならない。

(2)屋内作業場において、特定粉じん作業以外の粉じん作業を行う場合、粉じんを減少させるための設備は全体換気装置とすることができる。

(3)砂型を用いて鋳物を製造する工程において、砂を再生する場所における作業を設備による注水をしながら行う場合は、当該作業については粉じん障害防止規則の「設備等の基準」、「設備の性能等」、「管理」、「作業環境測定」及び「保護具」の規定は適用されない。

(4)屋内作業場において、臨時の特定粉じん作業を行う場合で、労働者に有効な呼吸用保護具を使用させたときは、特定粉じん発生源に粉じんの発散を防止するための設備を設置しなくてもよい。

(5)粉状の鉱石を袋詰めする場所における作業を常時行う屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、空気中の粉じんの濃度のほか、原則として当該粉じん中の遊離けい酸の含有率を測定しなければならない。

正答(1)

【解説】

(1)誤り。特定粉じん作業とは、粉じん則第2条第1項(第三号)により「粉じん作業のうち、その粉じん発生源が特定粉じん発生源であるもの」である。

屋内作業場において、特定粉じん発生源における粉じんの発散を防止するための設備は、粉じん則第4条に定められているが、必ずしも密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置に限られているわけではなく、湿潤な状態に保つための設備を設置することが認められているものもある。

【粉じん障害防止規則】

(定義等)

第2条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 粉じん作業 別表第一に掲げる作業のいずれかに該当するものをいう。ただし、当該作業場における粉じんの発散の程度及び作業の工程その他からみて、この省令に規定する措置を講ずる必要がないと当該作業場の属する事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長(以下「所轄都道府県労働局長」という。)が認定した作業を除く。

 特定粉じん発生源 別表第二に掲げる箇所をいう。

 特定粉じん作業 粉じん作業のうち、その粉じん発生源が特定粉じん発生源であるものをいう。

 (以下略)

(特定粉じん発生源に係る措置)

第4条 事業者は、特定粉じん発生源における粉じんの発散を防止するため、次の表の上欄に掲げる特定粉じん発生源について、それぞれ同表の下欄に掲げるいずれかの措置又はこれと同等以上の措置を講じなければならない。

特定粉じん発生源 措置措置
一 別表第二第一号に掲げる箇所(衝撃式削岩機を用いて掘削する箇所に限る。) 当該箇所に用いる衝撃式削岩機を湿式型とすること。
二 別表第二第一号、第三号及び第四号に掲げる箇所(別表第二第一号に掲げる箇所にあつては、衝撃式削岩機を用いて掘削する箇所を除く。) 湿潤な状態に保つための設備を設置すること
三 別表第二第二号に掲げる箇所

一 密閉する設備を設置すること。

二 湿潤な状態に保つための設備を設置すること

四 別表第二第五号、第七号及び第十三号に掲げる箇所(別表第二第七号に掲げる箇所にあつては、研削盤、ドラムサンダー等の回転体を有する機械を用いて岩石、鉱物若しくは金属を研磨し、若しくはばり取りし、又は金属を裁断する箇所を除く。)

一 局所排気装置を設置すること。

二 プッシュプル型換気装置を設置すること。

三 湿潤な状態に保つための設備を設置すること

五 別表第二第六号、第八号及び第十四号に掲げる箇所(別表第二第八号に掲げる箇所にあつては、アルミニウムはくを破砕し、粉砕し、又はふるい分ける箇所に、同表第十四号に掲げる箇所にあつては、砂を再生する箇所に限る。)

一 密閉する設備を設置すること。

二 局所排気装置を設置すること。

六 別表第二第七号に掲げる箇所(研削盤、ドラムサンダー等の回転体を有する機械を用いて岩石、鉱物若しくは金属を研磨し、若しくはばり取りし、又は金属を裁断する箇所に限る。)

一 局所排気装置を設置すること。

二 湿潤な状態に保つための設備を設置すること

七 別表第二第八号に掲げる箇所(アルミニウムはくを破砕し、粉砕し、又はふるい分ける箇所を除く。)

一 密閉する設備を設置すること。

二 局所排気装置を設置すること。

三 湿潤な状態に保つための設備を設置すること

八 別表第二第九号及び第十二号に掲げる箇所

一 局所排気装置を設置すること。

二 プッシュプル型換気装置を設置すること。

九 別表第二第十号及び第十一号に掲げる箇所

一 密閉する設備を設置すること。

二 局所排気装置を設置すること。

三 プッシュプル型換気装置を設置すること。

四 湿潤な状態に保つための設備を設置すること

十 別表第二第十四号及び第十五号に掲げる箇所(別表第二第十四号に掲げる箇所にあつては、砂を再生する箇所を除く。)

一 密閉する設備を設置すること。

二 局所排気装置を設置すること。

三 プッシュプル型換気装置を設置すること。

四 湿潤な状態に保つための設備を設置すること

(2)正しい。粉じん則第5条により、「特定粉じん作業以外の粉じん作業を行う屋内作業場については、当該粉じん作業に係る粉じんを減少させるため、全体換気装置による換気の実施又はこれと同等以上の措置を講じなければならない」とされている。

