第2種衛生管理者試験 2023年4月公表 問13

労働衛生の3管理




問題文
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未来に向かって指さす女性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2023年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2023年04月公表問題 問13 難易度 労働衛生の3管理は全くの初出問題である。その意味ではかなりの難問だったか。
労働衛生の3管理

問13 労働衛生対策を進めるに当たっては、作業環境管理、作業管理及び健康管理が必要であるが、次のAからEの対策例について、作業管理に該当するものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 座位での情報機器作業における作業姿勢は、椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分あて、履き物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とする。

B 情報機器作業において、書類上及びキーボード上における照度を400ルクス程度とする。

C 高温多湿作業場所において労働者を作業に従事させる場合には、計画的に、暑熱順化期間を設ける。

D 空気調和設備を設け、事務室内の気温を調節する。

E 介護作業等腰部に著しい負担のかかる作業に従事する労働者に対し、腰痛予防体操を実施させる。

(1)A,B

(2)A,C

(3)B,E

(4)C,D

(5)D,E

正答(2)

【解説】

労働衛生の分野では、伝統的に、労働衛生管理を作業環境管理、作業管理及び健康管理の3管理に分類する考え方がある。しかし、労働衛生管理について学び始めたばかりだと、その違いが分かりにくいのではないかと思う。実際に、この3つの違いを、正しくかつ分かりやすく説明している参考書というものを見たことがない。というより労働衛生について体系立てて解説した専門書と言うものが、ほとんどないのではあるが・・・。

労働衛生対策を具体的に示して、それが労働衛生の3管理(作業環境管理、作業管理、健康管理)のいずれに該当するかを問う問題は、衛生コンサルタント試験ではよく出題されるが、衛生管理者試験では少なくとも過去11回で初出である。

受験テクニックとしては、次のように覚えるとよいだろう。

【受験テクニック】

①  作業環境管理 : 音や電磁波のような物体ではないものを含めて、人がいなくても存在している“モノ”を管理する。
②  作業管理 : 作業者の体内に存在する“モノ”ではないが、作業者が存在して初めて意味を持つ“モノ”を管理する
③  健康管理 : 作業者の体内の“もの”あるいは“現象”を管理する。

ただ、実際には、この“テクニック”だけで簡単に区別できるようなものではない。個別のものについては覚えるしかないだろう。

本問の暑熱順化が作業管理になり、腰痛予防対策が健康管理になることは、厚生労働省の公式な文書にそれぞれ記載されている。これは、暑熱順化期間の設定は、暑熱作業という特定の作業への対応を目的としており、腰痛予防体操の実施は一般的な健康問題への対応を目的としているということからそのように分類されているのである

なお、この種の問題の解き方の詳細は、労働衛生コンサルタント試験の直前チェックシート「労働衛生3管理の見分け方」を参照して頂きたい。

A 作業管理である。作業姿勢の改善は、作業者が存在しなければやりようがない。

B 作業環境管理であり、作業管理ではない。書類上及びキーボード上における照度は作業者がいなくても管理できる。

C 作業管理である。暑熱順化(体を暑さに慣れさせること)は、作業者がいなければやりようがない(※)

※ 厚生労働省「職場における熱中症予防対策マニュアル」(2021年(令和3年)4月最終改訂)による。

D 作業環境管理であり、作業管理ではない。これは言葉の意味から分かるが、空気調和設備を設け、事務室内の気温を調節することは作業者がいなくても可能である。

E 健康管理であり、作業管理ではない。腰痛予防体操の実施は健康管理になる(※)

※ 厚生労働省のパンフレット「事業主の皆さまへ 職場での腰痛を予防しましょう!「腰痛予防対策指針」による予防のポイント」(2013年(平成25年)11月)による。なお、詳細は「職場における腰痛予防対策指針」を確認されたい。

2023年04月20日執筆