問4 労働安全衛生規則に基づく医師による健康診断に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)深夜業を含む業務に常時従事する労働者に対し、6か月以内ごとに1回、定期に、健康診断を行わなければならないが、胸部エックス線検査については、1年以内ごとに1回、定期に、行うことができる。
(2)雇入時の健康診断の項目のうち、聴力の検査は、1,000 Hz及び4,000 Hzの音について行わなければならない。
(3)雇入時の健康診断において、医師による健康診断を受けた後3か月を経過しない者が、その健康診断結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目を省略することができる。
(4)定期健康診断を受けた労働者に対し、健康診断を実施した日から3か月以内に、当該健康診断の結果を通知しなければならない。
(5)定期健康診断の結果に基づき健康診断個人票を作成して、これを5年間保存しなければならない。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2023年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2023年04月公表問題 | 問04 | 難易度 | 安衛則に基づく健康診断に関する知識問題である。過去問の学習だけでは、正答困難な問題である。 |
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健康診断(全般) | 4 |
問4 労働安全衛生規則に基づく医師による健康診断に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)深夜業を含む業務に常時従事する労働者に対し、6か月以内ごとに1回、定期に、健康診断を行わなければならないが、胸部エックス線検査については、1年以内ごとに1回、定期に、行うことができる。
(2)雇入時の健康診断の項目のうち、聴力の検査は、1,000 Hz及び4,000 Hzの音について行わなければならない。
(3)雇入時の健康診断において、医師による健康診断を受けた後3か月を経過しない者が、その健康診断結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目を省略することができる。
(4)定期健康診断を受けた労働者に対し、健康診断を実施した日から3か月以内に、当該健康診断の結果を通知しなければならない。
(5)定期健康診断の結果に基づき健康診断個人票を作成して、これを5年間保存しなければならない。
正答(4)
【解説】
(1)正しい。深夜業を含む業務に常時従事する労働者に対しては、安衛則第45条第1項により、6か月以内ごとに1回、定期に、所定の項目について健康診断を行わなければならない。しかし、同項2文において、胸部エックス線検査及び喀痰検査は、1年以内ごとに1回、定期に、行えば足りるものとされている。
なお、本事業場では、喀痰検査を6月に1回、定期に行っているものと思われるが、そのことが違反とはならないことは当然である。
【労働安全衛生規則】
(産業医の選任等)
第13条 (第1項柱書 略)
一及び二 (略)
三 (第三号柱書 略)
イ~リ (略)
ヌ 深夜業を含む業務
ル~カ (略)
四 (略)
2~4 (略)
(定期健康診断)
第44条 事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一~三 (略)
四 胸部エックス線検査及び喀痰検査
五~十一 (略)
2~4 (略)
(特定業務従事者の健康診断)
第45条 事業者は、第十三条第一項第三号に掲げる業務に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び六月以内ごとに一回、定期に、第四十四条第一項各号に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない。この場合において、同項第四号の項目については、一年以内ごとに一回、定期に、行えば足りるものとする。
2~4 (略)
(2)正しい。安衛則第43条(第三号)により、雇入時の健康診断の項目のうち聴力の検査は、年齢にかかわらず 1,000Hz 及び 4,000Hz の音について行わなければならない。
【労働安全衛生規則】
(雇入時の健康診断)
第43条 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
一及び二 (略)
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(千ヘルツ及び四千ヘルツの音に係る聴力をいう。次条第一項第三号において同じ。)の検査
四~十一 (略)
(3)正しい。安衛則第43条第1項但書により、雇入時の健康診断において、医師による健康診断を受けた後3か月を経過しない者が、その健康診断結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目を省略することができる。
【労働安全衛生規則】
(雇入時の健康診断)
第43条 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
一~十一 (略)
(4)誤り。安衛則第51条の4により、定期健康診断を受けた労働者に対し、健康診断を実施した日から遅滞なく、当該健康診断の結果を通知しなければならない。
なお、本条の「遅滞なく」の意味については、平成18年2月24日基発第0224003号「労働安全衛生法等の一部を改正する法律(労働安全衛生法関係)等の施行について」には「「遅滞なく」とは、事業者が、健康診断を実施した医師、健康診断機関等から結果を受け取った後、速やかにという趣旨であること
」とされている。詳細は、「直ちに・すみやかに・遅滞なくとは」を参照して頂きたい。
【労働安全衛生法】
(定期健康診断)
第44条 事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一~十一 (略)
2~4 (略)
【労働安全衛生規則】
(健康診断の結果の通知)
第51条の4 事業者は、法第六十六条第四項又は第四十三条、第四十四条若しくは第四十五条から第四十八条までの健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、当該健康診断の結果を通知しなければならない。
(5)正しい。安衛則第51条により、定期健康診断の結果に基づき健康診断個人票を作成して、これを5年間保存しなければならない。
【労働安全衛生規則】
(健康診断結果の記録の作成)
第51条 事業者は、第四十三条、第四十四条若しくは第四十五条から第四十八条までの健康診断若しくは法第六十六条第四項の規定による指示を受けて行つた健康診断(同条第五項ただし書の場合において当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「第四十三条等の健康診断」という。)又は法第六十六条の二の自ら受けた健康診断の結果に基づき、健康診断個人票様式第五号を作成して、これを五年間保存しなければならない。