問7 労働安全衛生法に基づく労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「ストレスチェック」という。)及びその結果等に応じて実施される医師による面接指導に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。
(1)ストレスチェックを受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、ストレスチェックの実施の事務に従事してはならない。
(2)事業者は、ストレスチェックの結果が、衛生管理者及びストレスチェックを受けた労働者に通知されるようにしなければならない。
(3)面接指導を行う医師として事業者が指名できる医師は、当該事業場の産業医に限られる。
(4)面接指導の結果は、健康診断個人票に記載しなければならない。
(5)事業者は、面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するため必要な措置について、面接指導が行われた日から3か月以内に、医師の意見を聴かなければならない。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2023年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2023年10月公表問題 | 問07 | 難易度 | ストレスチェックに関する基本的な知識問題。最近の頻出事項であり、確実に正答できる必要がある。 |
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ストレスチェック | 2 |
問7 労働安全衛生法に基づく労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「ストレスチェック」という。)及びその結果等に応じて実施される医師による面接指導に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。
(1)ストレスチェックを受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、ストレスチェックの実施の事務に従事してはならない。
(2)事業者は、ストレスチェックの結果が、衛生管理者及びストレスチェックを受けた労働者に通知されるようにしなければならない。
(3)面接指導を行う医師として事業者が指名できる医師は、当該事業場の産業医に限られる。
(4)面接指導の結果は、健康診断個人票に記載しなければならない。
(5)事業者は、面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するため必要な措置について、面接指導が行われた日から3か月以内に、医師の意見を聴かなければならない。
正答(1)
【解説】
(1)正しい。安衛則第 52 条の 10 により、ストレスチェックを受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、ストレスチェックの実施の事務に従事してはならない。
【労働安全衛生法】
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
2~9 (略)
【労働安全衛生規則】
(検査の実施者等)
第52条の10 (第1項 略)
2 検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、検査の実施の事務に従事してはならない。
(2)誤り。安衛法第 66 条の 10 第2項は、事業者は、ストレスチェックの結果がストレスチェックを受けた労働者に通知されるようにしなければならないとしている。しかし、衛生管理者に通知されるようにしなければならないとはしていない。
むしろ、医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならないとしており、安易に衛生管理者に通知されるようなことがあってはならない。
【労働安全衛生法】
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
2 事業者は、前項の規定により行う検査を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該検査を行つた医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。この場合において、当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない。
3~9 (略)
(3)誤り。面接指導の実施者は安衛則第 52 条の 10 第1項に定められているが、実施者になれる者として医師はすべて該当する。
常識的に考えても、医師として事業者が指名できる医師がその事業場の産業医に限られたのでは、産業医の選任義務のない50人未満の事業場ではストレスチェックができなくなってしまう。
【労働安全衛生法】
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
2~9 (略)
【労働安全衛生規則】
(検査の実施者等)
第52条の10 法第66条の10第1項の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者(以下この節において「医師等」という。)とする。
一 医師
二 保健師
三 検査を行うために必要な知識についての研修であつて厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師
2 (略)
(4)誤り。安衛法第 66 条の 10 第4項の規定により、事業者は面接指導の結果を記録しておかなければならない。しかし、健康診断個人票に記載しなければならないとする規定はない。
【労働安全衛生法】
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
2 (略)
3 事業者は、前項の規定による通知を受けた労働者であつて、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない。
4 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定による面接指導の結果を記録しておかなければならない。
5~9 (略)
【労働安全衛生規則】
(面接指導結果の記録の作成)
第52条の18 事業者は、面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。
2 (略)
(5)誤り。面接指導の結果についての医師からの意見聴取は、安衛則第 52 条の 19 に基づき、面接指導が行われた後、遅滞なく行わなければならない。3か月以内では遅滞なくとは言えない。
平成27年5月1日基発 0501 第3号によると、この場合の遅滞なくとは「意見聴取は、面接指導が行われた後、遅滞なく行われる必要があるが、遅くとも面接指導を実施してから概ね1月以内に行うこと。なお、労働者の心理的な負担の程度等の健康状態から緊急に就業上の措置を講ずべき必要がある場合には、可能な限り速やかに行われる必要があること
」とされている。
なお、遅滞なくの意味については「直ちに・速やかに・遅滞なくとは」を参照していただきたい。
【労働安全衛生法】
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
2 (略)
3 事業者は、前項の規定による通知を受けた労働者であつて、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない。
4 (略)
5 事業者は、第3項の規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなければならない。
6~9 (略)
【労働安全衛生規則】
(面接指導の結果についての医師からの意見聴取)
第52条の19 面接指導の結果に基づく法第66条の10第5項の規定による医師からの意見聴取は、面接指導が行われた後、遅滞なく行わなければならない。