労働衛生コンサルタント試験 健康管理 2013年 問2

騒音障害防止のためのガイドライン




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 このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「健康管理(記述式)」問題の解説と解答例を示しています。

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 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2013年度(平成25年度) 問 2 騒音を発する場所における業務における労働衛生対策等について基本的な知識を問う問題である。
騒音障害防止
2021年04月03日執筆 2023年06月03日最終改訂

問2 職場には多くの騒音発生源があり、騒音性難聴の原因となる。このため、厚生労働省では「騒音障害防止のためのガイドライン」により、騒音性難聴予防のための具体的な対策を示している。このことに関し、以下の設問に答えよ。

  • (1)騒音性難聴の特徴について述べよ。

    • 【解説】
      騒音性難聴は、言うまでもなく長期間にわたって騒音にばく露することによって発症する難聴である。
      本問とほぼ同趣旨の設問が、2014年度(平成26年度)の問2に出題されている。騒音関連の設問としては、基本的なところであろうか。
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    • 【解答例】
      騒音性難聴とは、慢性的に激しい騒音(85dB(A)程度以上)に長期間(1日8時間、5年程度以上)ばく露することによって発症する聴覚障害である。騒音にばく露して5~15年の間に進行し、それ以降の進行は少ないと言われる。
      蝸牛の有毛細胞の障害によって起き、有毛細胞は再生されないため不可逆的な疾患である。発症には個人差があり、騒音にばく露しても発症しないケースもある。
      老人性難聴と異なり、初期には4,000Hz付近の聴力損失が現れる。これは、通常の会話には悪影響がほとんどないので気付かれにくい。症状が進むにつれて、2,000~8,000Hz程度まで障害が進む。
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  • (2)代表的な騒音対策の方法を、次の各項に分けて述べよ。
    ① 騒音発生源対策

    • 【解説】
      令和5年4月20日基発0420第2号「騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について」による「騒音障害防止のためのガイドライン」に添付されている「騒音障害防止のためのガイドラインの解説」の表1に従って解答することで合格点は取れるであろう。
      ※ なお、出題当時は「騒音障害防止のためのガイドラインの策定について」(平成4年10月1日基発第546号)(※)が有効であった。その「騒音障害防止のためのガイドラインの解説」表1にもほぼ同様な記述がある。その後、2021年度に「騒音障害防止のためのガイドライン見直し検討会」が開催され、2022年3月22日に「騒音障害防止のためのガイドライン見直し方針」が作成されて本文の通達により改訂されているが、結論は変わらない。
      分類 方法 具体例
      1 騒音発生源対策 発生源の低騒音化 低騒音型機械の採用
      発生原因の除去 給油、不釣合調整、部品交換等
      遮音 防音カバー、ラギング等の取り付け
      消音 消音器、吸音ダクト等の取り付け
      防振 防振ゴムの取り付け
      制振 制振材の装着
      運転方法の改善 自動化、配置の変更等
      2 伝ぱ経路策 対距離減衰 配置の変更等
      遮蔽効果 遮蔽物、防音塀の設置
      吸音 建屋内部の消音処理
      指向性 音源の向きの変更
      3 受音者対策 遮音 防音監視室の設置
      作業方法の改善 作業スケジュールの調整、遠隔操作化等
      耳の保護 耳栓、耳覆いの使用
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    • 【解答例】
      騒音発生源対策としては、以下のことが考えられる。
      ① 低騒音型機械の採用など発生源の低騒音化
      ② 給油、不釣合調整、部品交換などによる発生原因の除去
      ③ 防音カバー、ラギングなどによる音源の遮音
      ④ 消音器、吸音ダクトなどによる消音
      ⑤ 防振ゴムの取り付けなどによる防振
      ⑥ 制振材の装着などによる制振
      ⑦ 自動化、配置の変更などによる運転方法の改善
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  •   ② 伝ぱ経路対策

    • 【解説】
      ①の騒音発生源対策と同様に考えてよい。
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    • 【解答例】
      伝ぱ経路対策としては、以下のことが考えられる。
      ① 音源と作業位置の配置の変更などによる対距離減衰対策
      ② 遮蔽物、防音塀などをセットすることによる遮蔽効果
      ③ 建屋内部の消音処理などによる吸音
      ④ 音源の向きの変更などにより、音の指向性対策
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  •   ③ 受音者対策