【粉じん障害防止規則】

(換気の実施等)

第5条 事業者は、特定粉じん作業以外の粉じん作業を行う屋内作業場については、当該粉じん作業に係る粉じんを減少させるため、全体換気装置による換気の実施又はこれと同等以上の措置を講じなければならない。

(3)正しい。粉じん則第3条(第五号)の規定により、砂型を用いて鋳物を製造する工程において、砂を再生する場所における作業については、設備による注水をしながら行う場合は、「設備等の基準(第2章)」、「設備の性能等(第3章)」、「管理(第4章)」、「作業環境測定(第5章)」及び「保護具(第6章)」の規定は適用されない。

【粉じん障害防止規則】

(設備による注水又は注油をする場合の特例)

第3条 次に掲げる作業を設備による注水又は注油をしながら行う場合には、当該作業については、次章から第六章までの規定は適用しない。

一~四 (略)

 別表第一第十五号に掲げる作業のうち、砂を再生する場所における作業

別表第一 (第二条、第三条関係)

一~十四 (略)

十五 砂型を用いて鋳物を製造する工程において、砂型を造型し、砂型を壊し、砂落としし、砂を再生し、砂を混練し、又は鋳ばり等を削り取る場所における作業(第七号に掲げる作業を除く。)。ただし、水の中で砂を再生する場所における作業を除く。

十六~二十三 (略)

第二章 設備等の基準

第三章 設備の性能等

第四章 管理

第五章 作業環境測定

第六章 保護具

(4)正しい。粉じん則第7条第1項(第一号)により、臨時の特定粉じん作業を行う場合で、労働者に有効な呼吸用保護具を使用させたときは、第4条の規定(特定粉じん発生源に粉じんの発散を防止するための設備の設置)は適用されない。

なお、本肢が「しなくてもよい」としていることには強い違和感を覚える。第7条の規定は、あくまでも粉じん則第4条の規定が適用されないということにすぎない。仮に、労働者が疾病に罹患するようなことがあれば、状況によっては事業者の行為に違法性をおびることはあり得るし、法的な責任が生じることはあり得る。

【粉じん障害防止規則】

(臨時の粉じん作業を行う場合等の適用除外)

第7条 第四条及び前三条の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合であつて、当該特定粉じん作業に従事する労働者に有効な呼吸用保護具(別表第三第一号の二又は第二号の二に掲げる作業に労働者を従事させる場合にあつては、電動ファン付き呼吸用保護具に限る。)を使用させたときは、適用しない。

 臨時の特定粉じん作業を行う場合

二及び三 (略)

 (略)

(5)正しい。粉状の鉱石を袋詰めする場所における作業は、粉じん則第2条(第三号)の規定により特定粉じん作業(別表第2第9号)である。従って、この作業を常時行う屋内作業場は同第25条の規定により作業環境の対象となる。

そのため、同第26条第1項の規定により、6か月以内ごとに1回、定期に、空気中の粉じんの濃度を測定しなければならない。また、同第2項の規定により、原則として当該粉じん中の遊離けい酸の含有率を測定しなければならない。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

 (以下略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

 土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの

 (以下略)

【粉じん障害防止規則】

(定義等)

第2条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 粉じん作業 別表第一に掲げる作業のいずれかに該当するものをいう。ただし、当該作業場における粉じんの発散の程度及び作業の工程その他からみて、この省令に規定する措置を講ずる必要がないと当該作業場の属する事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長(以下「所轄都道府県労働局長」という。)が認定した作業を除く。

 特定粉じん発生源 別表第二に掲げる箇所をいう。

 特定粉じん作業 粉じん作業のうち、その粉じん発生源が特定粉じん発生源であるものをいう。

 (以下略)

(作業環境測定を行うべき屋内作業場)

第25条 令第21条第一号の厚生労働省令で定める土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場は、常時特定粉じん作業が行われる屋内作業場とする。

(粉じん濃度の測定等)

第26条 事業者は、前条の屋内作業場について、六月以内ごとに一回、定期に、当該作業場における空気中の粉じんの濃度を測定しなければならない

 事業者は、前条の屋内作業場のうち、土石、岩石又は鉱物に係る特定粉じん作業を行う屋内作業場において、前項の測定を行うときは、当該粉じん中の遊離けい酸の含有率を測定しなければならない。ただし、当該土石、岩石又は鉱物中の遊離けい酸の含有率が明らかな場合にあつては、この限りでない。

 (以下略)

別表第一 (第二条、第三条関係)

一~八 (略)

 セメント、フライアッシュ又は粉状の鉱石、炭素原料若しくは炭素製品を乾燥し、袋詰めし、積み込み、又は積み卸す場所における作業(第三号、第三号の二、第十六号又は第十八号に掲げる作業を除く。)

十~二十三 (略)

別表第二 (第二条、第三条関係)

一~八 (略)

 別表第一第九号又は第十号に掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、屋内の、セメント、フライアッシュ又は粉状の鉱石、炭素原料、炭素製品、アルミニウム若しくは酸化チタンを袋詰めする箇所

十~十五 (略)

2020年05月14日執筆