安衛法の免許等の旧姓と通称名(2)




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(遅まきながら)2021年2月25日に安衛則の改正が公布され、免許証や技能講習修了証の氏名欄に旧姓や通称名の標記が認められていなかった点を改正し、併記ではありますが表示が認められるようになります。

本稿では、氏名と通称名についてのいくつかのよくある疑問について解説しています。




1 安衛法上の免許証等への旧姓・通称の併記

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本サイトの記事「安衛法の免許証等への旧姓・通称の表示について」でもお知らせしたが、安衛法の免許証等へ、旧姓、通称の併記ができるようになる。道交法の免許証については、既にかなり前から行われていることであり、「後追い」ではあるのだが、行政サービスの向上として歓迎すべきことである。

ただ、今回の安衛則の改正は、様式の変更のみであり、旧姓、通称の定義が安衛則に定められているわけではない。そのため、旧姓、通称とは何かが分かりにくいというきらいはあった。


2 詳細を示す通達

(1)詳細を示す通達

本件について、その後、詳細な通達が関係団体に対して発出された。もちろん、公開されている通達だが、厚生労働省のWEBサイトには掲示されていないようなので、この通達に基づいて、旧称と通称について、若干の解説をしておこう。


(2)旧姓について

まず、旧姓についてであるが、こちらは通称と違って、それが何かは明白である。婚姻や養子縁組によって氏名が変更した場合の旧姓である。

なお、離婚又は離縁して復姓した場合や、姓を離婚又は離縁する前の姓に戻したような場合も含まれる。もっとも、そのような場合に、旧姓を併記しようとするケースがあるとは思えない。

また、道交法の免許について旧姓を併記するためには、予め住民票に旧姓が記載されている必要がある。安衛法の免許等についても、通達に示された旧姓の定義が「住民基本台帳法施行令第 30 条の 13 に規定する旧氏」とされている。従って、免許証と同様な扱いになりそうだが、技能講習の修了証の発行時に、技能講習修了証を発行する登録教習機関では戸籍謄本又は除籍簿を確認すればよく、住民票を確認する必要はないこととなっている。


(3)通称について

次に、通称だが、通称は外国人(協定永住に限らない。)のみならず、日本人でも「通称」を用いて生活しているケースは多い。政治家や作家、芸能人に限らず、トランスジェンダーやジェンダーノンコンフォーミングの方で、通称を用いているケースもある。安衛則には「通称」の定義を示さずに、指名への通称の併記を許すとだけ書かれているのだから、これらも使用できると解する余地があるわけだ。

しかし、通達によると、通称について「住基法施行令第 30 条の 16 第1項に規定する通称を指し、これを併記するためには、住民票の写し等により確認する必要がある」されているので、日本人の通称併記は認められない扱いとなる。


3 その他

なお、旧姓、通称の氏名欄への併記は、カッコ書きで示されることとなっている。あくまでも許されるのは、氏名への併記であって、旧姓又は通称のみの記載は許されない。

また、施行は2022年の4月からである。





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