喫煙とベトナム戦争の死亡リスク




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喫煙の危険性

厚生労働省が学習用資料として公表している資料による喫煙による死亡リスクと、ベトナム戦争に従軍した米軍の死亡リスクを比較すると、米軍のベトナム戦争の死亡リスクの方が低いということが分かります。

詳細な比較を論じています。




1 喫煙による死亡リスクの高さは?

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このサイトのコンテンツ「各種の危険要因による死亡リスク」において、喫煙による超過死亡者数は1年間に12~13万人になるとお示しした。この数値は、厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室が2012年2月27日の「たばこアルコール担当者講習会」で用いた資料から引用している。


2 米軍のベトナム戦争による死亡リスクの高さは?

喫煙の危険性

※ イメージ図(©photoAC)

ベトナム戦争で、米軍の戦死者数が最も多かったのは 1968 年で、その年の戦死者数は 14,592 名となった。ただし、これは純粋な戦死者で、味方による誤攻撃など「事故」によるものは含まれていない。戦場では、味方が攻撃することによる死者が一定程度いることは避けられないので、実際の死亡者はもっと多い可能性がある(※)ことは指摘しておく。

※ C.D.B.ブライアン「友軍の砲撃(上)」(常盤新平訳・草思社・1981年)など参照

一方、同時期に南ベトナムに派遣されていた米国軍人の数は 53 万 6000 人と公表されている。従って、在南ベトナム米国軍人の死亡率は 2.7%という驚くべき高率だったことになる。

米国軍人のベトナム戦争への派遣期間は、通常は2年間だったから、この年にベトナム戦争に派遣された米国軍人は、実に 5.4%、20人に1人強の驚くべき死亡リスクがあったと考えられる。


3 喫煙による死亡リスクの高さは?

一方、我が国の 2012 年 10 月時点の 20 歳以上の人口に、JTが公表している同年の喫煙率 21.1%を乗ずると、その時点における喫煙者数は2270 万人となる。

そこで、喫煙による死者数の予測の最小値 12 万人を2270 万人で除すると 0.529%となる。これがひかえめにみた1年当りの喫煙による死亡リスクとなろう。

20 歳から 60 歳まで 40 年間喫煙したとすると、単純に考えるとその死亡リスクは21.2%(0.529×40:高次の項を無視している)となるのである。


4 喫煙とベトナム戦争の死亡リスクを比較すると

ここで、驚くべきことが分かる。我が国の喫煙による死亡リスクは、米国側のベトナム戦争参加の約4倍のリスクとなるのだ。

もちろん、ベトナム側のリスクは、これよりはるかに高かったと思われる。ベトナム戦争は、超大国の米国が常習喫煙者ほどのリスクさえ犯さずに、ベトナムの国民を大量に殺戮した戦争という評価も可能かもしれない。

なお、本記事の執筆に当たっては、私のサイトの「災害が発生しないから規制する?」を参照している。





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