第2種衛生管理者試験 2026年4月公表 問27

視覚の仕組み

問題文

学習する男性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2026年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2026年04月公表問題 問27 難易度 視覚の仕組みに関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
視覚の仕組み

問27 視覚に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)遠見視力の検査は、一般に、5mの距離で実施する。

(2)眼を使う作業を継続すると、硝子体の厚みを調節するときに毛様体筋の緊張や脳の疲労によって、「目が疲れる」、「目が痛い」などの症状がみられることがある。

(3)角膜がゆがんでいたり、表面に凹凸があるために、眼軸などに異常がなくても、物体の像が網膜上に正しく結ばれないものを乱視という。

(4)視野とは、眼の前の一点を凝視したときに見えている空間の範囲をいい、一般に、上方及び鼻側は約 60 度、下方は約 70 度、耳側は約 100 度である。

(5)明るい所から急に暗い所に入ると、初めは見えにくいが、暗順応によって徐々に見えるようになる。

正答(2)

【解説】

視力に関する出題は、2022 年4月公表問題以来である。しかも正答である(2)が初出なので、正答率は低かったかもしれない。

(1)正しい。旧VDTガイドラインでは、眼科学的検査として5m視力の検査(遠距離視力の測定)と近見視力の検査を行うこととされていた。なお、近見視力の検査は50cm視力検査で行うことが多い。

ただし、VDTガイドラインは廃止されて新たに「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(令和元年7月12日基発0712第3号)」が策定されている。旧ガイドラインで「5m視力の検査」とされていたのは「遠見視力の検査」と変更された。

(2)誤り。毛様体筋(ciliary muscle)とは、水晶体を調節する筋肉であって、硝子体の厚みを調節するものではない。そもそも硝子体の厚さは、物を見るときに変化するようなものではない。

なお、梶田は、目の疲れについて次のように述べる。すなわち、本肢の「硝子体」を「水晶体」に変えれば正しくなるというものではない。

【眼精疲労の原因】

3 調節機能解析装置

  (略)

  調節は毛様体筋の緊張弛緩が毛様体小帯に伝わり、水晶体の赤道部を牽引弛緩することで水晶体の厚さを変えている。加齢による調節力の低下は水晶体嚢の硬化が最も強く関与していると言われており、調節力が全くなくなった症例でも毛様体筋は活動している。この報われない調節努力が眼精疲労の一因になっていることが分かってきた。

  (略)

おわりに

  (略)

  パソコンの普及に伴い眼精疲労を訴える症例は増加してきた。スマートフォンの普及によりさらに拍車が掛かってきている。パソコンによる眼の疲労部位は毛様体筋が主であったが、スマートフォンによる眼の疲労部位は毛様体筋に加えて外眼筋も関与してきている。

  (略)

※ 梶田正義「デジタルデバイスの汎用で変わった調節応答と眼鏡処方」(視覚の科学 Vol.42 No.4 2021年)

また、(公財)日本眼科学会の「眼精疲労(目の疲れ)」によれば眼精疲労の原因は、次のようなものであるとされていることを参考に挙げておく。

【眼精疲労の原因】

眼精疲労(目の疲れ)

原因

  目になんらかの問題があって発生することが多いのは言うまでもありませんが、その多くは度の合わない眼鏡を使用していたり、老視(老眼)の初期などで無理な近業作業を行った場合などです。緑内障や白内障、ドライアイでも眼精疲労が出現することがあります。最近は、特にパソコンやスマートフォンなどを使用する機会が増えたため、これが原因の眼精疲労が増えています。

  その他、全身疾患に伴うもの・心因性のもの・環境によるものなど、眼精疲労をもたらす要因は非常に多岐にわたっています。

※ (公財)日本眼科学会の「眼精疲労(目の疲れ)

(3)正しい。乱視には正乱視と不正乱視があるが、一般に乱視といえば、正乱視のことをいう。正乱視とは、角膜または水晶体(レンズ)が、正確な球面ではないため、見ようとしている外界の物体から出た光が、眼の角膜で正確に結像しないために起きる現象である。

(4)正しい。視野とは、眼の前の一点を凝視したときに見えている空間の範囲であることは正しい。視野の範囲については文献によって多少の違いはある(※)が、一般に、上方及び鼻側は約 60 度、下方は約 70 度、耳側は約 100 度とされている。

※ 例えば(独法)国立病院機構・大阪医療センター「視野検査」は「正常では上方に60度、下方に75度、鼻側に60度、耳側に100度という広い視野を持っています」とする。

(5)正しい。明るいところから暗いところに移動したとき、ヒトの眼は、虹彩を収縮して瞳孔を広げるとともに、作用する視細胞を錐体から桿体へ切り替えることにより「暗順応」が起きる。

なお、瞳孔は速やかに広がるが、視細胞を錐体から桿体へ切り替えるには桿体細胞内のロドプシンを合成する必要があり、これには30分~1時間程度が必要である。このため、暗順応は徐々に見えるようになる。

2026年07月26日執筆