第2種衛生管理者試験 2023年10月公表 問06

労働衛生コンサルタント




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2023年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2023年10月公表問題 問06 難易度 過去問にない問題。衛生管理者も衛生コンサルタントについて知っておくべきということか。
労働衛生コンサルタント

問6 労働衛生コンサルタントに関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。

(1)労働衛生コンサルタントは、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行うことを業とする。

(2)労働衛生コンサルタント試験には、保健衛生及び労働衛生工学の2つの区分がある。

(3)労働衛生コンサルタント試験に合格した者は、厚生労働大臣の指定する指定登録機関に備える労働衛生コンサルタント名簿に、氏名、生年月日等所定の事項の登録を受けることにより、労働衛生コンサルタントとなることができる。

(4)労働衛生コンサルタントが、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用したときは、その登録を取り消されることがある。

(5)労働衛生コンサルタントの診断及び指導を受けた事業者は、その記録を作成して、これを3年間保存しなければならない。

正答(5)

【解説】

当サイトの掲示板で過去問にないとして話題になっていた問題である。衛生管理者試験で衛生コンサルタントの問題が出るとは思わなかった受験生が多かったようだ。労働衛生に関するセンスのような能力で正答することができたかもしれない。

衛生管理者も衛生コンサルタントを活用することを考えるべきという試験協会の意思かもしれないが、それなら2種のみでなく1種にも出すべきだろう。

(1)正しい。安衛法第81条第2項に、労働衛生コンサルタントは、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行うことを業とするとされている。

【労働安全衛生法】

(業務)

第81条 (第1項 略)

 労働衛生コンサルタントは、労働衛生コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行なうことを業とする。

(2)正しい。コンサルタント則第10条により、労働衛生コンサルタント試験には、保健衛生及び労働衛生工学の2つの区分がある。

【労働安全衛生法】

(労働安全コンサルタント試験)

第82条 (第1項 略)

 労働安全コンサルタント試験は、厚生労働省令で定める区分ごとに、筆記試験及び口述試験によつて行なう。

3及び4 (略)

(労働衛生コンサルタント試験)

第83条 (第1項 略)

 前条第二項から第四項までの規定は、労働衛生コンサルタント試験について準用する。この場合において、同条第三項第一号及び第二号中「安全」とあるのは、「衛生」と読み替えるものとする。

【労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント規則】

(試験の区分)

第10条 法第八十三条第二項において準用する法第八十二条第二項の厚生労働省令で定める区分は、次のとおりとする。

 保健衛生

 労働衛生工学

(3)正しい。安衛法第84条の規定により、労働衛生コンサルタント試験に合格した者は、厚生労働大臣の指定する指定登録機関に備える労働衛生コンサルタント名簿に、氏名、生年月日等所定の事項の登録を受けることにより、(安衛法上の)労働衛生コンサルタントとなることができる。

【労働安全衛生法】

(登録)

第84条 労働安全コンサルタント試験又は労働衛生コンサルタント試験に合格した者は、厚生労働省に備える労働安全コンサルタント名簿又は労働衛生コンサルタント名簿に、氏名、事務所の所在地その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けて、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントとなることができる。

 (略)

(4)正しい。安衛法第85条第2項(及び同法第86条第2項)の規定により、労働衛生コンサルタントが、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用したときは、その登録を取り消されることがある。

【労働安全衛生法】

(登録の取消し)

第85条 (略)

 厚生労働大臣は、コンサルタントが第86条の規定に違反したときは、その登録を取り消すことができる。

(義務)

第86条 (略)

 コンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。コンサルタントでなくなつた後においても、同様とする。

(5)誤り。このような規定はない。そもそも、事業者が労働衛生コンサルタントの診断及び指導を受けることが義務ではないのだから、その記録を作成して保存しなければならないという規定があるわけがないであろう。

なお、コンサルタントの側はコンサルタント則第 22 条の規定により、依頼の内容等を帳簿に記録しなければならないこととなっている(覚えなくて良い)。

【労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント規則】

(帳簿)

第22条 コンサルタントは、次の各号に掲げる事項を記載した帳簿を備え、これを記載の日から三年間保存しなければならない。

 依頼者の氏名(法人にあつては、その名称)及び住所

 依頼を受けた年月日

 実施した診断の項目

 実施した診断の項目

2023年10月07日執筆