    • 【解説】
      ①の騒音発生源対策及び②の伝ぱ経路対策と同様に考えてよい。。
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    • 【解答例】
      伝ぱ経路対策としては、以下のことが考えられる。
      ① 防音監視室での作業などによる遮音対策
      ② 作業スケジュールの調整、遠隔操作などの作業方法の改善
      ③ 耳栓、耳覆いなどの保護具による耳の保護
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  • (3)屋内作業場の騒音に関する作業環境測定について述べよ。

    • 【解説】
      これは、ガイドラインに書かれていることをそのまま記せばよいであろう。なお、ガイドラインが改正されたことにより、個人ばく露測定の考え方が導入されていることに留意すること。
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    • 【解答例】
      1 以下の方法により、屋外作業場等について作業環境測定を行う。
      (1)以下により、屋外作業場等について作業環境測定を行う。
      ① 原則として、単位作業場所の床面上に6m以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点の床上120cm以上150cm以下の位置(少なくとも5箇所以上)の価騒音レベルの測定(A測定)
      ② 音源に近接する場所において作業が行われる単位作業場にあっては、作業が行われる時間のうち、騒音レベルが最も大きくなると思われる時間に、その作業が行われる位置の等価騒音レベルの測定(B測定)
      (2)ただし、騒音源が移動する場合等においては、上記の方法に代えて、次による個人ばく露測定による等価騒音レベルの測定に基づいて、測定を行うことができる。
      ① 同種の業務を行うグループごとに1台以上のばく露計による測定を行うこと。
      ② ばく露計のマイクロホン部分を測定対象者の頭部、首又は肩の近くに装着すること。
      ③ 測定対象者に、終日又は半日、ばく露計を装着させたままで騒音作業を行わせることにより、騒音作業に従事する時間の等価騒音レベルを測定する。ただし、2時間ごとに反復継続する作業を行うことが明らかな場合等、一定時間の測定を行うことで作業時間全体の等価騒音レベルを算定することが可能な場合は、測定の開始から終了までの時間が1時間以上であれば、測定時間を短縮してよい。
      ④ 測定を開始する前に、測定対象者にばく露計が正しく装着されていることを確認する。測定対象者は、測定中にばく露計が落下したり、マイクロホン部分が作業着等で覆われたりすることがないよう注意する。
      2 屋外作業場等の作業環境測定の頻度は以下による。
      (1)測定は、6月以内ごとに1回、定期に行う。ただし、第Ⅰ管理区分に区分されることが継続している場所又は等価騒音レベルが継続的に 85dB 未満である場所については、定期に行う測定を省略することができる。
      (2)また、施設、設備、作業工程又は作業方法を変更した場合は、その都度、測定する。
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  • (4)作業環境測定の結果、作業場が第Ⅲ管理区分に区分された場合に、事業者が講ずべき措置について述べよ。

    • 【解説】
      これも、ガイドラインに書かれていることをそのまま記せばよいであろう。
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    • 【解答例】
      (1)第Ⅲ管理区分に区分された場所を標識によって明示する等の措置を講ずること。
      (2)施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他作業環境を改善するため必要な措置を講じ、その場所の管理区分が第Ⅰ管理区分又は第Ⅱ管理区分となるようにすること。
      なお、作業環境を改善するための措置を講じたときは、その効果を確認するため、その場所について作業環境測定を行い、その結果の評価を行うこと。
      (3)騒音作業に従事する労働者に防音保護具を使用させるとともに、防音保護具の使用について、作業中の労働者の見やすい場所に掲示すること。
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  • (5)常時騒音作業に労働者を従事させようとするときに、事業者が行うべき労働衛生教育の科目(項目)について列挙せよ。

    • 【解説】
      これも、ガイドラインに書かれていることをそのまま記せばよいであろう。なお、ガイドラインが改正されたときに、若干の修正が行われている。
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    • (1)騒音の人体に及ぼす影響
      (2)適正な作業環境の確保と維持管理
      (3)防音保護具の使用の方法及び作業方法の改善
      (4)関係法令等
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