衛生管理者試験の勧め(2)




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衛生管理者試験

労務管理系の資格試験に挑戦したいけれど、衛生管理者についてよく分からないという方に、衛生管理者試験に合格するメリットと、試験の範囲内容等について解説しています。

内容はすべて筆者の書きおろしです。柳川に著作権があることにご留意下さい。



衛生管理者免許取得のメリットと受験の要件

1 衛生管理者免許取得のメリット

(1)衛生管理者の資格は身分保障になる

ここまでお話したところから、衛生管理者試験受験のメリットはお分かりいただけるであろう。常時雇用する労働者が50人以上いる事業場なら、必ず衛生管理者がいなければならないのである。やや俗なことを言えば、転職などの場合にも有利になるし、その事業場に有資格者が一人しかいなければ、簡単には解雇もできなくなるということである。

科学・経済・政治が急速に変化する現代社会においては、どのような企業であっても会社の存立は盤石なものとはいえなくなっている。何かあったときに、企業に絶対に必要な国家資格を持っていることは、様ざまな点で有利になるのである。

(2)衛生管理者の知識は職業生活を送る上で有効なものである

また、衛生管理者は事業場の衛生管理を一手に引き受けることから、企業の健康管理の重要な役割を担うことができる。経済社会のIT化が急速に進展する中で企業の生産性を上げていくためには、労働者の心身両面の健康の確保は極めて重要となる。健康経営の重要性が叫ばれる中で、このような業務経験を積めることは、キャリアパスを考えていくうえで重要なものとなろう。

さらには、衛生管理者の業務を行うことによって得られる知識や経験は、その企業にとってのみならず、自分自身の心身両面の健康を確保する上で有効なものとなる。急速に高齢化が進む中で、高齢まで活動してゆくためには、健康の確保が何よりも大切なものなのである。

2 衛生管理者試験の受験の要件

しかし、衛生管理者試験は誰でも受けられるわけではない。残念なことではあるが、現時点においては、受験そのものに一定の要件があるのである。

受験資格は、安全衛生技術試験協会(略称:試験協会)のWEBサイトの「衛生管理者」のページに記載されている。大学卒業者等で1年、高卒等で3年、中卒者で10年などの労働衛生の実務経験が必要になる(※)

 これに限らず労働安全衛生の関連資格には、実務経験を要するものが多い。

個人的な考えを述べさせてもらえれば、理想としては理解できないでもないが、あまりにも非現実的であり、早急に実務経験要件は撤廃されるべきだと思っている。

実務経験といっても単純作業の補助業務をしていたようなケースもあり、一方で、意欲もあり能力もある人材が実務経験がないばかりに安全衛生関連業務に就けないケースもあるからである。

しかも、実務経験の証明が、事業者の考え方や知識に左右されることも多く、かなりいい加減な実務経験証明書も見られることからなおさらである。

ここで、労働衛生の実務には、次のようなものが含まれる。なお、必ずしもこれ以外は認められないというわけではない。

【労働衛生の実務に含まれるもの】

  1. 1 健康診断実施に必要な事項又は結果の処理の業務
  2. 2 作業環境の測定等作業環境の衛生上の調査の業務
  3. 3 作業条件、施設等の衛生上の改善の業務
  4. 4 労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備の業務
  5. 5 衛生教育の企画、実施等に関する業務
  6. 6 労働衛生統計の作成に関する業務
  7. 7 看護師又は准看護師の業務
  8. 8 労働衛生関係の作業主任者(※に記載する職務に限る。)としての職務
  9. 9 労働衛生関係の試験研究機関における労働衛生関係の試験研究に従事
  10. 10 自衛隊の衛生担当者、衛生隊員の業務
  11. 11 保健衛生に関する業務
  12. 12 保健所職員のうち、試験、研究に従事する者等の業務
  13. 13 建築物環境衛生管理技術者の業務

 高圧室内、エックス線、ガンマ線透過写真撮影、特定化学物質、鉛、四アルキル鉛等、酸素欠乏危険、有機溶剤、石綿





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