問6 労働衛生コンサルタントに関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
(1)労働衛生コンサルタントは、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行うことを業とする。
(2)労働衛生コンサルタント試験には、保健衛生及び労働衛生工学の2つの区分がある。
(3)労働衛生コンサルタント試験に合格した者は、厚生労働大臣の指定する指定登録機関に備える労働衛生コンサルタント名簿に、氏名、生年月日等所定の事項の登録を受けることにより、労働衛生コンサルタントとなることができる。
(4)労働衛生コンサルタントが、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用したときは、その登録を取り消されることがある。
(5)労働衛生コンサルタントは、法定の研修を修了することにより、ストレスチェックの実施者となることができる。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2024年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2024年4月公表問題 | 問06 | 難易度 | 労働衛生コンサルタントは、前回公表問題に引き続き、連続しての出題。今後の2種の定番となるのか。 |
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労働衛生コンサルタント | 3 |
問6 労働衛生コンサルタントに関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
(1)労働衛生コンサルタントは、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行うことを業とする。
(2)労働衛生コンサルタント試験には、保健衛生及び労働衛生工学の2つの区分がある。
(3)労働衛生コンサルタント試験に合格した者は、厚生労働大臣の指定する指定登録機関に備える労働衛生コンサルタント名簿に、氏名、生年月日等所定の事項の登録を受けることにより、労働衛生コンサルタントとなることができる。
(4)労働衛生コンサルタントが、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用したときは、その登録を取り消されることがある。
(5)労働衛生コンサルタントは、法定の研修を修了することにより、ストレスチェックの実施者となることができる。
正答(5)
【解説】
当サイトの掲示板で、前回の公表問題(問6)が公表されるまで「公表された過去問にない」として話題になっていた問題である。今回は、(1)から(4)までは前回公表問題と同じであるが、正答の(5)だけが入れ替えてある。
ただ、ストレスチェックの実施者については過去問でも問われたことがあり、過去問の学習で十分に正答できる問題である。
なお、これまでは2種のみの出題で1種には出題されていない。
(1)正しい。安衛法第 81 条第2項に、労働衛生コンサルタントは、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行うことを業とするとされている。
【労働安全衛生法】
(業務)
第81条 (第1項 略)
2 労働衛生コンサルタントは、労働衛生コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行なうことを業とする。
(2)正しい。コンサルタント則第 10 条により、労働衛生コンサルタント試験には、保健衛生及び労働衛生工学の2つの区分がある。
【労働安全衛生法】
(労働安全コンサルタント試験)
第82条 (第1項 略)
2 労働安全コンサルタント試験は、厚生労働省令で定める区分ごとに、筆記試験及び口述試験によつて行なう。
3及び4 (略)
(労働衛生コンサルタント試験)
第83条 (第1項 略)
2 前条第2項から第4項までの規定は、労働衛生コンサルタント試験について準用する。この場合において、同条第3項第一号及び第二号中「安全」とあるのは、「衛生」と読み替えるものとする。
【労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント規則】
(試験の区分)
第10条 法第83条第2項において準用する法第82条第2項の厚生労働省令で定める区分は、次のとおりとする。
一 保健衛生
二 労働衛生工学
(3)正しい。安衛法第 84 条の規定により、労働衛生コンサルタント試験に合格した者は、厚生労働大臣の指定する指定登録機関に備える労働衛生コンサルタント名簿に、氏名、生年月日等所定の事項の登録を受けることにより、(安衛法上の)労働衛生コンサルタントとなることができる。
【労働安全衛生法】
(登録)
第84条 労働安全コンサルタント試験又は労働衛生コンサルタント試験に合格した者は、厚生労働省に備える労働安全コンサルタント名簿又は労働衛生コンサルタント名簿に、氏名、事務所の所在地その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けて、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントとなることができる。
2 (略)
(4)正しい。安衛法第 85 条第2項(及び同法第 86 条第2項)の規定により、労働衛生コンサルタントが、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用したときは、その登録を取り消されることがある。
なお、守秘義務は、医師(刑法)、弁護士、弁理士、保健師、看護師等の不特定の顧客に対して業務を行う国家資格についても定められている。衛生管理者に守秘義務が定められていないのは、衛生管理者は特定の企業に雇用されることが前提となっているからである。
【労働安全衛生法】
(登録の取消し)
第85条 (第1項 略)
2 厚生労働大臣は、コンサルタントが第86条の規定に違反したときは、その登録を取り消すことができる。
(義務)
第86条 (第1項 略)
2 コンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。コンサルタントでなくなつた後においても、同様とする。
(5)誤り。ストレスチェックの実施者となることができる者は、安衛則第 52 条の 10 第1項に定められているが、労働衛生コンサルタントは含まれていない。
そもそもストレスチェックの実施は医学的な行為であり、管理的な業務について事業者等への助言を行う衛生コンサルタントができるわけがないのである。
【労働安全衛生法】
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
2~9 (略)
【労働安全衛生規則】
(検査の実施者等)
第52条の10 法第66条の10第1項の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者(以下この節において「医師等」という。)とする。
一 医師
二 保健師
三 検査を行うために必要な知識についての研修であつて厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師
2 (略)