労働衛生コンサルタント試験 2013年 労働衛生一般 問04

電離放射線の性質等




問題文
トップ
ポジティブな人のイラスト(女性)

 このページは、2013年の労働安全衛生コンサルタント試験の「労働衛生一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2013年度(平成25年度) 問04 難易度 電離放射線に関する普通高校の物理レベルの初歩的な知識問題。正答できなければならない。
電離放射線

問04 電離放射線に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)エックス線は電磁波であるが、ガンマ線は粒子線である。

(2)エックス線、ベータ線、アルファ線のうちで、透過力が最も弱いのはアルファ線である。

(3)吸収線量はGy(グレイ)で表される。

(4)実効線量はSv(シーベルト)で表される。

(5)実効線量は、防護に関して定義された量である。

正答(1)

【解説】

(1)誤り。エックス線もガンマ線も電磁波である。エックス線は原子核の外で発生するが、ガンマ線は原子核から放出される。

  • アルフア線:粒子線(ヘリウム原子核の流れ)
  • 重陽子線:粒子線(重陽子の流れ)
  • 陽子線:粒子線(陽子の流れ)
  • ベータ線:粒子線(原子核から放出される電子の流れ)
  • 電子線:粒子線(電極から放出される電子の流れ)
  • 中性子線:粒子線(中性子の流れ)
  • ガンマ線:電磁波
  • エックス線:電磁波

(2)正しい。エックス線は電磁波で、この中では最も透過力が強い。ベータ線とアルファ線はともに粒子線であるが、アルファ線は電離する量が極めて多いので、透過力が最も弱く、紙や布でさえ透過できない。

※ 環境省のサイト「放射線の透過力」の説明が分かりやすい。

(3)正しい。吸収線量は、電離放射線の照射により、単位質量の物質に付与されたエネルギーをいい、単位としては㏉(グレイ)が用いられる。

(4)正しい。実効線量は、人体の各組織・臓器が受けた等価線量に、当該組織・臓器の組織加重係数を乗じ、これらを合計したもので、単位としてはSv (シーベルト)が用いられる。

(5)正しい。実効線量は、放射線による確率的影響のリスクの大きさを表す概念である。放射線の防護には主に実効線量が用いられる。

2021年02月14日執筆