第2種衛生管理者試験 2022年10月公表 問22

心臓及び血液循環




問題文
トップ
受験勉強に打ち込む

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2022年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、下表の左欄、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2022年10月公表問題 問22 難易度 心臓の働きと血液循環に関する初歩的な知識問題。確実に正答できなければならない。
心臓の働きと血液循環

問22 心臓及び血液循環に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)心臓は、自律神経の中枢で発生した刺激が刺激伝導系を介して心筋に伝わることにより、規則正しく収縮と拡張を繰り返す。

(2)肺循環により左心房に戻ってきた血液は、左心室を経て大動脈に入る。

(3)大動脈を流れる血液は動脈血であるが、肺動脈を流れる血液は静脈血である。

(4)心臓の拍動による動脈圧の変動を末しょうの動脈で触知したものを脈拍といい、一般に、手首のとう骨動脈で触知する。

(5)心筋は不随意筋であるが、骨格筋と同様に横紋筋に分類される。

正答(1)

【解説】

(1)誤り。心臓の収縮は、洞結節で生じる規則正しい電気刺激が発生が、刺激伝導系を介して心筋に伝わることによって起きる。なお、洞結節(洞房結節)とは、心臓の右心房の中の上大静脈とのつなぎ目付近にある特殊な心筋の塊である。

本肢が言うように、自律神経の中枢で発生した刺激が刺激伝導系を介して心筋に伝わることにより、収縮と拡張を繰り返すのではない。

(2)正しい。身体から心臓へ戻った血液は、右心房へ入り、右心室を経て肺動脈へ流れる。肺から戻った血液は左心房へ入り、左心室を経て大動脈を通って全身へ流れる。

(3)正しい。動脈血とは酸素を多く含む血液であり、静脈血とは酸素を失った二酸化炭素を多く含む血液である。静脈血は最終的に肺へ送られて、動脈血となって心臓へ戻る。この肺へ向かう血管は心臓から吐出される血液が流れることから肺動脈と呼ばれ、心臓へ向かう血管は肺静脈と呼ばれる。

このため、肺動脈には静脈血が流れ、肺静脈には動脈血が流れる。血管の名称と流れる血液の名称が逆になっていることに留意しよう。

(4)正しい。心臓の拍動によって送り出される動脈血によって、(必ずしも末梢の動脈だけではないが)動脈血管に生じる拍動が脈拍である。健康体であれば、心拍と脈拍は一致するが、不整脈のように一致しない場合もある。

脈拍を簡単に測る方法として、手首の親指側を通る橈骨動脈に人差し指、中指、薬指の3本の指を当てて脈拍を数える方法がある(※)

※ 厚生労働省「運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書」(2013年3月)は、脈拍測定方法の例として「利き手の人差し指・中指・薬指の3本の指で、利き手でない側の手首の内側にある動脈(親指側で拍動が触れるところ)を 10 秒間図り、その数値を6倍すると1分間の脈拍数となる。脈拍計等の様々な市販の機器を活用してもよい」としている。

(5)正しい。心筋は、意志と無関係に動く不随意筋であるが、横紋筋に分類される。

2022年10月10日執筆