問5 労働時間の状況等が一定の要件に該当する労働者に対して、法令により実施することが義務付けられている医師による面接指導に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
ただし、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務に従事する者及び高度プロフェッショナル制度の対象者はいないものとする。
(1)面接指導の対象となる労働者の要件は、原則として、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1か月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることとする。
(2)事業者は、面接指導を実施するため、タイムカードによる記録等の客観的な方法その他の適切な方法により、監督又は管理の地位にある者を除き、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない。
(3)面接指導を行う医師として事業者が指定することのできる医師は、当該事業場の産業医に限られる。
(4)事業者は、面接指導の対象となる労働者の要件に該当する労働者から面接指導を受ける旨の申出があったときは、申出の日から3か月以内に、面接指導を行わなければならない。
(5)事業者は、面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを3年間保存しなければならない。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2023年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2023年04月公表問題 | 問05 | 難易度 | 長時間労働者に対する面接指導は重要事項である。しかも過去問の学習だけで正答可能な問題。 |
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長時間労働者の面接指導 | 2 |
問5 労働時間の状況等が一定の要件に該当する労働者に対して、法令により実施することが義務付けられている医師による面接指導に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
ただし、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務に従事する者及び高度プロフェッショナル制度の対象者はいないものとする。
(1)面接指導の対象となる労働者の要件は、原則として、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1か月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることとする。
(2)事業者は、面接指導を実施するため、タイムカードによる記録等の客観的な方法その他の適切な方法により、監督又は管理の地位にある者を除き、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない。
(3)面接指導を行う医師として事業者が指定することのできる医師は、当該事業場の産業医に限られる。
(4)事業者は、面接指導の対象となる労働者の要件に該当する労働者から面接指導を受ける旨の申出があったときは、申出の日から3か月以内に、面接指導を行わなければならない。
(5)事業者は、面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを3年間保存しなければならない。
正答(1)
【解説】
(1)正しい。本肢は過去問をややひねってある。いわゆる条文問題である。面接指導の対象となる労働者の要件は、安衛則第52条の2第1項本文の規定により、原則として、休憩時間を除き1週間当たり40 時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1か月当たり80 時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者である。
【労働安全衛生法】
(面接指導等)
第66条の8 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者(中略)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。
2から5 (略)
【労働安全衛生規則】
(面接指導の対象となる労働者の要件等)
第52条の2 法第66条の8第1項の厚生労働省令で定める要件は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることとする。ただし、次項の期日前1月以内に法第66条の8第1項又は第66条の8の2第1項に規定する面接指導を受けた労働者その他これに類する労働者であつて法第66条の8第1項に規定する面接指導(以下この節において「法第66条の8の面接指導」という。)を受ける必要がないと医師が認めたものを除く。
2及び3 (略)
(2)誤り。安衛法第66条の8の3及び安衛則第52条の7の3第1項により、事業者は、面接指導を実施するため、タイムカードによる記録等の客観的な方法その他の適切な方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない。監督又は管理の地位にある者を除くとはされていない。
管理・監督者であっても長時間働いていれば疲労は蓄積するし、過労死や精神障害のリスクは一般社員と同様、状況によってはそれ以上に高まる場合もあるだろう。なお、基本的に安衛法の世界では「監督又は管理の地位にある者を除く」ことはないと思ってよい。
【労働安全衛生法】
第66条の8の3 事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。
【労働安全衛生規則】
(法第六十六条の八の三の厚生労働省令で定める方法等)
第52条の7の3 法第六十六条の八の三の厚生労働省令で定める方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とする。
2 (略)
(3)誤り。本肢は過去 11 回の公表問題にない肢である。安衛法第66条の8は「医師による」とのみ定められており、安衛則「第1編第6章第1節の3 長時間にわたる労働に関する面接指導等面接指導」にも医師の要件は定められていない。
そもそも、事業者が指定することのできる医師を、当該事業場の産業医に限ってしまったら50人未満の事業場では、面接指導ができなくなってしまうではないか。あり得ない肢である。
【労働安全衛生法】
(面接指導等)
第66条の8 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者(次条第一項に規定する者及び第六十六条の八の四第一項に規定する者を除く。以下この条において同じ。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。
2~5 (略)
(4)誤り。本肢は過去 11 回の公表問題にない肢である。事業者は、面接指導の対象となる労働者の要件に該当する労働者から面接指導を受ける旨の申出があったときは、遅滞なく面接指導を行わなければならない。申出の日から3か月以内では「遅滞なく」とは言えない。
なお、平成18年2月24日基発第0224003号「労働安全衛生法等の一部を改正する法律(労働安全衛生法関係)等の施行について」によると本項の「「遅滞なく」とは、申出後、概ね1月以内をいうこと
」とされている。詳細は、当サイトの「直ちに・すみやかに・遅滞なくとは」を参照されたい。
【労働安全衛生法】
(面接指導等)
第66条の8 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者(次条第一項に規定する者及び第六十六条の八の四第一項に規定する者を除く。以下この条において同じ。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。
2~5 (略)
【労働安全衛生規則】
(面接指導の実施方法等)
第52条の3 法第六十六条の八の面接指導は、前条第一項の要件に該当する労働者の申出により行うものとする。
2 (略)
3 事業者は、労働者から第一項の申出があつたときは、遅滞なく、法第六十六条の八の面接指導を行わなければならない。
4 (略)
(5)誤り。事業者は、面接指導の結果に基づき、その記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。3年間ではない。
【労働安全衛生法】
(面接指導等)
第66条の8 (略)
2 (略)
3 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項及び前項ただし書の規定による面接指導の結果を記録しておかなければならない。
4及び5 (略)
【労働安全衛生規則】
(面接指導結果の記録の作成)
第52条の6 事業者は、法第66条の8の面接指導(中略)の結果に基づき、当該法第66条の8の面接指導の結果の記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。
2 (略)